絶愛絶銘
ピンチ!!絶愛絶銘!!!!
絶体絶命から脱した。絶愛絶銘に陥った。
主治医の診察で大泣きしたのはあの日以来。
あの不倫が発覚して頭が吹き飛んだときの初診の時以来
診察で泣いたことはなかった。
『僕以外の人が妻を責めるのが可哀想で』
と泣いた。
訳の分からん話だろうが、初診で不倫をして友達の子供をまんまと妊娠した妻を庇っていた。
あれからもう1年と8ヶ月が過ぎた。
目まぐるしいスピードで誰も追いつけない速度で破壊と構築を繰り返した。
絶望、憎悪、怒り、自殺、後悔、懺悔、諦め、空虚
すべての限りを尽くして頭をフル回転させてきた
結局こうして2回目の自殺未遂をしたので入院している
別に死ぬ気などなかった。
ただそこにあったキリを刺してみただけだ。
今の主治医は入院先の院長先生。
優しくて優しくて、一緒に考えてくれる。
先生は今日の診察で頭を何度も抱えた
フラッシュバックで死にかけた昨日の話を聞くと
『トラウマを薄くしていって思い出に変えないとね』
と言った。
僕は
『思い出にはならないです』と即答した。
思い出のフォルダにそんなもの入れたくない。
大切なカラフルだけをそっと詰めたい大切な場所。
『うん。でもこんなひどいフラッシュバックを繰り返していたら、人生が進まないよ?』
たしかに。その通りだ。
『フラッシュバックが無いに越したことはないです。だから治したいです^ ^』と言った。
先生はやさしく微笑んで
『その割にはすごく強情だね』と言った。
『はい。忘れたくないので。忘れたら許すみたいになると思うんです。だから薄める気もありません^ ^』
ペンを置いて少し頭を抱えた
ニコりと微笑んで
『ん〜ふふ。それじゃあ、治らないよ』
『トラウマを治したいんでしょう?』
『はい。治したいです^ ^』
『でも、忘れたくないんだよね?』
『はい。忘れたくないです。絶対に忘れないし薄れません^ ^』
先生は、参ったなぁという顔をした。
『忘れる、と、許す、はまた別のことだよ?』
(知ってる)
『思い出にするのではなくて、なっていくんだよ』
(そんなわけがない)
『ほんとうに僕、治療にすごく前向きなんです^ ^』
先生は椅子をくるっと回して僕の正面に座って
『そうかなぁ。私にはすごく後ろ向きに見えるよ』
と笑った。
(知ってる。分かってる)
『え、いや、前向きですよ!!』
ポロポロポロポロと何かがこぼれ落ちる
『その割にはすごく強情だね。気持ちが強いんだね』
そう言って微笑んだ。
『ん〜…難しいなぁ、、』
腕を組んで首を傾げて温かい何かがポタポタ。
( ; _ ; )ゼンブワカッテル
『人は、矛盾する生き物だからね^ ^』
『漢方を出してみようと思うんだけど、あまりにも気持ちが強いね。気持ちが強すぎて、薬うんぬんではないねぇ…』
処方箋を書くかどうか手が悩んでいた。
『ん!でも、やってみよう!よし!』
入院前にも上司の主治医にも同じことを言われたことを思い出した。
『あかんやーん!薬こんだけ入れて心理入れてこれやろ?あかんやーん!これ薬じゃどうもならんなぁ!効くとか効かないとかじゃないよ!!』
『ですよね〜!!』大爆笑
手首に血の滲んだ大きめのガーゼをのぞかせて笑った。
『入院したいんです』
『僕もそれを今日言おうと思ってたんだ』
〜
知ってる。分かってる。知ってる。
分かってる。知ってる。分かってる。分かってる。
知ってる。頭では分かっています。
許すと忘れるは違うことも
思い出にするのが悪いことじゃないことも
分かってます。分かってます…
知ってます。
だから、怖いんです。
『幸せになりたいんです。でも幸せになったらそれと同じ不幸かそれ以上の不幸が返ってくると思うと、怖いです』
また先生は椅子をくるっと回してこちらに向いた。
『幸せになったからって不幸になるって思って取れないんだね』
『はい。取れないです』
マスクが冷たい。
他にもたくさん話した。
たくさんたくさん話を聞いてくれた。
優しく受け止めてくれた。
処方薬に漢方があたらしく増えた。
同じことを何度も繰り返した。
頭の中でぐるぐるぐるぐると回る。
"先生、僕前向きなんです^ ^"
2022.3.18 今日は絶愛絶銘の日
絶対が覆らない限りそれが「絶対ではなかったこと」を証明できない世界で
僕はこの"絶対思い出にならない"気持ちを
想像を絶する愛で
絶対に覆すことを自分に銘じた。
今日から僕は絶愛絶銘の危機をずっと生きていく。
幸せになってもいいんだよ。って自分に教える
今までよく頑張ったね。
そんな日に、ぴったりとTikTokのフォロワーが
10,000人を超えた。
今日かよ。ちくしょう。
嬉しい。
こんな絶望した目で、生きることを選んだ。
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