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中央ヨーロッパ1周弾丸鉄道旅・寄り道-ベルリン〜ドレスデン-

前日のじんわり抉られた心の傷も車内での暖かい出会いとホテルでの熟睡ですっかり癒え、弾丸旅行2日目を迎える。ベルリンからの次の目的地はオーストリア🇦🇹の首都・ウィーン。ドイツ語圏の首都を結ぶ鉄路の選択肢は片手では足りないほどあるが、今回はオーストリア連邦鉄道(ÖBB)が運行する夜行列車・ナイトジェットで移動。ただ夜行列車なのでベルリンを発車するのは夕方の6時半、時間は飛行機でベルリン・ウィーンを往復しても間に合うくらいに十分ある。というわけで夜行列車に乗る前に1周の円から少し外れる寄り道をすることに。計画段階で寄り道先の候補はいろいろあったが、今回は個人的にドイツで最も美しいと思う古都・ドレスデンを選んだ。もちろんドイツ国内の全都市を見て回ったわけではないので、この意見には反論異論があるとは思うが、あくまで自分の経験上でのことなので孫を見守る祖父のような暖かい目で見ていただきたい。

ベルリンからドレスデンまではドイツ鉄道が運行する直通のインターシティやインターシティ・エクスプレス、地域急行を乗り継いでいくことができるが、旅に彩りを加えるために少しでも今回はベルリン〜チェコ🇨🇿・プラハを走るユーロシティに乗ってみることにした。思うにインターシティの国際列車版のような位置付けだろうか。このユーロシティのまたしても1等席を40ユーロほどで確保。

ベルリン中央駅の行き先表示

宿泊したホテルはベルリン中央駅から歩いて数分のところにあり、午前7時16分発の列車でも比較的余裕を持って乗ることができた。今回の列車は駅の地下ホームから発車する。ホームで待っていると水色と基調としたチェコ鉄道(CD)の列車が入ってくる。

外見はお世辞にも綺麗とは言えないが、内装は文句のつけようがないほど。1等車だけしか見てないので断言はできないが、ヨーロッパの鉄道は年季が入っていても中は比較的綺麗で、乗り心地も良い印象。

ユーロシティの1等車席

ベルリン中央駅を出ると列車は南へ向かう。途中ベルリン・ズートクロイツ(Südkreuz)駅へ停車。直訳すると南十字駅。ベルリンは中央駅を囲むようにSバーンと呼ばれる近郊列車が環状に走っているため、中央駅を出た長距離列車は必ずどこかでこの環状線と交わることになる。その交差点の駅がKreuzという少年心をこれでもかというほど刺激する名前を冠している。他には西十字(Westkrezu)、東十字(Ostkreuz)は確認済みだが、北十字(Nordkreuz)だけは未だ確認できていない。ひょっとしたらないのかも。

車掌に持ってきてもらったコーヒー。もちろん有料

朝御飯を食べてないのでせっかくだから食堂車で何か調達することにする。このユーロシティも当たり前のように食堂車が連結されており、しかも1等車の場合は車掌に注文をして席まで持ってきてもらうことができるというありがたくもどこか少々申し訳ないサービス。とりあえずコーヒーを注文。味は忘れたが、1等車の席でゆっくり朝焼けに色づく景色を見ながら啜る1杯のコーヒーは支払った値段以上のもの。何か食べるものは食堂車で食べようと覗いてみるが、すでに満席。しかもその席の客も食事をしながらしばしご歓談の様子なのですぐに空きが出る気配もない。仕方なしに席へもどると…..

朝靄に烟る

知らない間に列車は朝靄の中。速度を緩めながら白い視界を進んでいく。晴れているとは言え、寒気の音が聞こえてきそうなドイツの10月。放射冷却で冷えきった空気が水蒸気を凝結させる。これはこれで自然を感じることできる面白い風景。そういえばこの列車、ベルリン・ズートクロイツを出てからどの駅にも停まっていない。確認するとドレスデンまでノンストップのようだ。気づけば霧も晴れて、旧東ドイツの広い大地をひたすら南下。

車窓より臨むエルベ川とドレスデンの街並み

のどかな風景の中に荘厳な建物が増えてくるとドレスデン・ノイシュタット(Neu Stadt)駅に到着。ここから降車駅のドレスデン中央駅へ向かう途中にエルベ川を渡るのだが、ここから見えるドレスデン旧市街の教会・尖塔群の眺めは非常に美しい。上の画像は朝日・雲・窓の汚れが絶妙に混ざり合い、なかなか幻想的な仕上がりになっている。

1時間30分ほどでベルリンからドレスデン中央駅に到着。ウィーンに向かう夜行列車まで持て余すほどの時間。適当にドレスデン市内を散策し、ベルリンに戻り、ウィーンへ向かう。

つづく。

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