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「絶対泣かない」山本文緒

突然ですが、本を紹介します。

どう紹介したら伝わるかなと考えた末に、
本の中の登場人物に手紙を書くことにしました。

もし手紙を読んで、本に興味をもってもらえたらうれしいです。
手紙の前に簡単にあらすじもご紹介します。


「絶対泣かない」 著:山本文緒

仕事をテーマにした9つの短編小説集。
その中の1つ目の物語の
「花のような人・・・・・・フラワーデザイナー」を紹介します。


主人公の”私”から見た、会社を辞めてフラワーデザイナーを目指す薔子(しょうこ)に惹きつけられました。
「好きなことを仕事にしたいなあ、でもな…」と考えたことがある人におすすめしたいです。


◆◆ あらすじ ◆◆
損害保険会社の事務員として働く私。薔子は私の同期で、受付嬢をしている。
いつでも綺麗にマニキュアが塗られた爪、つやつやに輝く長い髪、ピンク色の頬。まさに薔薇のような人。明るく気さくでいつもみんなの中心にいる。同期が次々と辞めていき、残ったふたりは自然と仲が良くなったけれど、薔子は「フラワーデザイナーになりたい」と突然辞めてしまう。
変わった職業に就けばやりがいがあるという安易な考えに思えて、私は心から応援できなかった。
その後、彼女に2度再会することとなるが……。


※手紙の中では、主人公の”私”を「彼女」と呼びます。

◇◇ 手紙 ◇◇

薔子さんへ

「遊びに行きたい気持ちをを我慢してまで、どうしてそんなに資格の勉強を頑張るの?」とあなたが聞いたとき、「一生”いちOL”として働き続けたいから。そういうことをするのが好きっていうのもあるけど」と答えた彼女、すごくかっこよかったよね。
将来を見据えて行動している姿に刺激を受けたことがフラワーデザイナーを目指すきっかけになったのかなと想像しました。
でも、どうしてフラワーデザイナーなの?花が好きだったのですか?すごく気になります。

保険会社を辞めるとき、こわくはなかったですか?
先が見えない状態で未経験の世界にいちから飛び込むこと。
この先の生活はどうなるのかと、わたしだったら足がすくんでしまいます。どうやって意を決したのか聞きたいです。

ごめんなさい、質問が止まりません。

退職してから2年後、フラワースタジオでの仕事はとても大変だったようですね。
仕事中に街で偶然彼女に会ったときのあなたは、元気がなさそうに見えました。

ちぎっては、ばんばん花を捨てる切り花。
季節に追われて花を楽しむ余裕がない。

想像と現実とのギャップに、向いていないんじゃないかと悩み、それでも諦めなかったのはなぜですか?
大変だけど、楽しくてやめられなかったのかなあ。
わたしにとって、苦労を引き受けてでもやりたいと思うことって何だろうと考えさせられました。

同期の結婚式で、花嫁のブーケと髪飾りをデザインしたあなたは、とてもとてもキラキラしていました。
特に、「今はブライダルシーズンだから、この後もう2件仕事があるのよ」と、式に出席できないことを残念そうでも悔しそうでもなく、どちらかというと嬉しそうに言ったあなたの晴れやかな表情、悔しいくらいかっこよくて、頭から離れません。

あなたが退職してから連絡をとることがなくなってしまった彼女が、ごはんに誘ってくれたときはとてもうれしかったんじゃないでしょうか。
会わなかった数年間の積もりに積もった話をしあうのが今から楽しみですね。

椿月より




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