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坐骨神経痛の教科書!〜神経の解剖・絞扼する筋肉・関節ストレス・痛みの緩和方法の全貌!〜

今回は「坐骨神経痛」について深ぼっていきましょう。
 


・お尻が痛い
・太ももの後ろが痛い
・ビリビリ痺れる

もしかしたら坐骨神経痛かもしれない。。。。

といった症状の時に何を考えてどうするか?を

基礎的な解剖から原因、筋肉、ストレッチなどの対処方法をまとめてみました! 
 


坐骨神経痛??お尻伸ばせばいいんでしょ??d( ̄  ̄)

僕も昔はそう思っていましたし、実際にやってみて、良くならなかった人もたくさん経験しています。 


みなさんには最初から思考の幅を広げてほしいのでぜひ1度読んで見てください。


坐骨神経痛に対する武器が広がります。




坐骨神経ってなに?

・坐骨神経はお尻にある大きな神経。
・起始はL4~S3
・総腓骨神経と脛骨神経の2つの神経に枝分かれする人体最大の神経。

触診としては上後腸骨棘と坐骨結節を結んだ線のほぼ中央で坐骨結節と大転子の中間点のやや内側寄りを通過します。


この神経に何かしらの機械的なトラブルが起こると

・お尻が痛い
・太ももの後ろが痛い
・ビリビリ痺れる

といった症状を引き起こしやすくなります。関連痛もあるので坐骨神経領域だけでなくお尻全体に痛みを引き起こします。


坐骨神経の通り道と絞扼しやすい筋肉

坐骨神経のパターンと通り道

Type a:梨状筋の下を坐骨神経が走行、90%
Type b:梨状筋を貫く繊維と梨状筋の下を走行する繊維に分かれる、7.1%
Type c:梨状筋の上下を走行する繊維に分かれる、2.1%
Type d:梨状筋を貫いて走行、0.8%
Type e:梨状筋の上と貫く繊維に分かれる
Type f:梨状筋の上を走行する

坐骨神経の通り道はいくつかパターンがあります。


有名なのは

梨状筋の下を通るパターン(90%)

なのでほぼほぼこの形で覚えてもらってOK。(他には坐骨神経が梨状筋を貫く、坐骨神経が2本になって梨状筋を挟む場合など)


坐骨神経を絞扼しやすい代表的な4つの筋肉

<坐骨神経に影響を与える代表的な4つの筋肉>
・梨状筋
・内閉鎖筋
・上双子筋
・下双子筋


梨状筋の下を通った後に上・下双子、内閉鎖筋の上を坐骨神経が通ります。

つまり梨状筋と上・下双子、内閉鎖筋がサンドイッチして坐骨神経にストレスを与える可能性があります。


股関節の筋肉は角度や肢位によって作用が変わります。どの筋肉が原因になっているかを探っていくことが大事になりますね!



梨状筋症候群は「坐骨神経の圧迫」だけじゃない

ちなみに。坐骨神経痛と見分けが難しい梨状筋症候群は坐骨神経だけの圧迫ではありません。

神経別に分類すると、総腓骨神経障害は22/25例(88.0%)、後大腿皮神経障害は21/25例(84.0%)と多く認められ、下殿神経障害は3/25例(12.0%)、上殿神経障害は2/25例(8.0%)となった。脛骨神経障害の症例は、0/25例(0%)

という報告ですね。


・後大腿皮神経
・総腓骨神経

も大いに影響するということが考えられますね!坐骨神経領域だけで変わらなければ、この2つの神経の絞扼も頭に入れておきましょう。



坐骨神経痛の根本的な3つの原因

では実際の坐骨神経痛の根本的な原因を探っていきましょう。


大きく分けて3つ。

1坐骨神経自体の伸張性の低下
2各軟部組織の絞扼(股関節外旋筋群)
3椎間関節・仙腸関節の問題

になりますね!



器質的な問題でなければ7〜8割くらいは改善していきます!↓


では3つの原因を詳しく見ていきましょう!


坐骨神経痛の原因1坐骨神経の伸長性低下

坐骨神経の動きが悪くなる原因は2つ。神経内と外に分けて考えましょう。

神経内の問題:坐骨神経自体の伸長性低下
神経外の問題:軟部組織との滑走性低下

に分かれます。

では神経内の問題である坐骨神経自体の伸長性低下を変えていきましょう。有名なのは神経系のモビライゼーションです。神経自体も伸び縮みしますし、神経の周りにある軟部組織との滑走性も出すことができます。


坐骨神経に対するストレッチまとめ

SLRを行うと坐骨神経と腰仙神経根にかなりのストレッチがかかります。


SLRによって椎間孔内の腰仙神経根は遠位に9-10mm動きます。でもね。遠位だけでなく、神経は近位にも動きます。だから坐骨神経の領域の軟部組織を柔らかくしておくことも大事になります。



では実際の方法です。神経をストレッチしましょう。


・足関節の背屈
・膝関節の伸展
・股関節の屈曲
・骨盤前傾、腰椎前弯

を組み合わせて痛みのない範囲で神経を徐々に伸ばしていきましょう!



神経自体は可動域の最初で緩みが無くなり、中間域で滑走して、最終域では滑走が減少して緊張します。



つまり中間域でしっかりと神経を滑走させて最終域では小さく神経を滑走させるのが効率的です!





坐骨神経痛の原因2坐骨神経を絞扼する筋肉

坐骨神経を絞扼する4つの筋肉は

1梨状筋(坐骨神経を上から圧迫)
2上双子、下双子筋、内閉鎖筋(坐骨神経を下から圧迫)

でしたね!メインはこの筋肉の柔軟性、滑走性を出してあげましょう!

その他にも坐骨神経の通り道には

・大腿二頭筋
・大内転筋
・半腱様筋
・半膜様筋

もありますので、このあたりも頭に入れておくとGoodです!


坐骨神経を絞扼する筋肉のストレッチ

1四つ這いから 2右外旋筋を狙ってストレッチ 

まずは痛みなく、行いやすい四つ這いから行ってみましょう。四つ這いになると軸圧で大腿骨後方の軟部組織、股関節外旋筋をストレッチすることができます。



次に有名な股関節外旋筋のストレッチです。
外転位と内転位の2パターンで行いましょう。
内転位の方がより梨状筋が伸びます。


・・・が最近では臀筋群が優先的に伸びて、外旋筋はあまり伸びないのでは?という説もちらほら、、、


というわけで

梨状筋はうつ伏せで股関節内旋方向に動かしましょう。


ストレッチだけでなく、股関節の内旋・外旋で収縮弛緩させるものおすすめです。もちろんこのストレッチでも内閉鎖筋や上・下双子筋も伸びます!


坐骨神経痛の原因3椎間関節、仙腸関節の問題

脊髄神経後枝内側枝によって椎間関節は支配されています。


内側枝第1枝→隣の椎間関節包の下部
内側枝第2枝→多裂筋
内側枝第3枝→1つ下位の椎間関節包の上部

「L4/5からの脊髄神経後枝内側枝に支配されているL5/S1の椎間関節に刺激が加わると求心性インパルス→内側枝を介して外旋筋にスパズムを起こす」


ことがポイントです。



1椎間関節由来で腰回りが痛い(特にL4~S1)
2神経を通して外旋筋スパズム起こす
3外旋筋が坐骨神経にストレスを与えて症状を引き起こす

といった流れです。


仙腸関節の問題も同じ。

仙腸関節も脊髄神経後枝からの筋肉スパズム問題です。


仙腸関節後方にある脊髄神経後枝L5.S1.2に問題が起きると外旋筋にスパズムが起こります。

仙腸関節がスパズムを起こしている原因も、これまたかなり複雑になります。。。またどこかで紹介しますが。


もっとも多いのは

骨盤後傾していて、仙骨がカウンターニューテーションに入って、筋スパズムを起こしている

パターンが多いです。



やることはシンプルに

・腸腰筋を働かせる
・ハムストリングス、大臀筋のストレッチ

になります。



坐骨神経痛に対して「安静」をおすすめしない理由

2つの論文から↓

基本的に坐骨神経症状があっても、身体活動を維持する方が、活動を下げるよりも効果がある(Stochkendahl 2018)。

計画に基づいたエクササイズは日常生活での活動を促す指導よりも短期的に効果がある(Fernandez 2016)。

腰痛も同じですが。安静にしすぎることは長期的に痛みのスパイラルに入りやすいです。

・適切に
・痛くない方向に
・原因を追求しながら動く


ことがベストになります。


坐骨神経痛に対してエビデンス的に効果的な運動とは?

directional exercisesとモーターコントロールエクササイズが効果的(Stochkendahl 2018)。

また神経に対するモビライゼーションの効果あり(Ahmad 2015,Almeida 2019)。

ですね。


ポジショントークになりますが。この点からもピラティスはおすすめなのです!


坐骨神経痛に対するミニセミナー

スタッフに説明した坐骨神経痛の原因と対処方法についてです!ぜひ参考にしてみてください。



まとめ

坐骨神経の問題を解決するためには
根本的な3つの原因である坐骨神経自体の硬さ、坐骨神経を絞扼する筋肉の硬さ、椎間関節・仙腸関節のスパズムの問題を考慮して対処方法を決めていくことが大事です。


いかがでしょうか?

かなり複雑な要因で坐骨神経痛が起こります。


その1つ1つの原因を解決していきながら、お尻周りの痛みを改善していきましょう!!


では〜!!


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