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前鋸筋の教科書〜運動療法と解剖・運動学の全て〜

どうもです。


腸腰筋って大事ですよね。全ての中心軸になります↓


voicyとかでも語っています↓


鍛える&指導するのはとても難しい筋肉です。


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はい、でも今日は前鋸筋やりますw

この筋肉も非常に臨床上重要な筋肉です。

前鋸筋は胸郭、肩甲骨、脊柱の動きに大きな影響を与える筋肉です。

【起始】第1-9肋骨(外側面)、第1-2肋骨間に張る腱弓
【停止】肩甲骨(上角、内側縁、下角)

とべったり大きな筋肉。


前鋸筋の作用を4つの点から細かくみてみよう!

引用:ゼロから理解する解剖学~肩関節編~(FreePTsalon)

<前鋸筋の作用>
・肩甲骨の外転、上方回旋。(肩甲骨外転に働く唯一の筋)
・肩甲骨を固定で胸骨を外側上方に引く(CKCの四つ這いなど)
・僧帽筋と共同して肩甲骨内側縁を引き付け安定化させる
・僧帽筋と共同して上方回旋に作用する

ですね。


ポイントは

・僧帽筋と共同で働くことが機能として大切
・OKCかCKCで作用が変わる

です。


ただ、かなりべったり大きく筋肉なので。
繊維ごとに機能も分けていきましょう。



前鋸筋の繊維ごとの起始停止と作用

引用:ゼロから理解する解剖学~肩関節編~(FreePTsalon)

上部筋束(第1~2肋骨から肩甲骨上角):肩甲骨の下方回旋中心を形成
中部筋束(第2~3肋骨から肩甲骨上角):肩甲骨を外転
下部筋束(第4肋骨以下に起始し肩甲骨下角):下角を上方回旋、外転

3つの繊維ごとに分けるとエクササイズを行うときに役立ちます!


前鋸筋と覚えておくべき3つの筋連結

前鋸筋の位置関係をみると多くの筋肉と連結しています。


その中でも有名なのが

・外腹斜筋
・肩甲挙筋
・菱形筋

です。


前鋸筋と外腹斜筋の連結

前鋸筋と外腹斜筋はクロスするように筋肉が連結しています。

1:外腹斜筋が機能することで
2:胸郭が固定され
3:前鋸筋の最大筋力が発揮される

ことも報告されています。


前鋸筋を鍛えるときは

外腹斜筋と同時に鍛えると良いですね!

※この外腹斜筋との関連性を考えると。外腹斜筋で胸郭を固定して状態で前鋸筋を鍛えるエクササイズがいいですね!


前鋸筋と菱形筋・肩甲挙筋の連結

前鋸筋上部:肩甲挙筋と連結
前鋸筋下部:菱形筋と連結

となります。


これをものすごくシンプルに臨床的な現象で見ると

・肩甲挙筋が短縮すると前鋸筋上部も短縮する
・菱形筋が短縮したままでは前鋸筋下部が機能しない

などがよく見かける現象ですね。


前鋸筋を評価するときは3つの筋肉の連結にも注目して評価とエクササイズを考えましょう!!


前鋸筋の筋肉が効かないとどうなるか??

・肩甲骨の安定性が低下する
・肩の痛みにつながりやすい
・肋骨が広がらない
・筋膜のサイド、スパイラルラインが止まってしまう
・体幹が固定できない
・猫背姿勢にもつながる
・反り腰にもつながる
・腹斜筋が効きにくくなる

などなど。

<前鋸筋が働かないと・・>
・肩甲骨が安定化せず
・インナーマッスルも働きにくくなり
・肩のトラブルが起こりやすくなる

また、上肢のトラブルだけでなく、体幹への影響も非常に大きくなります。


最も有名なのは翼状肩甲(winging scapula)ですね。


長胸神経麻痺だけでなく、弱化している場合でもwingingすることはよくあります。


実際の臨床ではよ〜く見かけます!!


※外転運動では前鋸筋の機能不全が見抜けない?

よくも悪くも。前鋸筋の機能をカバーできるのが僧帽筋です。僧帽筋は外転時に働くため、肩関節の外転運動では前鋸筋の機能不全が見抜けません。肩関節の屈曲運動をすることによって前鋸筋の機能不全が見抜きやすくなります。


前鋸筋の機能改善は猫背改善に影響する

猫背姿勢で頭が前方にある姿勢・・この場合、前鋸筋はどうなっているでしょうか?

基本的には猫背姿勢になると前鋸筋は短縮します↓


<猫背姿勢と前鋸筋のバイオメカニクス>
・肩甲骨が固定されて前鋸筋の短縮→胸郭が後方変位
・連結している外腹斜筋も短縮して猫背姿勢

この姿勢を治すために、背筋を鍛えたり、チンインエクササイズをすると思いますが。前鋸筋はここでも役立ちます。

前鋸筋の作用を姿勢の観点から見てみると。

1肩甲骨を外転、上方回旋
2肩甲骨が胸郭に張り付く(支点ができるから頸部〜頭部が起こせる)
3相対的に胸椎が後方に移動しやすくなる支点ができる
4結果的に頭部が後方に移動できる支点ができる

となります。

頭部が前にあった状態を。


前鋸筋を働かせることで、胸郭の固定を作り、頸部〜頭部を後方に戻すことができます。

だから猫背姿勢を治すためにも「前鋸筋」が必要になるのです。



では実際の評価とエクササイズについて深掘りしていきましょう!!


前鋸筋の機能不全を見抜くための3ステップ


ステップ1:姿勢アライメントの評価

左のピラティス前では肩甲骨の浮き上がりが著明。右側はピラティス4回目。肩甲骨の安定化が姿勢にも反映している。

立位姿勢時に

・明らかに肩甲骨の内側縁が浮き上がっている
・過剰な下方回旋が起きている

このあたりは静的な姿勢から予測することができます。ただ、姿勢はあくまでも1次情報であり、予測の域です。


次にマッスルバランスを実際に見ていきます。


ステップ2:四つ這いから

CKCの状態にすると前鋸筋機能がよく分かります。

1四つ這いをとる
2両手で床を押して、肩甲骨が胸郭に張り付くかどうかをチェックする

この2点をするだけで、前鋸筋が働いているかどうかが分かります。


さらに細かくチェックしたい場合は

・肩関節90度以下:上部繊維
・肩関節90度  :中部
・肩関節90度以上:下部繊維

など、肩関節の位置を分けて評価してもGoodでしょう!


ステップ3:側臥位から片手で床を押す

これが最も顕著に現れます。

前鋸筋の機能不全の状態で片手でのオンエルボー、オンハンドを行うと。胸郭を引き上げることができません。(片手が難しい場合はプランクなどに変更してもOKです。)

もし代償で引き上げることができても。

遠心性で胸郭の引き上げたまま上体を下ろすことができません。

この時は前鋸筋の機能不全を強く疑います。


前鋸筋を機能解剖的な視点から鍛えるための4つのエクササイズ動画

前鋸筋のエクササイズは

・僧帽筋と共同させること
・外腹斜筋、菱形筋、肩甲挙と共同させること
・繊維ごとに分けること
・肋骨の動きを作ること
・胸郭の動きを作ること

などがキーポイントです。

ではいきましょう!


肋骨の拡張と下部の前鋸筋エクササイズ

座位の状態から側屈運動を行います。
意識するのは肋骨を広げながらサイドラインを伸ばすこと。
身長を1cm伸ばす意識があるとgoodです。


前鋸筋全体のエクササイズ(Easy)

まず最初は四つ這いで、最大限肩甲骨を下方回旋させて・脊柱を床方向に落とします。頭部の落とし気味の方が最大限菱形筋を縮める&前鋸筋のストレッチができます。


次は最大限に両手でプッシュします。肩甲骨を外転・上方回旋を意識させると前鋸筋が収縮して菱形筋がストレッチかかります!


前鋸筋全体のエクササイズ(Hard)

プランク姿勢から開始。要領は同じです!

ハードなので、前鋸筋の筋力がぐいっと必要です!


僧帽筋と前鋸筋の共同収縮

四つ這いから開始。片手を外転していきます。頭部を引き上げて、反対の手でしっかりと押しましょう。これが崩れると効果が半減します。

徐々に外転。


最終ポジションはここまで伸ばしましょう!


これ一般向けですが。後半はかなり前鋸筋を意識してやってみてください。

ちなみに。。きついですw


前鋸筋のまとめ

前鋸筋は臨床ではなかなか見落としやすい部位でもあります。


しかし、肩甲骨という浮遊した骨をコントロールし、体幹をつなぎ合わせる重要な筋肉です。

この機会に前鋸筋をしっかりと評価・エクササイズしてみてくださ〜い!!



そんな感じでNMotionは内容濃いめで運動・解剖・生理学と論文を元に臨床に活かす方法を提供していきまーす↓今ならプレゼントもあるらしいっす。

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