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頭がいいってなんだろう?── 本当に頭がいい人だけが持っているもの、それは『謙虚さ』


── あの人はマジ天才! 頭良すぎッッッ!!


『知能』ってのには大きく分けて2つあって、

結晶性知能:今まで生きてきた経験から得た知識を使うような、いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」

流動性知能:今あることから新しいことを考えたり、臨機応変に問題を解決するような、いわゆる「地頭がいい」

というやつですね[1]。

これらはそれぞれに、いろんな要素と相関があるんですけど、この2つの知能が高いだけで本当に「頭がいい」と言えるんでしょうか?


例えば他に、

知能指数(IQ)が高いのは?

感情知性(EI, EQ)が高いのは?

ワーキングメモリが必要でしょ?

実行機能も重要でしょ?

クリティカルシンキングは?

などなど、「頭がいい」ってのには様々な要因がありそうなんですよね。


さらに言えば、「賢さ」を表す『賢明な推論(WR)』というのは大きく4つ分けられて、

知的謙遜:自分の知っているのはどこまでか、知らないことは何なのかをハッキリと分かっているか

他者視点:自分が抱える問題ではなく、他人の気持ちでその問題に向き合うことができるか

不確実性:世の中のモノすべては変わりゆくものであり、自分にはどうすることも出来ない事態であることを分かっているか

視点統合:自分と相手の折り合いがつくように、譲歩したり、妥協したりすることができるか

というのもあります[2]。

まあ、このへんを全部語るとどちゃくそ複雑なことになっちゃうので、今回は【知的謙虚さ】についてまとめていこうと思います。


[1]Cattell, Raymond B. "Theory of fluid and crystallized intelligence: A critical experiment." Journal of educational psychology 54.1 (1963): 1. https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/h0046743

[2]Grossmann, Igor. "Wisdom in context." Perspectives on Psychological Science 12.2 (2017): 233-257. https://doi.org/10.1177%2F1745691616672066



知識を得るほど、知らないことが増える?


この世の中ってのは不思議なもので、「わかる」ことが増えると、「わからない」ことも指数関数的に増えていくもの。

ここに大きく関わっているのが『知的謙遜』というやつで、上で説明したように「自分の知識の限界を知っている」ということで、かの有名なソクラテスが残した【無知の知/不知の知】という考え方です。

そうは言っても、よくわからんと思いますので、「知的謙遜と心理」についてケンブリッジ大学などが行った、いい感じな研究があったのでご紹介します[3]。


ここでの問題提起は大きく3つあって、

① 知的謙遜と「認知的柔軟性」には相関があるのか?

② 知的謙遜と「流動性知能」には相関があるのか?

③ この2つは、知的謙遜にどう関係するのか?

というもの。

それを調べるために、108人の被験者を募って3種類のテストを実施してくれています。

ちなみに、柔軟性と知能について補足しておくと、

● 認知的柔軟性:アイデアに対してオープンで、今ある情報をもとにして「現状の最適解」をみつける能力

● 流動性知能:「直感」や「問題解決力」に代表されるもので、今ある情報を素早く適切に処理する能力

のような感じになります。


で、その結果はまぁまぁ予想通りで、

● 知的謙遜と柔軟性には正の相関がある(つまり、柔軟性がある人ほど自分の知識の限界をよく理解している)

● 知的謙遜と知能にも正の相関がある

● が、柔軟性と知能の両方が高いからといって、知的謙遜レベルが高いとも限らなかった

● どちらかといえば、柔軟性の方が知的謙遜と強く関係していた

という感じで、研究者も、

これは、知的謙遜の態度と行動を生み出す上で、異なる効果を持っていることを意味しているかもしれない。さらにこの研究では、知的謙遜が柔軟性と知能によって等しく形作られるわけではないことを明らかにした。代替案の開放性や態度変化の受容性などの認知特性は、知的謙遜と正の相関を示したが、反論に対する脅威の受容性や自分の信念に対する自信などの知的アイデンティティは関係がなかった。

と、おっしゃっておりました。

やっぱり、状況に応じて『ベストそうな選択』ができる人ほど、「頭がいい」と言えそうな感じですね。


[3]Zmigrod, Leor, et al. "The psychological roots of intellectual humility: The role of intelligence and cognitive flexibility." Personality and Individual Differences 141 (2019): 200-208.
https://doi.org/10.1016/j.paid.2019.01.016



次回:自分を正しく自覚するためには?


というわけで、ここまでをまとめると、

▶︎ 「頭がいい」ってのには、すごくたくさんのポイントがある

▶︎ 「賢い」ってのも、4つのポイントがそれぞれ関係する

▶︎ 「知的謙遜」には、柔軟性が重要になりそう

といった感じになりますかね。


よって次回は、

◆ 謙虚さが足りない「知的傲慢」にならないために……

◆ 無自覚に優位を示す「マウント屋」にならないために……

◆ 「人の話を聞けない大人」にならないために……

覚えておくべきポイントをまとめていきたいと思います。

さらに、【どんな時に人は、イキってしまうのか】という謎も解けますんで、乞うご期待──

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