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身体表現性障害(somatoform disorder)

○身体表現性障害

 医学的に説明不能の身体症状や身体的なとらわれを特徴とする疾患の総称。
 心の悩みを体で表現する。
 失感情症、感情言語化困難症とも呼ばれ、かつての心身症(psychosomatic disease)に変わる新しい概念。
 身体的訴えに対して、対応する器質的所見がない、あるいは説明できる生理的機構が不明。
 症状の発症や経過に心理社会的要因や無意識的葛藤が関与する。
 特定の行為や責任を回避できたり、周囲の心配や関心を得たり、できる疾病利得(gain from illness)が限れていることがある(意図的でない)。
 身体症状や事実関係は述べられるが、自身の内的な感情や葛藤を表現することが困難であるアレキシサイミア(alexithymia)の性格傾向を有する。
 シフネオス (Sifneos, P.E.)がアレキシサイミア概念を最初に提唱した。

(1)身体化障害(somatization disorder)

 医学的に身体因を見いだせない頭痛、疲労感、アレルギー、腹痛、頻尿などの複数の身体症状が30歳未満で発症し、数年間反復的に持続する。
 男性<女性。
 低い教育水準、低社会階層と有意な関係がある。

(2)転換性障害(conversion disorder)

 知覚や運動の麻痺といった神経症状が、1つまたはそれ以上ある状態。
 視力の喪失や失声、手足の痺れや失立・失歩などの症状が現れる。

(3)疼痛性障害(pain disorder)

 激しい苦痛を訴えるが身体疾患、神経学的疾患では説明できない。
 男性<女性。
 痛みは主観的な体験であるため、適切な診断を下すのが困難。

(4)心気症(hypochondriasis)

 6ヵ月以上、心身の些細な感覚に敏感に反応し、重大な病気に罹患しているのではないかという恐怖・確信によって、社会的、職業的機能を障害している状態。

(5)身体醜形障害(body dysmorphic disorder)

 身体の全て、ないしは一部分に欠陥があるという確信。


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