社会的ジレンマ (social dilemma)
○社会的ジレンマ
個々人が自分の利益になるように行動する結果、集団全体の利益を損なってしまう状況。
共有地の悲劇
ギャレット・ハーディン(Hardin, G.)が提唱した社会問題。
産業革命前のイギリス農村の共有牧草地において、村人は自由に羊を放牧できる。
それぞれの村人にとっては、放牧する羊を増やすほど自分の利益になるが、増やしすぎると牧草地は荒廃し、羊を増やすどころか放牧すらできなくなる。
ドウズ(Dawes, R.)は社会的ジレンマをより正確に定義している。
①集団の成員ひとりひとりは、協力か非協力の選択することができる。(羊を少なく放牧する=協力/羊をたくさん放牧する=非協力)。
②個人にとっては、常に協力よりも非協力の選択を行ったほうが高い利益を得られる(羊をたくさん放牧するほど利益が高くなる)。
③全員が非協力を選択した場合には、全員が協力をした場合と比較して、個人の利益が下回ってしまう(全員が最大数の羊を放牧する場合よりも、全員が羊の数を抑えて放牧した方が利益が上回る)。
集団と個人の利益が葛藤し、個人の合理性が集団の合理性を損なってしまう状況。
集団サイズが大きくなるほど、匿名性が高まるほど非協力を生み出してしまい、共貧に陥りやすくなる。
○ 囚人のジレンマ (prisoner's dilemma)
共犯と思われる2人の人物における社会的ジレンマ。
1度限りの囚人のジレンマでお互い自白する(相互裏切り)状態は、ナッシュ均衡となる。
ナッシュ均衡(Nash equilibrium)
プレイヤーの誰ひとりとして戦略を変更しても得をしないような、すなわちずっとそのままでいることが最適となるような状況。
囚人のジレンマでは、お互いに裏切る状態から協力へと手を変えることは、どちらの囚人にとっても得にはならず、この場合に相互裏切りはナッシュ均衡であるといえる。
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