マインドセットの形成について考えてみる

ドゥエックという発達心理学者は、人間が物事を捉える際の基本姿勢として、2つのマインドセットを定義している。

一つが「fixed mindset(固定されたマインドセット)」であり、もう一つが「growth mindset(しなやかなマインドセット)」と呼ばれるものである。

「固定されたマインドセット」を持つ人は、結果にこだわる傾向があるらしく、自分は元々できる人間なんだから、それに見合った結果を出さないといけないと考える人が多いらしい。

完璧主義の人がそれにあたるらしく、彼らにとって失敗ほど恐れなければならないことはないらしい。

その一方で、「しなやかなマインドセット」を持つ人は過程にこだわる人が多いらしく、どのような結果であれ、その過程から何かを学び、課題があればその課題に取り組んでいく傾向があるらしい。

つまり、そちらの方が何事においても成長しやすいのは明白であろう。

これらのマインドセットは先天的に定められたものではないらしく、経験を通して形成されていくものらしい。
(もちろん先天的な要因も多少は含まれているだろうが。)

そこで、自分はどちらのマインドセットを持っているのであろうかと考えてみた。

結果、おそらく自分は「固定されたマインドセット」の持ち主だと結論づけた。

なぜなら、わざわざ失敗するリスクを犯して挑戦しようとは思わないからだ。

二週間後にIELTSの試験が控えているが、できることなら受けたくない。

なぜなら、自分の英語力がそれほどでもないことを突きつけられる可能性があるからである。

他の人よりちょっと喋れて、なんとなくできる感を出している方が楽なのだ。

去年の年末に、僕の大学時代の日本人の友達とご飯に行った際、彼もそんなことを言っていた。点数として自分の実力や成果が評価されることはなるべくしたくない、と。

まぁ、それが良いか悪いかは一旦置いといて、重要なことはどのようにしてこのようなマインドセットが出来上がったのかということだ。

僕の仮説は二つだ。

一つには、僕がこれまで、何事においてもそつなく60〜70点を叩き出せてきたことである。

例えば、学校のテストでも、そこまで頑張ったという記憶はないが、アベレージ8割〜8.5割のスコアは出せていた。

営業の仕事をしても、全く仕事ができないと評価されるような結果で終えたことはないし、大学受験は失敗したものの、自分が落第した大学よりも遥かに権威のある大学に入学した。

というように、何事においてもそれなりの努力である程度の点数を叩き出せてきてしまった。

嫌味に聞こえるかもしれないが、実際そういう人は多いと思う。

勝手な印象だが、偏差値60〜65くらいの高校に通っていた人に多いように思う。

ただ、それが良いのかと言われれば微妙なところもあろう。

なぜなら、そつなくある程度の高得点を出すことに慣れてしまうと、それ以上の努力を重ねて、失敗のリスクも背負いながらそれ以上の点数を目指すことができなくなるからである。

本気で取り組んでみた結果、全く結果が変わらないかもしれないし、なんなら悪くなるかもしれない。

それによって自身の実力や能力に対する自信を失うのならば、今まで通り、ぬるっとやってそれなりの点数を取っておこうというマインドになるわけだ。

つまり、最大限足掻いた挙句、大した結果を得られないことがとてつもなく嫌なのだ。

そして二つ目は、報酬による動機づけではないかと思う。

中学生の時、僕の家庭では定期テストで400点以上を取ると、1点につき五十円もらえるというルールがあった。

つまり、450点を取れば、50円×50点で2500円もらえる計算になる。

中学生にとっての2500円なんてのは大金だ。だから、僕はそのお金をもらうためにテストで点数を取っていた。

その結果、成績は上がったし、それなりの高校にも行けたのでよかったのだが、その代償として、勉強した過程よりも結果にばかり目が行くようになった気がする。

どんなにやったって結果が出なかったら一緒でしょみたいな、結果至上主義的な考え方が定着してしまったように思う。

そんな結果至上主義で完璧主義的な傾向も持ち合わせつつ、そつなくそれなりの結果を出せるというとてつもなく成長に向かないマインドセットを手に入れてしまったのかもしれない。

ただ、人によっては、僕が十分に努力して挑戦しているように見えているかもしれない。

現在は編入学試験に向けて準備をしているが、それすらも努力であったり挑戦だと捉えられるかもしれない。

ただ、僕はどうしてもそうは思えない。それで「僕は努力してる」なんて言おうものなら、だいぶと自分に甘いなと思ってしまうし、そんなことは恥ずかしくて言えない。

マインドセットの形成について考えてみた。

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