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再撮影。

 とても見聞きするのが嫌な言葉。どちらに責任があろうと、やっぱりそう言われるとすごく萎える。数年前に「再撮影お願いします」なんてタイトルのスパムメールが来たときは、ドキッとして思わず開けそうになった。
 良くあるのが、商品の仕様変更によるもの。世に出る前だったりするので、これは結構あるし、この場合は新規撮影と同じ扱いだけど、やっぱりあまりやりたくない。今なら画像処理で済むことも多いので、まだマシ。
 お任せしますのでよろしく、と言いながら、後出しジャンケンみたいにダメ出ししてくる人もいて、これも困る。たいてい他の人にこう言われた、とか、こんな意見も出て、とかで、そのために事前に根掘り葉掘り聞こうとしてるのに、それをせずに「お任せしますので、いい感じでお願いします」ってのは責任を負いたくないのか、と勘ぐってしまう。
 一番やる気がなくなるのが、当初は担当もデザイナーもディレクターも立ち合いのクライアントも全員がOKだったのに、カンプとかを上役に見せたら、全てひっくり返された、という場合。担当も代理店も意見を通す、説得するのを放棄して、言われるままにこちらへ「すいません再撮影でお願いします」。二度とするか、って気持ちになります、はい。過去に二度ほど。どちらも叩き上げワンマン社長の中堅企業だった。こういうところに限って後後まで揉める。
 もう一つ、再撮影にはほかの人の尻拭い、ってことも何度か。雑誌をメインにやっていた頃、別のカメラマンがとんでもない失敗をやらかして収拾がつかなくなり、私に電話してきた。なんか言いにくそうなので聞くと、もう失敗できないので、助けてくださいお願いします、みたいな話に。どんな失敗をやらかしたのか覚えているのは、腕時計二、三本の集合を店舗で撮ったけど、ガラス面、金属面への映り込みが激しく、色も変で使えない。店内で人を撮ったけど、人物は奇麗に出てるが、背景が真っ暗で使えない。レストランの料理撮影で、窓からの自然光だけ、ほぼ絞り開放の手持ちで5品くらいの集合を斜め俯瞰撮影。窓からの光がとても奇麗だったので、と言われたそうな。再撮影に行くと、当然先方は怒ってます。私は関係ないのに一緒に頭下げて謝ります。

 私自身のミス、失敗で再撮影になったことも当然あります。情けない話ですが、いろいろあります。駆け出しの頃、借り物のペンタ67で撮影に行って、シンクロスピードが30分の1てのを忘れてX接点の位置ではなく、60分の1でシャッターを切った。当然ながら半分切れて真っ黒。今思い出しても下腹部辺りがキューっとなります。また、タレントさんを撮っている時、フィルムを入れ忘れたカメラで激写。いつまでたっても終わりませんわな。すぐ気が付いたので良し、ですが血圧急上昇、耳まで真っ赤になりました。うーん、これ以上思い出すと心臓に悪いので、もうやめときます。

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