大腿骨近位部骨折に対する外科的治療
大腿骨近位部骨折に対する外科的治療
草場 敦 豊田 裕司 鈴木 雅也 藤巻 ゆかり 福井 勉
理学療法ジャーナルVol.55 No.12 2021.12 p1305-1312
【文献の要点】
・大腿骨近位部骨折は頸部骨折と転子部骨折に分類される。
・近位部骨折の外科的治療には様々な手術方法がある。
・それぞれの治療方法の特徴と合併症を理解する。
【文献の基本構造】
大腿骨近位部骨折の分類から、頸部骨折、転子部骨折における手術方法の特徴と合併症を説明している。
【手術方法とリスク、合併症】
〇頸部骨折
・観血的整復固定術(ORIF)
若年例では骨頭の温存、高齢例では低侵襲性を目的に選択される。牽引手術台にて透視下で骨折部の整復を行い固定する。使用される内固定材は術者の好みで決められることが多い。整復の精度により、骨頭壊死や偽関節のリスクがある。人工骨頭置換術など再手術となる。
・人工骨頭置換術(HHA)
ORIFと比較すると侵襲が大きいが、偽関節や壊死はなく、術後早期の全荷重歩行が可能。進入方法は後方アプローチが一般的である。合併症としては、血管や神経損傷、術後の脱臼などが挙げられる。
・人工股関節置換術(THA)
侵襲が大きく、難易度が高い。HHAより耐久性に優れるため、活動性の高い症例に推奨される。後方アプローチにおける脱臼リスクは高い。
転子部骨折
・観血的整復固定術(ORIF)
Short femoral nail(SFN)やSliding hip screw(SHS)法などがある。術後早期の荷重が可能である。最も多い合併症はcut out。偽関節や変形治癒は手術手技によるところも大きい。
・人工骨頭置換術(HHA)、人工股関節全置換術(THA)
不安定型で術後早期の荷重を目的に選択される。難易度は高く、侵襲も大きい。合併症では術後の脱臼のリスクが高い。
【まとめ】
本稿では、大腿骨近位部骨折に対する外科的治療、手術方法を述べている。どの術式においても長所がある一方で、術後の合併症などのリスクがある。脱臼や神経麻痺などの合併症を回避するため、術後直後からベッド上でのポジショニングや動作指導など、セラピストとして介入する機会がある。手術治療を行う医師から、その後の運動療法や生活指導を行うセラピストへスムーズな治療を行うためにも、術式や合併症の理解は必要であると考える。
記事:ながちゃん
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