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アイ・アム・サム(2001)

人々の優しい思いに溢れたヒューマンドラマ
サムが送るシンプルでストレートなメッセージが心に染みる

知的障害者のサムがなりふり構わぬ姿で訴えるのは“愛こそすべて”というメッセージ。ビートルズが歌った'60年代ならいざ知らず、今の世の中では「幻想だ」と切り捨てられても仕方がありません。

でも、シンプルでストレートなサムの思いは本当に心に響きます。

【ストーリー】
7歳児と同等の知能しか持たない知的障害者サム(ショーン・ペン)はスターバックスで働きながら、1人娘のルーシー(ダコタ・ファニング)を大切に育てていました。
しかし、ルーシーが8歳になったとき、サムはソーシャルワーカーから父親としての能力を疑われ、ルーシーを里親に出されてしまいます。そこでサムは裁判で親権を勝ち取るために敏腕弁護士リタ(ミシェル・ファイファー)を雇い入れます。

障害者を主人公にしたドラマは障害のために理不尽な扱いを受けるというのがパターンで、サムも例外ではありません。

サムの妻はルーシーを出産後、姿をくらましてしまいます。けれどサムは愛娘にルーシー・ダイアモンドという光り輝く名前を付け、愛情深く育てます。サムの愛はルーシーにもしっかり届き、ルーシーはサムが大好きです。そんな2人に、社会は厳しい目を向けるのです。

私はこの映画の冒頭から涙があふれ、映画を観ながら泣きっぱなしでした。映画中に溢れる人々の優しさに本当に感動しました。

サム役のショーン・ペンが純粋な愛を表現して新境地を見せれば、リタ役のミシェル・ファイファーはキャリアウーマンの孤独を巧みに演じます。天才子役と絶賛されたダコタ・ファニングの笑顔には本当に心が洗われます。

また、実際に障害を持つ方々が演じたサムの友人たちも素晴らしいです。サムとルーシーを温かく、そして懸命に守ろうとする彼らの無垢な姿に思い切り涙腺を刺激されました。

深刻な状況を感傷的にならずユーモラスな描写で味付けしたのは脚本も手掛けた女流監督ジェシー・ネルソン。種明かしをすれば最高のハッピーエンドが待っています。愛の力を信じてみたくなる素晴らしい作品です。

『愛こそすべて』『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』など、ビートルズの名曲を豪華アーティストがカバーしたサウンドトラックも話題になりました。

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