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pru-life初作品【下限値を超えたら】

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【下限値を超えたら】ノンフィクション小説。 人生の下限値を超えてしまったらその先に何があるのかー。人はいつまでも不完全だ。だから生きていけるのだ。一人の人間の悲しくてつらい人生、… もっと読む
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6 運命の分かれ道

私は、小学生になった。 小学生になると、さらに母との仲が悪くなった。祖父のことが母にはあったからだと思う。母の怒りの沸点が早くなって、もっと私にきつく当たるようになった。 毎日ケンカばかり。言い争いだけでなく、叩き合うこともあった。おやつも思うように与えられないので、おもちゃのお金を持って、近くのお店に買いに行ったこともある。もちろん、「これでは買えないよ」と、お店の人に追い返される。本物のお金でしか買えないことを知った私は、その後、母のかばんの中から財布をこっそり抜き出して

5 幼いながらに 

*【有料】過去と向き合い中。ショックを受けた出来事を思い出す執筆のため、中盤から¥300で公開させていただきます。今後の執筆状況により、増額・減額の可能性もございます。予めご容赦ください。 覚えているのは、西日がさしかかる夕方だった。 ある一本の電話から、私は人が怖くなった。 お星さまはともだち その頃、祖母ががんになった。元々子供のときから病弱だったらしい。体調が悪く、毎週末に3時間半かけて祖母宅に帰っていた。父の仕事が終わり次第、出発だったので、いつも夜の高速道路を

有料
300

4 初体験ばかりの幼稚園

私が幼稚園へ通っていた頃の話を母に聞く。母はいつもこれを話す。 「まだ小さい妹をいつも連れて私を幼稚園へ通わせた」と。 まだ小さいのに、雨の中、風の中、一緒に連れて行かなければならない妹に、母は可哀想で仕方がなかったようだ。 私のことを可哀想だの心配だの話してもらったことはない。 やんちゃでとても困ったとしか聞いたことがない。 初めての女の子のお友達 あの意地悪な女の子や、ちょっと控えめな女の子。他人をいじめたり、嫌がらせをすることもなく、それなりに仲良くやれていた

3 新しい町へ

家族が増えたからだろうか、平屋の家から2階建ての家に引っ越しをした。5歳の時だった。私が、幼稚園に入園する時期でもある。 Z町 Z町は、私のふるさとだと思っている。友だちもたくさんできて、色々な思い出が詰まった大好きな町だからだ。 だが、引越しをしても私の心は変わらず、妹には何でも命令した。 思い通りにならないと、私の機嫌が悪くなって、言うことを聞くまで、バーカとか傷つくような言葉を浴びせ泣かせたり、叩いたり蹴ったりしていた。 母には内緒で悪行をすることが、妹には決し

2 おねえちゃんというだけで

きょうだい 私は4歳になった。 妹が生まれたのは真っ白な雪の季節だった。地元の病院で出産するため、私は母の実家の祖父母に預けられた。もうすぐ、きょうだいができる。 出産の日のことはある場面だけ鮮明に覚えている。 ―祖父が運転する軽トラック。その助手席に座る祖母の膝に乗っていた私。この場面だけ鮮明によみがえってくる。  ”お母さんがいない" "さみしい"なんて思わなかった。 両親以外の人に見てもらう不安もなかった。 そんなことより、祖父母が私の面倒をみてくれることがと

1 この世に誕生。ここからすべては始まった

第一子、長女として生まれた私 今では健康に生んでくれた母にとても感謝している。 だけど、なんで母の元に誕生したのが私だったのかと思う時が幾度となく訪れてくる。 私は元々、活発な女の子だったらしい。 物心がついた頃の記憶から辿っていく。 M町 私達家族は、これまで三ヵ所の土地に移り住んで暮らしてきた。 一か所目。 砂埃のにおいが懐かしいM町。 まだ私にきょうだいはおらず、 少なくとも私の父と母は 、この時が一番幸せだったに違いない。 その頃の写真の一枚に、 お買

noteデビュー

プロローグ自分の居場所は架空にある 我慢している世界を 理不尽なこの世の中を 過去をゆっくり辿りながら 決して変わることのない 過ぎ去った自分をみつめて どうあるべきか 生まれ変わる前にもう一度