新卒採用担当十箇条

一、学生はきみより優秀であると心得よ。

常に学生は自分より優秀であると思え。学生が何者でもなく見えるのは、ただ彼らに「経験が足りないから」だけである。君は歩けない赤ん坊にかけっこで勝って嬉しいか?相手を優秀と捉えれば、かける言葉は変わるはず。

二、学生を見極めるな。理解せよ。

決して学生を見極めるな。短時間の「パフォーマンス」で相手を見極めることなどできない。自分の見る目を過信するな。そんな自信は捨てろ。また、他人の評価で相手を色眼鏡で見ることほど愚かなことはない。時間をかけて信頼関係を築き、学生の言葉に耳を傾けよ。彼らの「ストーリー」を引き出し理解せよ。

三、会社側に立つな。学生側に立て。

「自分が学生ならどう思うか」と考えよ。会社の常識は世の常識ではない。ドメスティックな世界に自分を閉じ込めるな。イエスマンに徹するな。きみが良いと思ったなら、その学生を信じ抜く心意気を持て。

四、視座を下げるな。

「学生目線」などという目線はない。その目線から繰り出される言葉は事実をねじ曲げる。どうせ言っても分からないと鼻で笑うな。知ったかぶりをするな。取り繕うとき、大きく見せるとき、きみの底の浅さは見破られている。

五、圧倒的にインプットせよ。

世の動向、自社の戦略はもちろん、哲学、心理学、歴史、テクノロジー、流行りのアーティスト、YouTuberに至るまで、興味の幅を広く持ち圧倒的にインプットせよ。ベストセラーのビジネス書は全て読め。どんな分野でも構わないから週に500ページは本を読め。

六、クリエイターであれ。

新たな価値を創造せよ。きみが連れてくる新入社員は明日の会社を背負う者である。既存の枠組みに囚われず、常に進取の気概を持て。自分で思いついたものは外注せず内製し、雑多な業務こそアウトソーシングせよ。自分のリソースをフルに「使うな」。業務を「こなすな」。空白の時間にアイディアを蓄積せよ。

七、知識を武器にするな。自分を武器にしろ。

学生に対して知識(=経験値)を武器にすることほど愚かなことはない。相手はビジネスマンではない。知識や経験で向き合うことはただの「マウント獲り」であると心得よ。自身の魅力で戦うことを意識せよ。HowではなくWhyで語り合い、自分の言葉で自分の生き方を示せ。

八、人事のプロになるな。

プロになったつもりで接するな。そのスタンスは学生の見極めにつながる。人事のプロとしての顔と自分自身の生身の顔とを使い分けろ。

九、伝えることを怠るな。

気の抜けたプレゼンをするな。何度も同じプレゼンをしていると慣れが生じる。いつも新鮮な気持ちで伝えることを怠るな。最初は下手だって構わない。伝えようとする心意気が相手に伝わる。

十、愛を生め。

常に「本当に相手のためになることは何か」を考えよ。たとえ優秀な学生でも、彼らにとってより良い活躍のフィールドがあると確信したら断れ。愛を持って接すれば学生にもきっと伝わる。

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