見出し画像

美とは何か①

大学の授業で教授が、「日本の女性は痩せすぎだ。」と言っていた。

BMIが18あたりの女性が結構普通にいるそうで、特に日本の女子大生は海外の人が見れば全員健康に異常をきたすと判定されるほど痩せているらしい。

日本には「痩せ信仰」のようなものがある。太った人の事をすぐにデブと言ったり、あるいは自虐的に自分のことをそう言ったり、テレビを付ければ、9割以上の女性は痩せている。また、youtubeやSNSを通して発信するインフルエンサーの台頭は「痩せ信仰」にかなりの拍車をかけている。

SNSを見ていれば、すぐにアップテンポの音楽に合わせて太った女性がトレーニングをする映像が早回しで流れ、痩せた写真のビフォーアフターが映し出され、「人は変われる」みたいな安い標語が書いてあったりする。

『私が垢抜けた方法』みたいないけ好かない動画では、ダイエットを推奨していることが多い。こんなメディアをSNSを通して大量に摂取した若い女性はどうしたって痩せていることが正義だと思うはずだ。

また、どうやらお国柄もあるようで痩せている人が美しいという感覚は、日本や韓国などの主にアジア圏で強いと言われている。

K-POPアイドルが2週間ぐらいで~kgダイエットしないとデビューさせないと事務所に言われるドキュメントを昔見たことがある。彼女たちは皆一様に極端に痩せていた。

「痩せ信仰」を否定するつもりはない。恥ずかしながら私もすらっとしたモデルさんやアイドル、女優を見るとスタイルがいいなと感じてしまう典型的な日本人美的センスの持ち主である。

しかしながら、「痩せ信仰」は危険な側面を持っているということはもう少し発信されても良いと思う。日本の若い女性は拒食症に陥るケースが非常に多い。

過度なダイエットは体を蝕むどころか、最後には死に至るケースもあるということを理解した方がいい。薄々皆感じている部分ではあるが、痩せすぎよりも少し脂肪の乗った体の方が健康で長生きする。

ヨーロッパのモデル文化が先進的な国はファッションショーに出演するモデルのBMI値をチェックするそうだ。著しくBMI値が低いモデルの出演を禁止することで彼女たちの健康を守るそうだ。

そもそも「痩せていることが美しい」という感覚自体いつ自分たちに備わったものなのだろうか。

大学の授業では、痩せた人が美しいという論理はブラウン管テレビの時代に画面の引き延ばしの関係で、演者がリアルよりも太って見えたので、一般的な体型よりも細身の俳優やタレントが起用されるようになったことがきっかけだと言っていた(もちろん諸説ある)。

当然、ファッション文化の影響もあるだろう。大抵若者が行くようなファッションブランドの店は本当に小さいサイズしか置いていない。私自身スポーツをやっていた関係で体が大きいが、体に合う服が本当に少ない。女性ならなおの事、自分の体型の服がなければ自身の体が異常だと感じてしまうだろう。

先述の通り、近年のSNSなどを通したダイエットの過剰な推奨やインフルエンサーの発信も「痩せ信仰」を助長しているといえる。

「痩せ=美」という感覚がすでに自分以外の誰かや経済によって形成された偽りの物であると言えるかもしれない。この考え方は、「美しさ」が「個性」ではなく、「共通認識」と結びつくという前提に基づくものではあるが、、、

 先日、友人の小学生の娘さんと友人宅で遊んでいると突然、「痩せなきゃ!」と言い出して庭で縄跳びを飛び始めた。彼女はすでにとても痩せていて、少なくとも落とす必要のある余分な贅肉はないように見えた。「もう十分細いのになぜ痩せる必要があるの?」と聞くと、「みんなダイエットしているし、なんかやった方が良いと思うの。」と言われた。

こんな少女にまで「痩せ信仰」は普及しているのかと思い、縄跳びの数を数えながら「やれやれだぜ。」と心の中でため息をついた。友人に愛娘がご飯を残していないかを確認してから帰ることにした。

友人の家からの帰り道、家系ラーメンののぼりが見えたのでラーメンを食べた。夏までに腹筋を割って、女性を海に誘う計画は一旦保留にしようと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?