税務署の情報把握が強化!保険の名義変更にも手が伸びた
税務署が把握する情報は多岐にわたりますが、もっとも多い情報は「法定調書」(支払調書)と呼ばれているものです。
■法定調書とは
法定調書とは、該当する取引などがある場合に、その情報(金額や相手先)を税務署に対して提出しなければならない書類のことを指します。
法定調書は、現在提出が義務付けられているものだけでも50を超えています。
法定調書関係 (国税庁)
これらの法定調書は、税務署にとって重要な情報源となっており、特に税務調査では「申告漏れ」や「申告誤り」を指摘するために貴重な資料なのです。
また、法定調書は年々強化されており、法定調書の種類も増え、その基準・範囲もどんどん広がっています。
あまり知られていないのですが、今年(2018年)1月から、保険会社が税務署に提出する「法定調書」(支払調書)の提出基準と記載内容が変更されました。
昨年までは、1回の支払金額が100万円超の死亡保険金、満期保険金、解約返戻金などが支払われた場合と、同一人に対して年間20万円超の年金が支払われた場合に支払調書が提出されていました。
今年からはそれらに加えて、契約者(保険料を払う人)と被保険者(保険の対象となる人)が異なる契約において、契約者の死亡に伴う契約者変更が行われた場合も調書が提出されることになりました。
さらに、保険金などの支払調書に記載すべき事項が追加されました。
■なにが変わるのか
この改正によって、税務署が把握する範囲がかなり広くなったといえるでしょう。
例えば、契約者が死亡したことによって、保険の名義が変更された場合で考えてみましょう。
死亡した人が支払っていた保険料が積み立てられており、それを引き継いだ人(通常は、死亡した人の子供)がその保険を解約した場合、解約返戻金(相当額)は「生命保険契約に関する権利」として相続税が課されることになります。
しかし、今までは名義が変更されたことを税務署が把握できていないため、申告漏れとなるケースが多くありましたが、この改正によって、税務署はこの事実も、自動的に把握できるようになりました。
また、契約者の変更後に死亡保険金や満期保険金・解約返戻金などを受け取った場合、変更前の契約者が支払った保険料に対応する受取金は贈与税の対象になります。
しかし、今までの法定調書(支払調書)には、支払時点での契約内容しか記載されていなかったため、税務署が把握できないという問題がありました。
■よくあるケース
よくあるケースとして、親が子供のために掛けていた生命保険を、子供の結婚を機に契約者を変更し、死亡保険金の受取人を子供の妻(もしくは夫)にするような場合です。
難しく書くと、被保険者は子供のままで、契約者と満期保険金受取人が親から子供本人に代わって、死亡保険金受取人は親から子供の配偶者に代わることになります。
この名義変更によって、受取る死亡保険金や満期保険金の一部が、親から子供もしくは子供の配偶者に対する贈与税の対象となります。
相続税と贈与税を比べると、一般的には贈与税の方が高くなる傾向にあります(金額やケースによって相違します)。
このような贈与税が発生するケースでも、今年以降の名義変更については、税務署が情報を把握することができるようになったのです。
もちろん、悪意あって申告をしない・税金をごまかす、というのは論外ではありますが、税務署の情報把握量が増えれば増えるほど、課税は強化されますし、税務調査ではすでにつかまれている情報が多いということになります。
特に、保険の名義変更には以後、十分に気を付けるべきでしょう。
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