禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違

喫煙の危険性と禁煙による健康ベネフィットが人種・民族・性別で異なるものかは不明であった
551 388名の米国成人、1997年1月から2018年12月の間のコホート(US National Health Interview Survey)を用い検証
禁煙は超過死亡減少と関連し、より若年ほどその超過死亡減少の程度が大きかった。人種・民族・性別により程度の差はあるものの同一傾向であった。

Association Between Smoking, Smoking Cessation, and Mortality by Race, Ethnicity, and Sex Among US Adults
Blake Thomson, et al.
JAMA Netw Open. 2022;5(10):e2231480. 
doi:10.1001/jamanetworkopen.2022.31480 
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2797597



【デザイン、設定、被験者】 この全国を代表する前向きコホート研究では、募集時に25歳から84歳の成人を対象に1997年1月から2018年12月の間にアンケートで収集した米国National Health Interview Surveyのデータを使用した。参加者は、2019年12月31日まで、原因別死亡率について追跡調査された。曝露 自己申告による募集時の喫煙状況、禁煙時の年齢、禁煙後の年数。

【主要アウトカムと測定】主要アウトカムは、全死因死亡率、がん、心血管疾患、下気道疾患による死亡率とした。Cox比例ハザード回帰を用いて、非喫煙者、元喫煙者、現喫煙者を比較した調整済み死亡率比を算出した。被験者から報告された人種、民族、性別で加重解析を行った。

【結果】主解析に含まれる551 388人の参加者の募集時の平均(SD)年齢は48.9(15.3)歳、307 601(55.8%)は女性、87 207(15.8%)はヒスパニック、75 545(13.7%)は非ヒスパニック黒人、355 782(64.5%)は非ヒスパニック白、32 854(6.0%)はその他の非ヒスパニック人種および民族であることが確認された。
25歳から89歳までの参加者における追跡期間中の死亡は74 870例であった(男性36 792例[49.1%]、女性38 078例[50.9%])。
喫煙の有無による全死因死亡率比(RR)は、全体で2.80(95%CI、2.73-2.88)であった。
RRは性別では同程度であったが、人種や民族によって差があった。

ヒスパニック, 2.01 (95% CI, 1.84-2.18)
非ヒスパニック黒人, 2.19 (95% CI, 2.06-2.33)
非ヒスパニック白人, 3.00 (95% CI, 2.91-3.10)
その他の非ヒスパニック人種および民族, 2.16 (95% CI, 1.88-2.47) 

45歳以前に禁煙した人と非喫煙者を比較すると、全死亡のRRは、
ヒスパニック系では1.15(95%CI、1.03-1.28)
非ヒスパニック系黒人では1.16(95%CI、1.07-1.25)
非ヒスパニック系白人では1.11(95%CI、1.08-1.15)
その他の非ヒスパニックでは1.17(95%CI、0.99-1.39)

リスク時の年齢,性別,教育水準,飲酒量,人種・民族で調整。マーカーはRRを、横線は95%CIを表す。低リスクは死亡リスクが低いことを、高リスクは死亡リスクが高いことを示す。
危険年齢、性別、教育水準、飲酒量について調整した。その他の非ヒスパニック人種および民族には、ヒスパニック、非ヒスパニック黒人、非ヒスパニック白人以外のグループが含まれる。マーカーはRRを、横線は95%CIを表す。低リスクは死亡リスクが低いことを、高リスクは死亡リスクが高いことを示す。

【結論と意義 】この前向きコホート研究において、多様な人種・民族の男女において、現在の喫煙は非喫煙の少なくとも2倍の全死因死亡率と関連していた。禁煙、特に若い年齢での禁煙は、喫煙継続に関連する相対的な過剰死亡率の大幅な減少に関連していた。

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