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勇気が足りなかった話

僕は独りだ 祈るべき神も 祈る言葉もとうに無いさ

中学生とか高校生くらいの頃、僕はあまり生きる意味というものを感じていなかった。それは別に死にたいとかそういうわけではなく、積極的な人生の楽しみというものがなかった。毎日は凪のようであり、時折発生する楽しいことは刹那的な点にしかすぎず、未来に伸びる線はどこにも見あたらなかった。

なんでだろう。今になってその理由を振り返ると、ひとつの仮説にたどり着いた。

それは、心が揺れ動くような体験をあまりしていなかったからではないか、と。

それは感動でも、悔しさでも、なんでもよかったのだ。少なくとも「心から」と形容できるような体験はほとんどなかったのではないか。

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僕は物心ついた頃には「お受験」をしていた。それこそ幼稚園の頃に、すでに小学校受験用の塾に通っていた。(驚く人もいるかもしれないが、世の中にはそういう塾があるのだ)

そして私立の小学校に行き、塾に通い、ある中高一貫校に行くことになった。お受験界隈では超有名校である。その時点で、人生で一番うれしかったのはその学校に受かったことだった。でも、ある程度訓練された受験生にとって、結果というのはある程度予測できる。予測の範疇にあることが発生したところで、大して感動はしない。むしろ得るのは安堵感だ。

これが普通ではないと実感したのはもっと後のことだが、小学校6年のときは週5日塾に通っていた。平日でも2時間とか3時間とかいう話ではなく、学校を終えてから5時間くらいは塾にいた。もっと長いときもあった。ただ、当時の僕は友達に会いにいくようなものなので特に苦とも思っていなかったし、念のために書いておくと僕は受験をして心から良かったと思っている。

ただ、左脳と右脳を使うバランスが人と違っていた。それだけのことだ。

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なにかに心から夢中になれる人を羨ましいと思うことがある。リスクを顧みず、とにかくやりたいからやるとか、誰かに、あるいは何かに憧れて人生の道を決めている人が。

僕はそうはなれない。目標らしきものを見つけたとしても、必ずたどり着けるルートがあるのかを確認してしまう。目標が正しいのかを確認してしまう。問題文を読んで、解けそうな道筋を頭の中で組み立てるように。

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でも、ここまで書いて思った。別の仮説を思い浮かべる。

仮に僕が小学校低学年のころになにか心が動くような体験をしたら、何かが変わったのだろうか?

答えは、否だ。なぜなら、僕は「僕は、これになりたい!」と力強く宣言できるような勇気を持ち合わせていなかったからだ。

勇気。

そう、勇気だ。

幼い頃の僕は、仮にケネディ宇宙センターに連れていかれても、宇宙飛行士になるんだと親に宣言することはなかっただろうし、F1レースを観たとしても、その次の年の初詣の絵馬にF1レーサーになれますようにと書くこともなかっただろう。それは勇気がなかったからだ。

なぜ勇気がなかったのか。

それは生まれつきの問題かもしれないし、後天的なものかもしれない。いずれにせよ、勇気がなかったのは僕自身の問題であり、それは僕が受け入れなければならない。

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今になれば、さすがに年をとったこともあって、紆余曲折はあったものの、やりたいことを見つけ、自分のことは自分で決めるようになった。

でも、それが10年、5年早かったら、あるいは違った人生があったのかもしれない。まあ、それは生まれ変わってのお楽しみということだ。いま僕はこの人生において、仮に後悔があったとしても、それはこの人生の残りの時間で取り戻すしかないのだ。

勇気がなかった?そのぶん、残りの人生において勇気を振り絞るしかない。
やりたいことがあった?今からでも遅くないかもしれない。

幸せな人生を歩むにはふたつの方法しかない。自分を騙し続けるか、自分の中で、「まぁ少なくともこのくらいできたら悪くないじゃん」と思える人生を歩むかだ。

おそらく世の中には嘘が上手い人がいて、自分をうまく騙し続けられる人もいるのだろうけれど、僕は残念ながら嘘がうまくない。となると、取り得る選択肢はひとつだ。

許されぬ過ちも どんな出来事も 振り向いたなら 懐かしい日々
運命は一瞬の ほんの出来心

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最後までお読みいただきましてありがとうございました。
今回だいぶ意識高いな、、大丈夫かなこれ、、と思いつつえいやでアップしております。

僕は感情を発露するのが苦手で、特に話し言葉でそれを表現するのは無理なので、書き言葉にしてみました。

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最後までお読みいただきありがとうございました。 このnoteのテーマは「自然体に綴る」です。 肩肘張らずに、「なんか心地いいな」と共感できる文章を探したくて僕も書いています。なにか良いなと思えるフレーズがあったら、スキ!やフォローをしてくださると励みになります。