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個の力を解放する。エンジニアに特化した採用代行サービス「プロリク」創業の想い

2018年、ITエンジニアに特化した副業人事による採用代行サービス「プロリク」の提供を開始した株式会社プロリク。サービス開始から2年半で累計60社の採用を支援し、前年比250%の成長を遂げています。「新しい価値の創造を通し、次世代に価値を還元する」というミッションのもとプロリクを立ち上げたCEOの橋崎良哉に、創業の理念や事業への想い、プロリクという組織の在り方について聞きました。

「個」の価値を解放したい

——橋崎さんのこれまでの経歴を教えてください。

東京の大学に在学中、Webサイト制作の会社を起こしました。これが初めての起業経験だったんですが、実はもともと、プロのバンドマンになりたかったんです。Webデザイナーとしてのスキルを身に着けたきっかけは、学生時代に自分が所属していたバンドを売り出すためにWebサイトを作るためでした。

バンドのサイト制作を経て、社会人交流会に参加することで税理士や個人事業主の方からHP制作の依頼を受けるようになり、学生ながら対価をいただく経験をしました。その後、就職活動をして内定をもらったのですが、やはり起業がしたいと思い、Webデザインの事業で起業をしたんです。

当時はライブドアの堀江さんやサイバーエージェントの藤田さんのような起業家がいて、起業ブームだったこともあり、周りにも大学卒業してすぐに起業するような方で溢れていました。そのような起業家ネットワークを活かして、若手起業家の方を対象に口コミでWebサイト制作の仕事をいただくことで事業を立ち上げていきました。

ですが、その頃、兵庫県姫路市で鉄鋼加工会社をしている私の家業が業績不振で傾きかけていたんです。そこで、家業に入るためにWebサイト制作の事業をやめて、父と一緒に会社の業績回復に取り組むことになりました。

家業では、業績回復に向けて経営分析をして原因分析、施策出し、決めた施策を実施するということを繰り返しました。工場に入って鉄を削ったり、2トントラックに乗って飛び込み営業したり、自社の新卒採用やマーケティングをやったり、いろんなことに取り組んでいく中で、結果的に、業績を過去最高まで持っていくことができました。
その後会社は兄弟に譲り、私は30歳で初めて就職することになります。大阪のデジタルマーケティングのベンチャー企業に勤めました。

当時、並行してビジネススクールに通っていたのですが、そこで統計学と出会い人生が変わります。それまで複数社の経営に関わり、勘と経験でビジネスの意思決定をすることに違和感を持ち続けている中で、統計の技術を用いてスマートに意思決定が出来ることに驚きと美しさを感じました。この非常に合理的な意思決定の技術を、企業が用いないのはとても機会損失になると強く感じたことを覚えています。
その後、デジタルマーケティングの会社は1年程度で辞め、前職である社員0名の友人の会社に取締役COOとしてジョインすることになります。ビジネススクールで学んだ統計の可能性を忘れられず、統計解析・機械学習で企業を支援する事業にピボットし、AIスタートアップとして会社を作っていきました。

前職では、AI実装支援や、AIスクール、AIを用いた自社プロダクト(SaaS)の開発、システム開発常駐支援(SES)など多様な事業を立ち上げましたが、その過程で、多くのITエンジニアの方々との対話の機会がありました。結果的に6年間前職に関わりましたが、2018年に独立してプロリクのサービスを始めたんです。

——プロリクのサービスを立ち上げたきっかけはなんだったのでしょうか。

まず前提となるプロリクのサービスを説明させてください。

プロリクは、採用をしたい成長企業のダイレクトリクルーティングを、弊社と副業のプロリクルーターがチームになって代行するサービスなんですね。つまり、企業と副業人事とを繋ぐという側面があるサービスです。そのような複数のステークホルダーが関係するサービスを立ち上げようと思った理由は、いくつかあります。

まずは、「採用のプロフェッショナルが横にいてくれたらどれだけ楽だったか」という前職での思いですね。前職のAIスタートアップでは結果的に社員70名くらいまで成長したのですが、その過程での採用を私が担当していました。当時はダイレクトリクルーティングのノウハウが出回っていなかったので、試行錯誤しながら採用の戦略設計をして、スカウトを打って、面接して、社員をアサインして。ノウハウがない中で取り組んでいたので、なかなか大変でした。プロリクというサービスは、あのときの苦労を解消しうるサービスだと感じた点が1つです。創業当時の2018年時点でもまだまだダイレクトリクルーティングのノウハウが普及していないなと感じていましたが、急成長中のスタートアップにとって生命線である採用は、外注してでも注力したい業務だろうと前職の経験から感じました。

また、当時、世の中のトレンドとして副業が広がりつつありました。人事でスキルがある個人が大きく活躍する時代になると感じたのです。その中で、オフィスにいる必要がなく毎日少しずつでも時間をしっかり使って進めていくダイレクトリクルーティングという業務の性質と、完全フルリモートで副業人事がプロジェクトを支援するというモデルはとても親和性があるように思いました。

副業というマクロトレンドとダイレクトリクルーティングの支援、これらを組み合わせればビジネスとして成立するのではないかと思って、プロリクを立ち上げたということですね。

もう1つ、会社の中で人事があまり評価されていないことが気になっていました。職種別の給与データを調べてみたことがあったんですが、人事は給与の頭打ちが他職種よりも早い段階で存在することが分かりました。営業やマーケティングなどと違って、人事は企業のコストセンターという捉え方をされているのではと感じるデータでした。ですが、前職で業績が急成長する中で、いかに人材採用の巧拙が、業績に大きなインパクトを与えるかは身に沁みていましたので、本来人事は企業の成長エンジンとなる非常に重要な職種なんですよね。その実感とデータとの乖離が大きいなと感じました。もっと給与面でも評価がされても良いはずなのに、実際には評価がされていないことに違和感がありました。

ただ、この違和感は決して人事に限定したものでもないとも思っています。前職で6年間いろんな方と面接をして、こんなに優秀でスキルがあるのに組織によって可能性に蓋がされているのではと勝手ながら感じることが多かったんですよね。組織が組織であることによって個人の可能性が狭まり、本質的な市場価値よりも低い給与しか支払われないことが往々にしてある。こういったことを目にする度に、個人の力が縛られているなと強く感じたんです。それを解放したいという思いがあり、その一つの課題解決の領域として人事領域での起業を選択しました。

著名大手企業からの依頼が増加し、市場が拡張している採用代行というビジネス。強みはエンジニア採用の深いノウハウ

——プロリクを立ち上げて一定時間が経過していますが、採用代行というビジネスの可能性に関してどう思われていますか?

まず、採用代行という市場が変化し、大きく拡大してきていると感じていますね。プロリクの事業をスタートした当時、ダイレクトリクルーティングの採用代行サービスを使っているのは、スタートアップが多くを占めている印象でした。急激な成長により業績と組織のギャップが大きくなる中、採用がうまくいかない、ノウハウがない。そんな企業様にサービスのご利用をいただいていました。

いま、ビジネスを立ち上げて3年ほど経ちますが、著名なメガベンチャーや上場大手企業からの大型案件が増えてきています。大手企業が利用する初めての採用代行としてプロリクを選んでいただける点で、市場が変化してきていると実感しますね。

——そうした大手企業からも依頼をされるプロリクの強みはどんなところにあるのでしょうか。

エンジニア採用の深いノウハウだと思っています。お客様から発注いただく際に最もお聞きする決定理由として、「最もエンジニア採用ノウハウを持っていると感じたから」と言っていただけます。プロリクのようにエンジニア採用に特化し、かつダイレクトリクルーティングに強みを持っている企業は、市場に少ないのではと感じています。

私自身9年ほどエンジニア採用に関わってきましたが、そこで得たノウハウの型化、品質の標準化を3年かけて進めており、少しずつ組織として強くなってきました。その結果として前年比250%成長という形に結びついているのではと思っています。

——ビジネススクールで統計学に出会い、その後AIや機械学習にまつわるビジネスに携わってきたわけですが、プロリクの事業にそうした点は影響していますか?

大きく影響しているのではと思います。「勘と経験」ももちろんビジネスを前に進める上で重要なものではあるのですが、それ以上にデータを活用し、データを根拠に思考することはビジネスを推進する上で極めて強い武器になると思っています。データを収集し分析して考察を加えることで、「これをやればここが伸びる」といった原因と結果の関係が明らかになります。そういったものを積極的に自社のプロセスに組み入れていますね。あるクライアントからは、「様々な質問に対して、データを根拠に方針の回答をしてもらえるので体験がすごく良い」と言っていただけることがありました。

本質的にフラットで受容から入る組織作りに挑戦
エンジニア採用ならプロリクというブランドを作りたい

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——今後プロリクをどのようにしていきたいと考えていますか?

まず、短期的には、現在の主サービスである採用代行のビジネスを大きくして、「エンジニア採用といえばプロリク」というブランドをしっかり確立したいと考えています。そのためにこれから組織を強化し、ノウハウをより型化して、品質を高めていく必要があります。

中長期的には、SaaS×データサイエンスという枠組みで、自社プロダクトを開発したいと思っています。機械学習はこれまで自分が一番長く携わってきている分野であり、強みなので、これがHR領域のプロダクトになるのか、あるいは別の分野になるのかは決めていませんが、データの技術を用いたプロダクト作りをしていきたいですね。

とはいえ、プロダクト作りは、当たり前ですが1つプロダクトを開発し、その1つが必ずグロースするというような性質のものではないですよね。いろんなアイデアを形にしてはピボットして、という繰り返しになると思っていて。その挑戦の打席にどれだけの回数立てるかが重要だと考えています。一度しか打席に立てないようなリスクを負ったプロダクト作りではなく、小さくても回数を重ねられる、会社として打席に立ち続けられる体制を構築する必要があると考えています。

——そうした展望を踏まえて、どんな組織を作っていきたいですか。

本質的にフラットな組織を作りたいと考えています。一時期、階層をフラットにする組織が流行りましたが、階層という観点のみの意味ではなく、より関係性をフラットにする組織を目指していますね。これを実現するために、「週4日以下の勤務だけど正社員」というような変則的な形にチャレンジしたいと思っています。

社員がなぜ会社で働いていてストレスを抱えるかというと、いろんな理由があるかもしれませんが、個人的には、自らで意思決定が出来ないこと、そして納得がいかない意思決定に従うメカニズムが働きやすい形で契約を結んでしまっていることだと思っていて。これは週5日間、完全に自身の時間を雇用契約で拘束され、生活の糧を1社に依存してしまうことから発生するものだと思っています。会社の言うことを聞かなくても自分の生活は大丈夫だという状態を作ることができれば、会社と社員はよりフラットな関係になるはずです。

正社員は週5日でなければならないと誰が決めたのでしょうか。プロリクは、週3〜4日の勤務でも時短でも、正社員としてお迎えします。その代わり週1〜2日は別の仕事を探してご自身としてプロリクに対するリスクヘッジおよびアップサイドも狙ってみてくださいと。そういった柔軟なワークスタイルが確立できれば、1つの会社に週5日所属し、変な意味で拘束関係が発生することなくよりフラットにお互いの関係が築けるのではと思っています。あまりこういう関係を築こうとしている会社を耳にしないので、会社としてもチャレンジだなと思っていますが。

「ほかの会社にいつでも行けるけど、ここにいたいからプロリクにいる」。そんな組織を作りたいですね。

——現在はフルリモート、フルフレックスとのことですが、今後働き方はどうなりますか?

フルフレックス、フルリモートの働き方が非常に合理的なので、今後もこの働き方を変えるつもりはありません。

顔をつきあわせて仕事をするメリットはあるでしょうし、コロナ禍が収束したら世の中はまた出社の比率が高まっていくのだと思います。ですが、フルリモートでありながら、リアルに会うことのメリットを補完できる仕組みや組織が作ることができれば、大きな差別化になりますよね。プロリクとしては右に倣えではなく、困難だけど合理的だと思える方にチャレンジしたいなと思いますね。

——フルリモートを支援するための制度はありますか?

よりリモートでの働き方をアップデートしていくために、自宅のデスクトップ周りを充実させるための支援を積極的にしています。椅子、机、ヘッドホン、ライト、webカメラなど、個人の状況に合わせつつ、仕事の生産性を高めるための支給をしており、正社員・業務委託に関係なく、プロリクにコミットいただける方にはそのような支援をしています。

一例ですが、IT企業の中にはエンジニアに対してハイクラスな椅子を支給するような会社がありますが、これからのリモート時代はエンジニアに限らず一日中座りっぱなしで仕事をして疲れやすい状況になっているため、エンジニアに限らずハイクラスな椅子で仕事するような環境であるべきだと思っています。

——今後の組織の在り方や働き方を受けて、プロリクではどんなカルチャーを醸成していきたいと思いますか?

成果の意味ではクライアントの期待を超えることにコミットする組織にしたいと思うんですが、一方で心理的安全性をすごく大切にしたいと思っています。まずは受容があり、気軽に議論ができる文化ですね。あくまで例えばですが、「●●がないとあなたがここに座ってる価値がない」というような表現は誰も得をせず、単純に人を傷つける表現だなと思っていて、多くのビジネスシーンで能力や成果の有無と、人間としての存在の価値を混在して議論される気がしています。そこを全く切り離して考える文化にしていきたいですね。

「あなたを受け入れます」という心理的安全性がなければ、自分のアイデアが出せないと思うんですよ。自分が出したアイデアを責められるかもしれないとおもったら何も言えなくなってしまう。だから、そこは分離して考える必要があります。

指摘や議論をしないという意味ではなく、成果や能力と紐付けて存在を否定することなく、まずは受容から入るというカルチャーを作っていきたいですね。

また、これは社内だけでなく、社外とのコミュニケーションに関しても全く同様の価値観を持っています。多くの副業の方、委託の方に関わっていただいてるプロリクだからこそ、まずは受容があるパートナー関係を築いていきたいと思っています。

多くの成功法則に触れることで再現性が高い採用の知見が身につく

——プロリクの採用コンサルチームにジョインすることで、どんなキャリア機会が得られるでしょうか。

一番はエンジニア採用のノウハウだと思っています。他社ではなかなか得がたい経験が積めるのではないでしょうか。何かしらの意思決定をするときにはデータの話をよくするので、そうした思考のクセを身につけていただくこともできるかもしれません。

現在は私含め数人しかいない組織なので、業務を何でもお任せできる状態です。今募集している採用コンサルタント職の主業務は採用のコンサルティング業務ですが、クライアントとの商談からクロージング、プロジェクトが開始してからはプロジェクトマネジメント(課題管理、品質管理など)、採用の戦略設計、方法論の設計、そして実際にスカウトを打つなど、ほぼすべての工程を担当していただきます。

ひとりの人事が平均的にキャリアの中で経験できるのは数社分の採用経験だと思うのですが、3~4社でうまくいった方法論が必ず他社でも通じるような本質的な成功法則かと言うと、そうじゃないケースもあるのではないでしょうか。

プロリクで何十社と担当していくことで、いわゆる‘偶然’や‘会社のブランドでうまくいった’採用ではなく、本質的な採用の技術、再現性が高い方法が見えてきます。これは人事の経験がある方にとっては大きなメリットかもしれません。

どんどん業務をお任せするので、ぜひご自身の能力を引き出していただきたいと思っています。

貧困や飢餓の問題への取り組みをライフワークに

——プロリクのカルチャーにはどんな人がフィットしそうですか?

フルリモートであること、成果に強くコミットする文化であること、また心理的安全性という点からも、タスクに責任を明確に持ち、自律的に仕事を進められる方、相互に尊重の意志を持てる方がフィットするのではと思います。

フルリモートで仕事がうまくいく要素の1つとして、成果にコミットできるかどうかは重要だと思っています。頼まれた仕事を放置したり、人から指摘がないとうやむやにしがちな方はフィットしにくいかもしれませんね。とても自由な働き方ができる環境ではあるけれども、人一倍責任を持って、仕事をやりきれる方と一緒に働きたいと思っています。

——最後に、橋崎さん自身の今後の目標を教えてください。

自分自身の人生のミッションとして、「次の世代に価値還元する」という想いを持っていて、ビジネスをする上での根幹の軸になっていますね。これは学生時代に抱いた想いで、40歳になった今でも何も変わらない想いです。ミッションを実現していく中でビジネスという方法があると考えていますし、また一つの具現化の方法として、個人的な想いですが、貧困・飢餓の問題に関わりたいと考えています。

社会には数多くの課題が溢れていると思いますが、多くの方が感覚として認識する「課題」は、時代によって移り変わりが激しいものではないかとも思っています。たとえば、現在では当たり前に多くの方の感覚として、男女均等は課題になっているのではと思いますが、もっともっと昔は男女の不均等は社会的な課題だと掲げたとしても、多くの方が首をかしげるような時代もあったように思います。

では、時代によって移り変わりにくい普遍的な課題とは何か。そう考えたとき、自分の中で出た答えは人の生き死にだったんですよね。中でも、自分が生きる機会、教育の機会が奪われてしまう「貧困や飢餓」に関する問題は、非常に変わりがたい課題です。募金のような形でしかまだ関われてはいませんが、50代か60代か分かりませんが、より深く関わるタイミングが将来あると思っていますし、生涯をかけてそれに取り組みたいなと思っています。

個人的にはそういう思いですが、まずはプロリクを育て、多くの個の力を解放するお手伝いが出来ればいいなと思います。

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