見出し画像

内側に秘めた裂き織の魅力

「The Authentic Down Jacket」のクラウドファンディング限定「本染め刺子ジャケット」。前回は本染めを行う京屋染物店についてご紹介しました。

今回は内ポケットに採用した「裂き織」と、裂き織を行う「幸呼来Japan」の魅力をお伝えします。

刺子ダウン_中面

◎裂き織とは

「裂き織」の起源は江戸時代中期。寒冷な気候のため綿や織維製品が貴重だった東北地方にあると言われています。当時は日常生活に用いる衣類や布団などの布を、裂いて細く繊維状にし、ねじりながら織り上げていました。17世紀になって、東北地方にも木綿の古布が入るようになり、その肌触りのよさは多くの人を魅了しました。

画像5

しかし、古布とはいえ安いものではなかったため、貴重品として「使い切る」文化の中で裂き織技術が発展していきました。近年は、繊維製品が手に入りやすくなり、裂き織はあまり織られなくなりましたが、一方で、その独特の風合いや芸術性、古布や残反(生地の残り) を利用するという特色が注目され、アパレル・インテリア系のデザイナーからもデザイン性の高いエコファブリックとして見直されてきています。

◎幸呼来Japan

このような日本古来の伝統工芸である 「裂き織」を通じて、社会の「もったいないを、もっとゆたか」に変えるイノベーション事業に取り組んでるのが、岩手県盛岡市に工房を構える「幸呼来Japan」です。

幸呼来Japanでは、裂き織技術の伝承と障がいのある方の働ける場づくり、そして廃棄物のアップサイクルという3つのサスティナビリティの理念をもって、新たなブランド「saccora」をはじめ、多くの裂き織製品を世に送り出しています。
また、さまざまなブランドとのコラボレーションにも積極的に取り組んでいます。

画像7

▲「saccora」のトートバッグ。全面に裂き織を使用。

画像7

▲Onitsuka Tiger (オニツカタイガー)とのコラボスニーカー。

「裂き織で障がい者の雇用の場をつくり、地域の伝統技術を未来につなぎたい」と、今までになかった「裂き織 × ビジネス」に挑戦している企業です。

◎さっこらプロジェクト

「さっこら project」は、アパレルメーカーなどで眠っているあまり布を、東北の織り子たちの技術によって裂き織にし、あらたな魅力を持った生地として納品するプロジェクトです。

地域の支援学校などで裂き織を学んできた障がい者や、地域の伝統技術を継承する裂き織サークルのメンバーを含む「幸呼来 Japan」チームで織り作業を担当しています。

画像8

今回の「本染め刺子ダウンジャケット」も京屋染物店で染色したあまり布を裂き織にした生地を内ポケットに使用しています。

刺子ダウン_裂織ポケット_01

裂き織は、その工程のほとんどが人の手で行われます。布を細く裂いてよこ糸をつくり、経糸を通した織り機で一段一段ていねいに織り込んでいく。人の手を通じて、ものを愛おしむ気持ちも一緒に織り込まれています。だからこそ、機械では表現できない暖かみのある独特な風合いを生み出すのです。 

画像8

使われなくなった布を裂き織することで、新たな命が吹き込まれ、温かみのあるものに生まれ変わる。そんな裂き織が使われていることを知ると、よりダウンジャケットに愛着がわきます。

刺子ダウン_01

クラウドファンディングは7月スタートです。岩手の素敵な工芸とコラボしたダウンジャケット。より多くの方に届きますように。


いただいたサポートは今後の活動に活用致します。