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手染め刺子とダウンの融合

先日のnoteでご紹介したD2C*¹ ブランド「Hayachine Made(ハヤチネメイド)」の「The Authentic Down Jacket」。

実は、この「The Authentic Down Jacket」にはある思いが込められています。

それが、「全国の様々な伝統工芸の織地や新しいテキスタイルでダウンジャケットをつくりたい」ということ。

その第一弾として、岩手県一関市の京屋染物店で手染めした「本染め刺子」生地を使ったダウンジャケットを制作しました。さらに内側のポケットには岩手県盛岡市の「幸呼来(さっこら)Japan」が京屋染物店のあまり布を裂き織にした生地を使用しています。

岩手の伝統的な工芸とコラボした特別なダウンジャケットです。

刺子ダウン_01

刺子ダウン_中面

今回は刺子生地を本染めする「京屋染物店」「本染め」「刺子」の魅力に迫ります。

◎新たな挑戦を続ける染物屋「京屋染物店」

染色01

京屋染物店は、岩手県南の城下町「一関(いちのせき)」で100年続く染物屋です。 世界遺産平泉の浄土思想や伝統芸能、数多くの伝統工芸品が生まれたこの地で、「日本の祭りを支える」を使命に、半纏、浴衣、手ぬぐい、暖簾などの染物を作り続けてきました。

本質を追求したものづくりに取り組む京屋染物店の工場は、「乳幼児にも安心なエコテックス®︎スタンダード100」のプロセス認証を取得し、認定工場での繊維製品作りはSDGsへの取組みとして事業認定されています。

新たな取り組みに挑戦し、新たな伝統を作り上げていく。そして、受け継いだ伝統を後世へつないでいく。

100年積み上げた経験値のもと、チャレンジ精神溢れる想像力豊かな職人たちが、お客様の想いやこだわりを実現する染物屋です。

0_店舗(圧縮済)

◎手染めの深い色合い「本染め」

コラボダウンジャケットには、「本染め」という技法で染めた刺子という生地を利用しています。

本染めは、日本で明治時代から伝わる伝統的な染めの技法です。

型枠に染料を直接注ぎ、木のヘラで押し込むことで染めるこの技法は「手捺染」と呼ばれ、生地繊維の奥まで染まるため、深く味わいのある色合いが表現されます。

触れると温かさを感じる染め方。それが「本染め」です。

刺子手捺染2

京屋染物店の職人によって深く染められた刺子生地。長くご使用する過程で擦れや適度な色落ちにより、より深みのある色合いへと変化していきます。

使えば使うほどその人に馴染むダウンジャケット。職人の手で染められるからこその味わいです。

◎日本の心と文化の継承「刺子」

江戸時代、木綿はとても貴重でした。着物を何枚も重ね布地を刺し縫いし、保温、避暑、補強の用途として使用されていました。次第に、祈りや願いが込められた吉祥柄を刺し縫いすることで、厄除け、魔除け、子の成長、五穀豊穣、商売繁盛など、祈りや願いが込められるようになりました。

当時、木造家屋が立ち並ぶ町ではひと度火の手が上がると、たちまち燃え広がりました。その火に勇敢に立ち向かい町を守ったのは、「火消し」と呼ばれる消防組織。彼らは堅牢な刺子半纏を身に纏い、命がけで消火活動にあたりました。

刺子生地

大切な人の安全と幸せを願った日本の「刺子」。今私たちが平和で幸せに暮らすことができるのは、美しい日本の心と文化が脈々と受け継がれてきた証です。

この刺子生地にも撥水加工が施されており、「The Authentic Down Jacket」同様にトリプル撥水ダウンジャケットです。

機能面も抜け目ありません。雨や雪の日も安心して着用できます。

刺子ダウン表面

◎あまり布をポケットに。「裂き織」の魅力

「本染め刺子ダウンジャケット」の魅力は表地の刺子だけではありません。

内ポケットには京屋染物店のあまり布を「裂き織」した生地が使用されています。

東北地方で古くから伝わる「裂き織」は、使わなくなった布などを細く裂いてよこ糸をつくり、経糸を通した織り機で一段一段丁寧に織り込んでいく織り方です。

木綿が貴重だった時代に始まった「裂き織」。布を大切にしようという思いが込められています。

刺子ダウン_裂織ポケット_01

次回は京屋染物店のあまり布を裂き織する岩手県盛岡市の「幸呼来Japan」、そして裂き織の魅力をお伝えします。

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