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短編小説:ちんちんと僕


こんにちは。ぼくは千葉にすんでいる男です。
今日はある人に頼まれたので僕のことを書いていこうと思います。

ぼくが生まれたのは千葉のある病院です。どうやらぼくは逆子だったらしく、おかあさんがぼくを生む時に首にへその緒が巻きついてしまいました。
ぼくは呼吸が一瞬止まりかけたそうですが、周りの人達が頑張ってこれたおかげで今は生きています。

そんなぼくも健康にすくすくと育ち、15才の時に中学校を卒業して引越し屋さんで働き始めました。
毎日同じことをしていればお金がもらえるのです。ぼくはとても楽しかったです。
先輩からタバコをもらいました。最初は咳が出ましたけどだんだんとおいしく感じました。

仕事にも慣れてきたころ、ぼくは本屋で本を買うようになりました。
読むとちんちんがムズムズしてきもちがいいからです。ぼくはその本を読むことで女の人の体がどうなっているか知りました。
女の人にはちんちんを入れる場所があり、そこにちんちんを入れるときもちが良くなるそうです。

ぼくは毎月のお給料が手に入ったら買うものは決めていました。お菓子とジュースとタバコ、それとその本です。
ですがお菓子とジュースとタバコはやがて無くなってしまうのですが、本はしまう場所がありません。
ぼくは自分の部屋の押し入れにその本を入れておきましたが、それでも入り切らなくなってしまいます。
仕方ないのでぼくはその本を家族が使うトイレと押し入れにしまうことにしました。

ある日ぼくはビデオを買うことを覚えました。本で見ていたその行為が動画で見れるからです。ぼくは真新しいビデオデッキとヘッドホンを買い込み、毎日毎日そのビデオを見ました。
ですが本と違ってビデオは分厚いです。自分の部屋から本を引っ張りだしてビデオのスペースを作っていましたが、どうにも収まらなくなってきました。

その内に家族の目にも触れるようになってきて、おかあさんが本とビデオを捨てろと行ってきました。
ぼくはどれも捨てたくありません。とりあえず「うん、わかった」とその場をやり過ごし家族の使うトイレにまた本を置きました。

そして僕が26才の時です。
ぼくにお見合いのお話がきました。相手は6才年下の看護婦さんをしている人です。ぼくはこころよくお見合いの話を受け入れました。お嫁さんは決して美人ではなかったけれど、これからこの人にちんちんを入れていいんだと思うとワクワクしました。

結納を無事に済ませた後、お嫁さんは少しうちで過ごすことになりました。同じ布団で寝ることになったので、きっとこれはそういう事でしょう。
ぼくはお嫁さんにちんちんを入れました。とてもきもちが良かったです。「ゴムを付けて」と言われましたがなんのことか知りません。
なぜか終わった後にお嫁さんは泣いていましたが、それはとてもきもちが良かったからでしょう。

結婚式を目前に控えたある日、お腹に赤ちゃんがいるということがわかりました。ぼくは特になんの感情もわきませんでしたが、とりあえずおめでとうと言いました。
どうりで最近お腹がふっくらとしてきたなと思いました。ですがぼくは構わずその夜にちんちんを入れました。
「今日はやめて」とお嫁さんに言われましたが、どうせ入れればお嫁さんもきもち良くなるのです。

数ヶ月後、生まれたのは元気な女の子でした。
小さくてとても可愛いです。家につくとお嫁さんのおっぱいをたくさん飲みました。そしてぼくはたまに赤ちゃんをお風呂に入れてあげました。
股の部分を見てみると、ちゃんとちんちんを入れる穴がありました。

ですが娘が言葉を覚えだした頃です。
お嫁さんが娘をつれて出ていってしまいました。ぼくの家族も親戚も大騒ぎしました。今のように携帯電話がない時代です。
最寄りの宿やホテルにそれらしい人はいないか、必死にみんなで探し回りました。
ですがどうしても見つかりません。

諦めかけた時、うちに電話がかかってきました。相手は裁判所の人でした。
どうやらお嫁さんは離婚調停を希望しているということです。まだ娘が小さいのに何を言い出すのでしょうか。
とにかくお嫁さんの居場所がわかったので、ぼくはおとうさんとおかあさんと一緒にお嫁さんのところに行きました。
娘は無事でした。

お嫁さんは大きな鞄と娘を抱えて震えていました。聞けばぼくと離婚して娘と生きていきたいということです。
真っ先に反対したのはうちのおかあさんでした。
そして「苦労させて悪かった、離婚はしてもいいけど娘だけは置いていってくれないか」とおかあさんは言いました。
コブ付きの女が1人で幼子を育てられる訳がありません。
それよりもうちは家も土地もあるしここで暮らした方が娘は安全です。
お嫁さんは涙を流していました。いつかきっと迎えに来ますからと、それだけ残して娘を置いていきました。

娘がどんどん大きくなり、小学生になった頃です。次第に「うちにはなぜおかあさんがいないの?」と聞くようになりました。
めんどうだったのでお前のおかあさんは死んだんだよ、と言って聞かせました。
こう言えば娘はそれ以上なにも聞いてこなくなるからです。
おじいちゃんとおばあちゃん、僕からしたらおとうさんとおかあさんです。
ぼくが答えないので今度は娘が2人に聞きに行きました。どうやら「お前は橋の下から拾われてきた子供だ」と言われたそうです。
これでお嫁さんのことを聞いてくることは二度とないでしょう。

中学校、高校と成長するにつれて娘の体はどんどん成長しました。
そのうちに働く事を覚えはじめましたが、ぼくは心配していました。彼氏が出来ていないか、誰かが娘にちんちんを入れていないかそればかり気になりました。
しかし聞いても教えてくれません。
諦めてぼくは本とビデオを見ることにしました。
昔は娘とビデオを見ていましたが、今は一緒に見てくれません。きっと成長したのでしょう。

働き始めて10年を迎えた頃、ぼくは仕事でちょっとした事で注意されて嫌になってきました。
そのイライラを発散させるため、出会い系で知り合った女の人に支えてもらいました。ぼくはほとんどお金がないのでホテルは使えません。女の人にちんちんを入れる時はずっと車の中です。

ぼくは自分で言うのもなんですが女の人にモテました。出会い系の女の人はすごく寂しがり屋で、四六時中電話がかかってくるのです。ぼくは家の電話を使い過ぎて毎月の電話代はいつもの3倍になり、おかあさんに怒られてしまいました。
出会い系を使っているのが知られたくないので、ぼくは携帯電話を買いました。

ぼくは仕事でのイライラがピークに達しました。
ですがそんなぼくに事件が起こりました。通勤中のことです。車で後ろから玉突きされてしまい、ぼくは首を捻挫してしまったのです。
ぼくはこんな体で仕事はできませんので、辞めますと電話で言って職場を出ていきました。電話口で何かいろいろ言われましたが、無視することにしました。

ところがいいことに気が付きました。
ぼくが働かなくてもこの家はおとうさんおかあさんの年金と、娘が支えてくれています。

つまり、ぼくが働く必要は無かったのです!

必要なお金はおかあさんに言えば出してくれます。娘とおとうさんは渋ってお金を出してくれません。 
仕方ないので娘にはおかあさんから言ってもらうことにしました。「父親がお金で困っているんだから助けて欲しい」と。そうすれば娘はお金を出してくれるのです。娘が聞き分けのいいとても良い子に育ちました。
ぼくは手に入れたお金で携帯電話代とガソリン代、そしてクレジットカードでのお金を払うのです。
しかしそれも長くは続きませんでした。
娘は次第にガお金を出してもらえなくなりました。
娘が家を出ていってしまったのです。
仕方が無いのでガソリンスタンドのお兄さんには額をツケにしてもらいました。

しばらくたち、ぼくは水商売の女の人が好きになりました。そこはフィリピンやタイの女の人がいるお店でしたが、そこの人たちはちんちんを入れさせてくれました。ぼくは飲めないお酒を必死に飲みました。女の人が喜んでくれるのが嬉しいからです。
なぜか帰り際にたくさんお金を支払うよう言われましたが、ツケにしてもらいました。
働きたくは無いですが、どうにかお金を作らなければなりません。

それからしばらくたつと、とんでもない事が起こりました。
なんとおとうさんが死んでしまったのです。
お酒が好きだったおとうさんでしたが、朝起きたら冷たくなっていました。ぼくは動かないおとうさんを見て、悲しくて可笑しくてたまりませんでした。

おとうさんの葬儀が終わって半年後。ぼくはおとうさんの名義になっていた土地を売ることにしました。
農家をやっていたおとうさんに感謝です。あちこちに小さな土地があったので不動産屋さんに協力してもらいました。これでクレジットカードの借金はチャラになるはずです。

そして半年後、おかあさんが倒れてしまいました。元々体の弱かったおかあさんはベッドで寝たきりになりました。ですがこれはチャンスです。
出ていった娘が戻ってくるかもしれません。
ぼくはゴミだらけの部屋から携帯電話を拾い、娘に電話をかけました。ですが出てくれません。お金がなければ電気代もガス代も払えません。娘はぼくたちを見殺しにするつもりでしょうか。
ぼくは片っ端から電話をかけてみましたが誰も出てくれません。仕方なくぼくは弱ったおかあさんを車に乗せて親戚中連れて回りました。このおかあさんの姿を見れば誰かがかわいそうと思い、助けてくれるかもしれません。

ですがぼくのこの行動のせいか、ある日気がついたら親戚中が家に集まっていました。
もしかしたらお金を貸してくれるかもしれないと期待しましたが、どうやら違うようです。なぜか市役所の人と老人ホームの人までいて、何やら難しい話をしだしました。ぼくには内容はさっぱりわかりませんでしたが、おかあさんは老人ホームに入居するということです。
ぼくはそれに賛成せざるを得ませんでした。

おかあさんがいなくなったあと、家には僕一人になりました。
土地を売ったはずなのにクレジットカードの借金は減っていません。家には赤い封筒の手紙が続々と届きました。
そしてついに、ぼくは実家を売ることにしました。
3ヶ月もたてば解体工事は終わります。
しかしそれが娘に見つかってしまい、泣かれました。それよりぼくは久しぶりに娘に会えた嬉しさでいっぱいになり、思わず笑がこぼれました。娘は成人した後にしっかりと自活し、自分の人生を歩んでいました。
とりあえず今までのお金を返そうと思い、1000円札を出しましたが受け取ってくれません。
何故なのかわからないまま、娘がいいたいこともわからないままその日は日が暮れるのを待つだけでした。

それから2年後。おかあさんが死んでしまいました。
これでは親戚中からかわいそうと言ってもらえません。ぼくはどうにか助けてもらおうと必死に誰かに連絡しました。誰にもお金をかしてもらえません。それどころか「貸したお金を返せ」と言ってきます。なぜみんなぼくの顔を見ると怒るのでしょうか。よくわかりません。

ぼくはしばらく女の人の家で過ごす事にしました。ですが問題が発生しました。ぼくのちんちんがうまく起き上がらなくなってしまいました。
こんなことでは女の人を悲しませてしまいます。
ぼくはネット通販でクレジットカードを使い女性用バイアグラを買いました。それを使うと女の人は喜んでくれました。
しかしまた別の日、ぼくはお金が無いというと触らせてもくれなくなりました。

ぼくは思わず鏡を見ました。
髪も薄くなり、頬もたるんですっかり老けてしまいました。それも全部ストレスをかけたぼくのまわりの人間のせいです。

ところでぼくはお腹がすきました。
誰か食べ物を分けてください。




後書:私の父になりきってみて思い切り書いてみました。現在は生活保護を受けて暮らしています🍞

#短編小説
#父親
#毒親

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