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現実と理想が身体を通じて相互作用するプロセスのフレームワーク

「今日の無神論者のための神話」と題して、人間存在が論理的にどのように理解されるかや、そこから読み取れる生きる意味について共有していきたいと思っています。

今回はその「今日の無神論者のための神話」中の一部を概観したいと思います。

人間も物理的な物質によって形作られた存在です。精神的な活動もありますが、物理的な原理に則って機能していることに違いないのです。以下のようにです。

  • ローデータの入力

  • 自己都合抽出

  • 演算処理

  • 世界観構築


ローデータの入力

どのようにローデータを入力していくのでしょうか?

人は身体的な活動によって能動的に情報を取得します。あるいはじっとしていても常に外界の情報に晒されています。以下のように3つに分解してみましょう。

  • 生理的な反応 / 意識的な行動

  • 肉体の状態(内部)

  • 環境の状態(外部)

更に要素に分解します。

反応や行動によって身体がどうなったか。
その身体に付属する感覚器官がどう感じたか。

反応や行動は、脳内や神経系の伝達物質の機序と考えることができます。
心については心拍数や血圧等と置き換えてもらえればいいかと思います。

このようにしてローデータが入力されます。

自己都合抽出

自己都合抽出とは、入力されたデータの全てをいちいち処理していたのでは能率が落ちるので、遺伝子が残って、増えるためだけに必要な情報だけを抽出します。

「網様体賦活系」等で調べると詳しいです。

また、脳の回路は3つ用意されています。

  • 分散注意

  • 集中注意

  • 注意切替

同時に全体を注意しておく必要がある場合の回路と、
一つのことを継続的に注意しておく必要がある場合との回路と、
2つの回路を切り替えるための回路とです。

「DMN」「CEN」「SN」等で調べると詳しくあるはずです。

これらは食べながらも捕食されないことや、捕食する際の追跡等を目的として発達した機能かと思います。

また、不確定原理において「位置」と「運動量」とを同時に確定できないこととも関わってくるものとも考えます。

能部位でいうと網様体賦活系と回路は別のものとして扱われるものですが、簡素化するためにここでは一緒にしてしまいます。

演算処理

こうして抽出された情報は、5つの代表的な演算処理を施されます。

  • 身体(物理作用)

  • 感受(好悪の変数)

  • 連想(記憶の編集)

  • 意思(意向の形成)

  • 識別(判定基準の生成)

大別して物理と精神とに分けましょう。
物理作用は身体に関することです。
全身に巡らされた神経が脊髄と連絡し合って反射したりするシステムのことです。

精神作用については4つあります。

感受とは、皮膚に触れた針が痛かったり、味が甘かったりすることです。感覚そのものを好都合なものか不都合なものか中立なものか{-1~1}の範囲で変数化します。6つの感覚器官(目、耳、鼻、舌、体、心)でそれぞれどのような性質を示すのかを判断する機能です。

連想とは、入力されたデータについて過去の記憶と照合することです。同じ音楽を聞いても人によって連想する風景が違うのは、その人の経験が異なるからです。また、未来について考える際も、過去の記憶を切り貼りして理想を作り出すこととなります。

意思とは、感受したり連想したことからどうするのか決めることです。反射的に反応することも含まれます。時間スケールが異なるだけで、入力に対して何か出力することを全て意向とします。脳内の神経伝達物質の流れとも言えます。

識別とは、納豆を食べたときに腐った豆とするか美味しい発酵食品とするかの違いといえます。あるものとそれ以外とを区別することです。言語の恣意性とも関連するかと思います。

これらは複雑に絡み合いながらはたらきます。
このような5つの機能の出力の違いが一般に人間の個性として理解されるものです。

世界観構築

このようにして、入力されたデータは最終的に以下のように出力されます。

  • 理想

  • 反応 / 行動

  • 現実

理想とは、現実に対してどうありたいか、どうあるべきかということです。
反応 / 行動とは、理想に即して取った実際の身体の動きです。
現実とは、反応 / 行動の作用した結果です。

熱湯がかけられたときに、瞬時に手を引きますが、これは反応 / 行動です。その瞬間の前後に生成される理想とは、熱によって皮膚の異常をきたさないことです。また、熱湯とは現実であり、行動の結果やけどをしたというのも現実です。

反応 / 行動にはローデータと同じように「思い」「言葉」「行い」に分解されます。
やけどせずに済んでも、なんでこんな事になったんだと現実を受け入れられないと苛ついてしまうかもしれませんし、理想が高すぎて手を引くのがもっと早くできたと後悔するかもしれません。思わず「あっつ!」と口に出すかもしれません。

いずれにせよ「現実」と「理想」の差分が「反応 / 行動」なのです。
そして私達が認識する「現実」とは、ローデータの時点で身体的個性に影響を受け、更に自己都合で抽出され、好き勝手に演算処理した結果のものであるということを心に留めておく必要があるかと思います。

逆に言えば、「現実」も「理想」も「行動」もこれらの仕組みがわかっていれば多少は意識的に都合よく形成することもできるのです。

最期に

これらのフレームワークによって人間が何をしているのかが整理されて、誰かの世界に対する理解が深まれば幸いです。

今後は、これらの当たり前といえば当たり前の構造から、人間の存在価値を高めるために意識的に形成すべき世界観について深堀りしていければと思っています。

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