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Project NAKAがクラウドファンディングを行う理由

Project NAKAは、他分野とのコラボレーションにより、クラシック音楽の可能性の大きさを探る試みです。現在開催資金をクラウドファンディングにて募っています。これまでご支援くださった方々、ありがとうございます。

ここでは、Project NAKAがなぜクラウドファンディングを行っているのか、その目的を改めてお話ししたいと思います。昨今の状況の中文化支援が盛んに叫ばれていますが、実際”文化を支援する”とはどういうことなのでしょうか。以下、具体的に解説します。もちろんこれは当プロジェクトの場合ですが、分野を問わず、多くのアーティストや芸術団体にとって同じような状況ではないかと考えています。

文化・芸術を体験するために

音楽家、俳優、画家、ダンサー・・・これらの職業は、「発表する場所」を必要とします。そして観客や聴衆は「鑑賞する場所」を訪れます。当たり前のことですが、その両者が集う「場」があるからこそ、届ける側も受け取る側も、アートを身をもって経験することができるのです。その「場」を構成するものは大まかに考えて4つです。

①パフォーマンスや展示物
披露するパフォーマンスや、展示する作品です。アーティストはその本番のために練習や訓練、制作を行います。

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②観客・聴衆
作品を見たり聞いたりする人です。基本的にはチケットを購入し、鑑賞に訪れます。

③会場
①と②が同時に存在できる場所そのものです。ホールや大部屋、屋外など種類は様々ですが、多くの場合借りて使用します。

アレイホール

④道具
パフォーマンスや制作に必要な道具です。ピアノ等の楽器、衣装、スクリーンやプロジェクター、パソコン等、公演内容によってさまざまです。アーティスト自身のものを使う場合と、会場やレンタル会社から借りる場合、または購入する場合があります。

4 - コピー

これらは非常にシンプルな要素に思われますが、このうちひとつでも欠けると、アーティストは披露の場を、観客や聴衆は作品に出会う場を持つことはできません。

①から④にかかわるお金

では、①から④についてどのようなお金の動きがあるのか、見ていきます。簡単なグラフに、公演の収支の割合を示してみました。

収支図

まず支出です。
”会場費”は、当日の会場、使用する付帯設備、そしてアンサンブルであればリハーサルのために大きめの部屋が必要になるため、その代金も含んでいます。前述の③と④に該当する部分です。
”出演料”は、公演でパフォーマンスするアーティスト(今回は8名)へ支払われます。”作品制作料”は映像の作成や、作曲の委嘱にかかる費用です。これらが上記の①のためのお金です。
”その他事務費用”では、④の一部を調達するためや、書類等の郵送費用、当日のプログラムの印刷費など細かい経費を想定しています。
以上が主な支出です。

そして②における、観客・聴衆がチケットを購入するお金が、公演事業での主な収入源となります。
割合はそれぞれ異なるものの、収支の構成はどの興行でも似ているのではないかと考えられます。

上のグラフのように、多くの公演において、チケットの売り上げだけではすべての費用を賄いきれません。このままでは、再び①から④をそろえることは困難なため、継続した公演は不可能となり、「場」は消えていきます。

そこで、グラフ上の赤い「不足分」を補う必要があります。

不足分を埋める方法

では不足分を埋めるにはどうしたら良いのか、考えうるパターンを記してみましょう。

1.チケット代を高くする
まずはチケットの値段を上げることです。しかし、本来の倍以上の値段で同じ枚数を売ることは難しいものです。手が出にくい値段になってしまうと、鑑賞したいという意欲からも遠ざかる原因になり得ます。さらに、学生券の設定も不可能となり、公演を鑑賞できる層が限られてしまいます。どんな人でも気軽に足を運んでもらえるチケットの値段で、カジュアルに楽しんでもらいたいと願う当プロジェクトには、適した方法とは言えません。

2.支出を減らす
次に、支出を減らすことです。
”会場費”は場所ごとに既定の料金があるため、削減は難しいと考えられます。
”出演料”や”作品制作料”はアーティストとの交渉次第ではありますが、パフォーマンスに見合った金額であることが大前提です。適当でない額であれば、今後アーティストと良好な関係を築くことは難しく、公演自体が継続できないでしょう。
参加するアーティストの数を減らすことも考えられますが、公演の規模を縮小することにつながるため、結局販売できるチケットの枚数を減らすことになったり、公演自体の意義を守ることが厳しくなったりします。
”会場費”や”事務費”に含まれる道具のレンタルや購入にかかる費用も、パフォーマンスの内容に直結してくるため、削減には限度があります。
無駄のない予算を立てた上で、それ以上に支出を減らそうとすることは、公演自体のクオリティを下げることにつながります。そのような公演に足を運ぶ人はいないでしょうし、アーティスト側も本意ではありません。

3.企業や行政の助成を受ける
企業や財団、行政の中には、文化活動への助成を行っているところがあります。多くの場合審査があり、そこで採択されることが条件ですが、有効な手段の一つです。当プロジェクトも、光山文化財団様より第一回公演に際して費用の一部を助成して頂くことになっており、非常に大きな助けとなっています。

以上、不足分を補う方法を考えてきましたが、1~3の方法で補い切れない場合、活動を金銭的に支援してくれる企業や個人が必要となります。

クラウドファンディングを行う理由

そこで当プロジェクトは、その個人をクラウドファンディングで募ることにしたのです。このプロジェクトに賛同してくださる人々にサポーターになってもらい、「場」の確保のため資金を援助してもらおうということなのです。
音楽や演劇の公演、映画祭、展覧会等では、企業のスポンサーがついて、広告を出す代わりに金銭的な支援をしているパターンも多くありますが、当プロジェクトでは「支援する個人が集まること」によって、「場」を作り出す団体があってもよいのではないかと考えました。

プロジェクトの意義に共感してくれた支援者の方々、できうる限りの準備をして臨むアーティスト、プログラムを楽しみに公演を訪れる観客や聴衆。それぞれが、より個人的な思い入れをもって公演を楽しむことができるようになるのではないでしょうか。そうして存在できる「場」はこの上なく充実したものとなるはずです。

当プロジェクトは、この流れを生み出すことも目標としているのです。

最後に

コロナウイルスの影響で、例えばライブ配信の機材の調達や、少ない客席に伴うチケット販売枚数の減少により、どんな公演においても、更に”不足分”が増えることは確実で、文化が存続することの危うさが浮き彫りになりました。
しかし、ご覧の通り、このような事態でなくとも、文化や芸術は常に「支援」があってこそ存在できるものなのです。この「場」を生み出すために、当プロジェクトは、今後回を積み重ねても、この方法で支援を募っていくことを続けていきたいと思っています。

音楽にかかわらず、多くの分野において共通するのではと思うことを記しました。賛同してくださった方は、記事のシェア、そしてご支援をお願いいたします。

Project NAKA クラウドファンディングサイト
https://a-port.asahi.com/projects/projectnaka2021/

Project NAKA オフィシャルサイト
https://www.projectnaka.com/


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【Project NAKA】他分野とのコラボレーションにより、クラシック音楽の可能性の大きさを探る試み。第一回公演は2021年3月6日、7日。 詳しくは https://www.projectnaka.com/ メルマガの一部をnoteで公開中。 主宰:伊澤悠(ピアニスト)
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