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アーティストコラム第7回

---Column---
参加アーティストコラム、第7回はアニメーション作家の福地明乃さんです。最後には本コラムのための書き下ろしのイラストもございます。お楽しみください。

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初めまして。アニメーション作家の福地と申します。
普段は、TVCMや子供番組、ミュージックビデオなど様々な分野でアニメーションを制作しております。
今年の初めごろ、主宰の伊澤さんよりメールを頂いた事により、本プロジェクトに参加することになりました。拙い文章ではありますが、コラムをお楽しみいただけますと幸いです。

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「クラシック音楽とアニメーションの融合」伊澤さんからメールを頂いた時からずっと頭の中に課題として残っていた。アニメーションと音楽。その関係は非常に親密で重要だと私は思う。

アニメーションにおける音や音楽は演出の一部であり、作品の主要な要素だ。
いわゆる映画音楽として客観的に演出したり、時には心象を表現し、時には物語上に配置されているラジオやスピーカーから流れる音楽であったり、登場人物に歌わせるよう演出することもある。

このほかにもセリフ、効果音など、様々な音の要素が合わさる事により作品の空間はより広がり味わい深いものになる。このように、実体を持たないアニメーションにおいて音楽や音の構成は作品の世界観を認知してもらう上で非常に大切な要素だ。

また、一般的にアニメーションや映像作品に使用される音楽は、その作品の構成や意図を汲んで制作されることが多い。つまり作品としての音楽ではなく、映像音楽として視覚的には表現できない部分を補う役割を担っている。

しかし、今回は一風変わった制作アプローチになるかもしれない。なぜなら、アニメーションと音楽それぞれが自立し互いに成り立つ作品を模索しなければならないからだ。これには非常に頭をうんうんと悩ませながらもアニメーションの構想を練り始めていった。

そうして、頭を悩ませながら作品の構想を練っていると、伊澤さんから今回のコンサートで演奏する楽曲の楽譜を頂いた。その中で思わず「なにこれ…!」と笑ってしまうほど強烈で面白い内容の楽譜があった。

それは一般的な楽譜とは違い、やけに大きな音符やぐちゃぐちゃっとした線。まるで子供が無邪気に遊んでいる様子を表しているようで、見ているだけで楽しい楽譜。ー自由で、楽しい。この楽譜には思わずハッとされられた。

技術や知識は、表現するためには欠かせない要素だ。しかしそればかりに固執してもいけないという事を改めて実感した。子供の頃のように、純粋に楽しむ姿勢。ただ無邪気に創作、表現する喜びや楽しさ。そういった初期衝動をいつまでもまっすぐ保ち続けることがより大切なのではないか、と私は思う。

私は、幼少期の記憶や思い出、体験など当時の純粋な動機や思いを保ちながら作品制作することが常日頃からの制作コンセプトとして活動している。

芸術を続ける理由、動機、などは人の数だけあると思う。私にとっての動機、子供の頃のただ純粋に楽しみながら表現する気持ち。大人になった今だからこそまた改めて向き合っていきたい。

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コラム用画像

<Project NAKA 第一回公演> 

Vol.1 2021年3月6日 13:00
バッハ、バルトークのヴァイオリンソロ作品とコンテンポラリーダンス
Vol.2 2021年3月6日 18:00
ベートーヴェン、シューマン、クルタークと映像作品(福地明乃参加予定)
Vol.3 2021年3月7日 13:00
ブラームスの歌曲と朗読によるパフォーマンス
Vol.4 2021年3月7日 18:00
ダリの宗教画を軸とした、音楽と絵画のプログラム

於:アレイホール(東京・下北沢)

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