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秋の彼岸-六波羅蜜の解説(3/3)


六波羅蜜の解説-忍辱~波羅蜜

(出典一部仏教学びのメモより転載)

彼岸六ッの徳目

仏教の六波羅蜜(4/6)布施波羅蜜

六波羅蜜の中でも、おもてなし、仁、
利他、ホスピタリティとも言え、
人としての温かな心の活動
「思い遣る心」である布施について記します。

布施=施し、奉仕の活動

(≒自己犠牲の活動)

仏教で『無財の七施』と言われる
一、身施=身体による奉仕をすること。 
二、心施=人や他の存在に、
     感謝の心で接すること。
三、眼施=優しい眼差し。
四、和顔施=穏やかで柔和な笑顔で
      人に接すること。
五、言辞施=思い遣りのこもった
      温かい言葉をかけること。
六、床座施=自分の席を進んで譲ること。
七、房舎施=我が家を一夜の宿に貸すこと。
      転じて、温かいおもてなし。

この七つの施しは、
「施しは、自らの生きる力の元と知れ」
を表わした言葉です。

周りの人々を幸せな気持ち(心)にするには、
思い遣りの心を以って『無財の七施』、
即ち[利己的]でなく利他の心で周りの
人々と接しなければならない
と言うことを説いています。

そして、
このことはサービス業に従事する者
として備えておかなければならない
とてもホスピタリティを表しています。

また、お釈迦様は「因果」の法、
即ち【因果応報】を説かれます。

その中で、
「善を施すにその報い(見返り)
 を求めてはならない」
と厳しく戒められておられます。
「因果」とは、
「原因」とその「結果」という意味です。
善いも悪いも、因果の種は
 蒔けば芽を出す、いつの日か

という川柳がありますが、
良い種を蒔けば良い実がなり、
悪い種を蒔けば必ず悪い実がなる
と言う、詰り、総ての現象には必ず
何らかの「因」(原因・要因・起因など)
と言う要素となる種があり、必ず「果」
と言う「結果」ことを言い表した川柳です。

即ち、
人として「良い行いをするのは当たり前」で
悪行をすれば罰を受けるのも当たり前」と
言うことを意味しています。

この「果」は、
直ぐに結果として目の前に現れるものと、
後々に姿形を変えた姿で現れるものとの
二つがあります。

さて、話しは変わりますが対人関係上で、
情け※心を持ち「…してあげたのに」とか
「…してやったのに」の会話を耳にします。

この「あげた」とか「してやった」と言う
動詞の使い方について考えてみます。
※情け=人間味のある心。他人を労わる心。
    人類愛・人間愛・博愛・慈愛
    慈悲・思いやり・親心・人情・情
    慈しみ・広い心・優しさ・厚情
    気持ちの暖かい・ 同情・哀れみ・
    恵み・親切・厚意など。

仏教では、奉仕、施しの活動を
「してあげる」「してやる」のでも
「して差し上げる」「させて頂いている」
「させて頂く」のでもなく、唯々
御恩返しをさせて頂いている』
と受止めることが大事と説いています。

一方、
国語・言語学者の北原保雄氏は、
「あげる」は本来「やる」の謙譲語で、
「やるという行為を及ぼす相手を
  尊敬して用いる敬語」
であると解説しています。

現在社会では、変化が更に進み
この「やる」の謙譲語は 差し上げるが
一般的になり『あげる』の謙譲性が
殆んど無くなり、
「対等若しくはそれ以下の人に
  対してのみ使われる」の意です。

その他にも、「あげる(やる)」という
行為は相手に様々な利や恩恵を与える
行為とも受け止められ易いこともあり、
どうしても恩着せがましい感じになり、
相 手を尊敬することと馴染まなくなる
言葉だとも言われています。

更に、「あげる」は「差し上げる」と言う
謙譲語がある故にその謙譲性が弱まる
と推測されます。

余談ですが、
私の場合対人関係で自分の性格からか
相手への想いや言動が どうも重くなり
過ぎる傾向があり、誤解を受け易いので
「あげる」は意識して使っていません。

即ち、
「あげる」は「与える」「やる」の丁寧な
言い方で敬語(謙譲語)ではないとと捉え、
「してあげる(あげた)」「してやった」
と言う語は出来る限り使わないように
意識しいつも謙虚な気持ちを持ち続ける
ためにも、己の行いを自分の責任でした
と自分自身に言い聞かせるために過去形
の「あげる」の代わりに「・・・した」とか
未来形の「・・・したいと思う(考える)」
を使うように心掛けております。

さて、
私達人間は、
その文字の如く、祖先や多くの霊
即ち人々に支えられ、人と人との
間で生かされていることを自らの
心の礎に確りと刻み、自分自身が
「生きていられる」ことに「お陰様で」
「有難い」
と謙虚に人や自然、物事に
感謝し、その恩恵の心を何時も忘れる
ことなく、 生かされ、生きて生活して
いられることに
『御返しをさせて頂いている』と言う
気持ちを持ち続け表し伝えて行くことが
とても大切な意識と思います。

まだ記憶に新しい2011年東日本大震災時、
世界各国や国内のボランティア、国内外
の赤十字の方々、自衛隊、警察官、その
被災地やその周辺の行政機関の人々、
原発の現場で事故の対処をする人々、
消防官と言った方々の行動を始めとし、
被災された方々の素晴らしい活動は、
正しく自己犠牲(奉仕)の心そのものです。

そこで、大震災復興や原発事故後の復興
ばかりかこれからの厳しい少子高齢化日本
の社会を生き抜く為にもこの奉仕・施しの
心(心の徳目・愛・情・信)について記します。

奉仕・施し(自己犠牲)の活動

1. 自然の恵み、何人、何事に対しても
 「ありがとうございます」と言う謙虚で
 素直な感謝の気持ちと共に「お陰様で」
 「お互い様」と言うお互いに助け合いの
 心を持って活動する

2. 人のために尽くす利行、利他、愛他精神
 を備え持ち活動する

3. 善行為をする時は、出来る限り
 人に知られないように活動する

4. 社会に対し自分は何が出来るかを考え、
 人や社会に役に立つように活動する

5. 奢り高ぶることなく謙虚な心で人に接し、
 物事に従事する

6. 先ず与えるに徹して己の利や相手からの
 見返りを望まず求めない無償の活動をする

7. 人を明るい気持ちにし、心を軽く、
 元気にする会話や行動をする

8. 他人の思惑や言動に左右されることなく、
 強い志を持って行動する

9. どんな状況下でも大切な人を守る不動心
 と揺るぎない信念を持ち言動する

10. 我欲(利己・私利私欲)を持たないで
   会話し、活動する

11. 相手を守るのは自分しかいないと認識し、
      自発的に自らが行動する

12. 寛容寛大な心を備え活動する

13. 大切な人を守る為の義務を果たすための
   役割と役目を認識し行動する

14. 自らが、他者の為に心身とも犠牲になる
      覚悟を持って物事にあたり、行動する

15. 自らの幸せや豊かさより周囲の人々の
     幸せ(利益)豊かさを意識し愛他行動をする

16. 一生懸命(一所懸命)誠心誠意の心で
      物事に取組み、行動する

17. 相手に成り代わり、行い労働する

18. 相手に代わって、
      自らが積極的に苦しみや辛さを味合う

19. 物を愛する心、勿体無いの気持ちを
   備え持ち活動する

20. クレーム、苦情、中傷、非難、叱咤と
     言ったことを先頭に立ち進んで受ける

以上のような、
利他と施しとも言える自己犠牲の精神(心)≒
思い遣りの心は、調和の国日本人としても
必要不可欠であり大切なことだと確信します。

同時に、
この心は日本の唯一無二の「おもてなしの心」
でもあります。

また、
接客・接遇サービス業、ホスピタリティ、
おもてなしに関わる者としてこのような
奉仕・施しの活動を、弁えて置くことは、
顧客増加ばかりか、己の人間力の向上にも
繋がることを理解し、自覚認識しましょう。

5/6-禅定波羅蜜

心の動揺・散乱を対冶して
心を集中し安定させ真理を思惟すること。
禅定波羅蜜の「禅」とは「静かな心」、
「不動の心」という意味です。
「定」は心が落ち着いて動揺しない状態です。

ただ、一生懸命に精進するばかりではなく、
静かな落ち着いた心で世の中のことを
ジックリと見るそして考えることが大切です。
そうすると、物事の本当の姿が見えて来ます。
そして、それに対する正しい対処の方法も解ります。
その正しいものの見方、物事の本当の姿を
見分ける力が次に掲げる第六番目の智慧です。
この智慧がなければ、結局の処、
人を救うことは出来ないと言う教えです。

6/6-智慧(智恵)波羅蜜

一切の諸法に通達し、
愚痴の心を対冶し迷いを断ち、
真理を悟ること、または、
諸法の究極的な実相を
見極めることを言います。

例えば、
現代のように世の中が混沌としていますと、
困っている人に、 前後の考えもなく、
相当のお金を恵んでやったとします。

ところがその男はバクチ好きだったとしたら、
これ幸いに、そのお金で、パチンコ、競馬、
競輪等々で与えられたお金をすぐに
使ってしまうこととなってしまいます。
そのために、救うことができず、
人に甘えて社会的努力をしない
ダメ人間を作ってしまう事となります。

このように、布施も、
本当の智慧をもってしなければ、
折角の慈悲の心も有効な働きを
しないばかりでなく返って
逆の結果になってしまいます。

前記は極端な例えですが、
世の中にはこれと似たようなことが
大小無数にあるものです。

このように、
私達が人のために役立つとか人を救う
と言う立派な行ないをする場合に
この智慧は絶対に不可欠な要素です。

以上の6つの波羅蜜について、
彼岸の期間に真摯に向き合うこと。

📖参照記事

六波羅蜜の解説-まとめ


六波羅蜜の解説-持戒波羅蜜

彼岸の中日


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