見出し画像

新型コロナウイルスで考える、リスクマネジメント(リスク評価と対策)※3/18再更新

プロジェクトマネジメントの専門家として、コロナのリスク評価と対策についてリスクマネジメントの考え方がいま活用できそうなのことから、不安を煽る目的ではなく正確に知って正しく怖がることを目的に、スピード重視でまずは行動を判断する際の指針一つになればとの考えで、シェアすることにしました!

今回は新型コロナウイルスを題材にしていますが、考え方を知っていれば過度に恐れず災害時や仕事で起きうる色々なリスク(=顕在化すると影響を受ける事象)に応用し、準備と対策ができます。

書いたことがすべて正解とか100%正しいとは考えていません。ご意見・ご質問をいただいて、都度修正を加え、少しずつ精度も上げていきたいと思っています。

○○は、自粛する?自粛しない?

リスクマネジメントとは、リスク評価とリスク対策によって、リスクの発生と発生後の影響をコントロールするプロジェクトマネジメントの管理機能の一つです。

○○に当てはめる例をいくつか
・満員電車には乗っても大丈夫?
・地方の会社に訪問してもよい?
・リモートワークをやった方がいい?

この考え方を元に、それぞれの個々の行動をどう判断するか?を論理的に理解して伝えることができます。

共有の主旨

【1】感染リスクに対して、正しく怖がりリスクを減らしながら、可能な限り普段通りに暮らせるように。
【2】今後、また同じ事態があることを想定し、次回の準備につながる知識の共有や対策、助け合いの仕組みを構築するきっかけになるように。

【3】
できることをやっている人が、過度に批判されることなく応援してもらえるように。

難しい判断が必要な状況でも、感情的ではなく理性的な考え方の広がることへの願いと希望を込めて。

なお、リスクは0%にすることはできません。そして、理論的に0%にできたとしても、現実的にはコストが高すぎるので日常には合いません
違う例で言えば、リスク0%にするには、自動車事故0%にするために自動車は一切使わないと同じことになります。自分で乗らなくても、買い物で配達してもらっているとかでみんな使ってますね?そう考えると、現実的には不可能ですよね。

リスクは0%にできないし、100%発生もあり得ない。ただ、1%~99%の発生確率をリスク評価(発生確率×対応優先度)&リスク対策によって、可能な限り0%へ近づけることができます

では、精神論ではなく論理的に、何をどう考えればいいのか?をリスク評価(発生確率×対応優先度)し、対策して可能な限りリスクを下げる具体的な方法を考えてみます。

結論から

①重症化対象者感染リスク:持病を持つ人、重症化しやすい60代以上の高齢者(同居している家族、介護従事者含め)に感染させない!
→病院に行く回数が多く、②の医療従事者に感染する確率も高まる。
②医療従事者感染リスク:医療従事者に感染させない!
→①の人と接する機会が多い。また、医療を崩壊させない、医療全体を守る予防として。
の2つを最小化することが、最も重要なリスク対策です。

対策は、個人ができるリスク対策の結論は、①と②の人に極力会わないに尽きます。自分も感染しない・①②の相手に感染させないが原則です。

この方針に従って、リスク評価とリスク対策を考えていきます。逆にこの方針が変わるなら、全体のリスク対策が変わります。

自分が感染している可能性がある場合(若い人は症状が出ないため判定が難しい)は、①②の人に極力会わないことだけでも感染が拡大しないことにつながります。

考え方の順序

様々な観点を持つほど、リスクをたくさんリストアップできますが、主要なリスクを特定して対策します。
違う表現をするなら、2割の原因に対策すれば、8割の効果がある選択肢を選ぶことです。ここでいう2割は前述の①②になります。

間違っても、大きい効果を見込めない対策を選択してはいけませんもっと大きな違う問題を発生する原因を作ることになってしまいます。
(学校の一斉閉鎖などは効果が見込めない例に見えます。一方で、すでに陽性反応が出た生徒がいるクラスの学級閉鎖は効果があるとおもいます。)

0.リスクをリストアップする。←今回は割愛
 ※他のリスク例:経済悪化リスク、オリンピック開催中止リスク、物資供給リスク 等があります。

1.主要なリスクを特定する。 ←今回は、こちらで特定 ※前述の①②。
2.特定したリスクに対してリスク評価をする。
3.主要なリスク対策の選択肢を洗い出す。
 ※全部対策しない、主要ではないリスクは容認(ウォッチ)する。

4.主要なリスクに対して、主要な対策を講じる。
 ※全部対策しない、主要ではない対策は後回しにする。

リスク評価とは?

リスク評価 = 発生確率(A~C)× 対応優先度(A~C)
→対応優先度 = 重要度(A~C:質の評価)× 影響度(A~C:量の評価)

重要度(質の評価)とは、対象1つを具体的にイメージするとわかりやすいです。今回で言えば、感染する1人をイメージして、どれだけ死亡者、重症者、重度障害・後遺症者になるか?
影響度(量の評価)とは、対象を数えてカウントすることで、どれくらいの数に影響するか?なので、質の評価を間違えないことが数える前段としてはとても重要と言えます。

<リスク評価テンプレート>
大方針として、発生確率A×対応優先度A=AAを見極めて対策し、CCは許容することを図でイメージをつかみましょう!

画像1

①②の人への感染を防ぐことを目的として、現状わかる範囲の数字から、簡単な計算で計算してみます。

◆重要度(1人を対象に評価)の軸:
※重要度の考え方:感染した人が重症化する度合い
A:重症化する ⇔ A:しない
------------------
A:①②に該当する人
感染した際に、死亡者、重症者、重度障害・後遺症者になる度合が高い人
B:感染していても症状が出ない無症状の人
→症状が出ない人は感染拡大リスクが高く、B評価としていることに注意!
C:症状が出るが重症化しない人
◆影響度(①②の人に、直接接触する人数で評価)の軸:
※影響度の考え方:自分が感染者(認識がなくても)の場合、感染させる可能性がある人数の度合い
A:①②の人と直接接触する人数が多い ⇔ C:少ない
------------------
A:1日①②の10人以上に、1m以内で直接接触する人数(満員電車含む)
B:AとCの間
C:1日①②の人に、1m以内で誰とも直接接触しない。

<対応優先度(リスク評価の準備)テンプレート>

画像2

◆対応優先度(リスク評価の準備)の考え方
※縦軸A~C×横軸A~Cを掛け合わせて、A~C評価の判定をして、発生確率と掛け合わせて最終的にリスク評価をする。
A評価:1日①②の10人以上に直接接触する人が感染するリスク。
※高齢者と同居している人・介護や医療などの職種の人が該当。
B評価:1日①②の9人未満に直接接触する人が感染するリスク。
C評価:1日①②の1人未満と直接接触する人が感染するリスク。

この考え方から一番リスクが高い人は、1日違う10人以上の①②の人に接触する人です。特にこの方々に、感染しない・感染させない対策が必要です。

新型コロナウイルス感染者数の推移
日本で把握できている感染者数:552人(3/11の国際比較の数字から)

日本の陽性率は6%(検査人数9,195人)、世界の平均陽性率は約10%
また、日本は韓国やイタリアと比較すると人口当たりの検査数が日本は圧倒的に少ないため、発見できている一部の患者と推定されるため、顕在的な感染者だけではなく、潜在的な感染者の最小・最大で試算が必要です。

最少は隣国の韓国(感染7,513人、死亡54人)の人口比率から日本の人口で試算すると、感染者数は18,417人で人口の1.4%(100人と会って1.4人が感染者)として試算します。
最大は各国の陽性率から10%(10人と会って1人が感染者)で設定(中国からの訪日人数・日本からの訪中人数から、人口密度が高い都市部では、あながち遠い数字とは言えない)してみます。
※試算には色々な方法や数字の取り方があります。納得感が高い方法と数字をどう選択するか?を意識しながら注意して使用してください。

◆発生確率の考え方(ウイルスと接触する確率)の軸:
※発生確率の考え方:感染率が未知のため、ウイルスに直接・間接的に接触する確率の高さとする(接触しても必ず感染しないので過度に怖がらない)
A:ウイルスの接触確率が高い ⇔ C:低い
------------------
現状では、検査件数自体がかなり少ないため、正確な感染者数の把握は難しい状況ではあるものの、前述の試算から感染者に遭遇する確率は最小から最大で1.4%~10%と想定されます。
直接接触(1m以内に人と近づく行為)は、満員電車への乗車時含め近い距離での接触や対面などで、一日100人直接接触がある場合、最低でも1.4人・最大で10人の感染者と接触していることになります。
間接接触(満員電車の手すりやトイレの蛇口などのモノを介する接触)は、自分以外の100人が触る手すりに自分が100回触れると10,000人との間接接触になり、最低でも14回・最大で100回以上の確率で間接的に接しているため、人口密度が高い都心部ではかなりの人数と接触していると考えた方が妥当性があります。
------------------
A 直接接触10人以上、間接接触100回以上。
※特に、人口密度が高い都市部や人が密集する屋内が想定される。
B AとCの間。
C 直接接触1.4人未満以上、間接接触14回未満。

接触人数は毎日違うため、感染リスクの確率は毎日変わること、同時に、リスク評価も毎日都度の行動ごとに違うことも理解しておくと、手洗い・マスク・うがいの方法や頻度のイメージを持ちやすくなり、リスク対策しやすくなります。

※参考:新型コロナウイルス、現在の感染者・死者数(11日午前2時時点)
※参考:WHOが新型コロナの死亡率を3.4%に引き上げたワケ「日本の検査態勢では高齢者が手遅れに」米紙

リスクの発生確率が異なる、都市と地方

都市では中国からの訪日渡航者も多い。
2020年1月以降に中国への渡航歴がある人や、不特定多数が集まる屋内やイベント等では感染者と接触する可能性がある人と出会う確率が高いため、①②に該当する人や①②の人に接触する機会が多い人は参加を控えることが望ましい。

◆2020年1月だけでも、92万人の中国人の方が訪日。

画像4

◆外国人の訪問率が高い都市

画像5

◆2020年1月の日本人出国者数(推計値)は、前年比4.9%減の138万800人

画像7

※出展:JNTO 日本の観光統計データ
※出展:【図解】日本人出国者数、2020年1月は4.9%減の138万人、新型ウイルスが旅行需要に影響 ―日本政府観光局(速報)

検査数が国際比較で圧倒的に少ない日本

先進国でアメリカ(23人/100万人)に次いで検査をしていない国が日本(66人/100万人)です。アメリカは中国と地理的にかなり距離がありますが、中国と往来が多い隣国の韓国(3692人/100万人)でも日本の55倍の検査をしています。

現状を把握できないと対策もできないので、全員検査する必要はないとしても、可能な限りの検査を実施しない状態が続く場合、小康期への移行(BCP参照)を判断できず、学校の再開やイベント開催も判断ができません。

できる限り検査をすることによって、検査数に対して感染者数が増えているのか?減っているのか?(感染者数の増減率)を把握ができます。そういう判断材料なく小康期の判断は難しいですね。

※業務継続計画(Business Continuity Plan:BCP)とは?
新型インフルエンザ等や大地震などの災害が発生すると、通常通りに業務を実施することが困難になります。そうした場合でも優先業務を実施するため、あらかじめ検討した方策をまとめたものを指します。

画像3

出展:11 charts that explain the coronavirus pandemic|コロナウイルスのパンデミックを説明する11のチャート
※参考:業務継続ガイドライン(厚生労働省)

把握されている事実

室温で金属、ガラス、プラスチックなどの表面に最大9日間生存することが可能であることが示されている。←調べた中で一番長い日数。
エタノール、過酸化水素、または次亜塩素酸ナトリウムの溶液で消毒することにより、効果的にウイルスを除去できる可能性がある。
高齢者は重症化しやすく、死亡率が最も高い
37.5度以上だと感染している可能性があるため、感染させないように極力人に会わないようにする。
中国や都内へ、14日以内に渡航した人や密集状態に長時間いた人(大阪のライブハウスの事例のように、特に密集状態にいた人)は感染リスクが高い。
子どもは感染率が低く重症化しにくい。子どもから大人に感染した例は報告されていない。

(3/6追記)
・10人に8人は無症状、もしくは軽い症状で終わる。そして、15%は肺炎の症状を起こす(お年寄りや持病を持っている人であることが多い)。
・インフルエンザとの違いは、持病などなく全く元気だった成人が1週間無症状、2週目にして急に症状が重くなる、というケースも報告がある。
医療の世界では想定できない、最大の注意と対策を考える必要がある
・空気感染ではなく飛沫感染。主な感染源は目と手と考えられる。人間は1時間に約60回、無意識に顔を触っている15分間、1m以内の距離で過ごすと感染すると想定される。

※参考:パリ最新情報2、「仏保健大臣、生放送で2時間メモ見ず国民に説明する」

※参考:【無料公開中】最新版:新型コロナのすべて

日常の感染対策

基本的には、正しい手洗い・うがい・マスク、そして隔離(感染が疑われる個人)しか対策がないため、迷った時はこの三つ+一つを意識する。

【手洗い・うがい】
手洗いなく、口に手を入れない(手で直接食べない)、鼻や耳を手で触らない、目をこすらない。
複数の人が触るものには、直接手で触れず、やむなく触れる場合は手洗いなしに目鼻口や耳を触らない
※部屋に入る前後の手洗い(ドアノブや手すり・電車のつり革等からの感染が多いと想定される)をする。
ウイルスを持ち出さない、持ち込まない。
※新しい場から出る際は手洗いうがいをする(持ち出さない)。
※普段出入りしない部屋や空間に入る前には手洗いうがいをする(持ち込まない)。
・新しい人と会った際には、都度の手洗いうがいをする。
食事の前後で手洗いうがいをする。
【マスク】
・会話するときには、発言する人・聴く人のどちらかがマスクを着用する。
食事を取り分ける際には、必ずマスクをする。
【隔離】
・家庭内で発熱者がいる場合は、家庭内での隔離と消毒する。
・シニアゾーン(ゾーニングという考え方)を作る。
※若い人は感染していても発症していない可能性があるため、認識がないまま感染させてしまうリスクがあるため、シニアゾーンを作る。
ストロー、スプーンやお箸などを共用で使わない

※参考:新型コロナウイルス感染症対策

冒頭の例、○○の判断はどうなる?

Q.満員電車には乗っても大丈夫?
A.新しい人との接触人数を減らしたいので、可能な限り満員電車ではない時間帯へずらす。ずらせない場合は、眼鏡・マスクを着用し手洗いうがいをして、自分の空間に持ち込まないように対策する。

Q.地方の会社に訪問してもよい?
A.自身が感染源にならないように注意し、持ち込んだとしてもせめて駅やバス停でウイルスを除去できるように手洗いうがいをする。人と話すときは眼鏡・マスクを着用(相手にも依頼)する。対面する相手が①②に該当する場合は、距離を取って話したり。

Q.リモートワークをやった方がいい?
A.外出不要で、接触回数がゼロになるので、可能な限りリモートワークをしましょう。カフェやコワーキングスペースに入る際は、上記を参考に感染しない・感染させないを意識して手洗いうがいをコマめに行いましょう!

①②の人を意識すること、自分が感染しない・感染させないを意識するだけで、かなり感染リスクを減らせることがイメージできるのではないでしょうか?

★店舗運営・イベント開催時の【参加条件】【わたしと家族でできる、かんせん対策】★

内容をコピーして、そのままお使いいただいて大丈夫です。内容の編集・利用については、それぞれのご責任とご判断でお願いします。

【参加条件←当日現地に参加する方へのお願い】
基本的な考え方:感染するよりも「感染させる可能性」がある方の参加はお控えいただきたいという方針です。
1.37.5度以上の発熱、咳・くしゃみなどの症状がないこと。
2.一週間以内(潜伏期間の対策として5日)に、多様な地域から来場があるイベントに参加していないこと。
3.持病をもっていないこと。

(持病がなくても体調不良になりやすい高齢の方は特にご注意ください)
現地でご参加の方は、マスク着用をお願いします!
【わたしと家族でできる、かんせん対策】
手洗い・うがい・マスクの正しい方法を知り、他人の責任にしないという一つの方法として。

以下の動画はお子さん・高齢者の方と、必ず見てください!
手洗いやマスクの付け方は、ほとんどの方が正しい方法を知らない★ので、全部で4分程度でご確認ください。

正しい手洗いの仕方(政府インターネットテレビ)
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg20343.html
マスクの正しい着け方(政府インターネットテレビ)
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg20344.html
新型コロナウイルス対策篇(政府インターネットテレビ)
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg20290.html
新型コロナウイルス対策2篇(政府インターネットテレビ)
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg20320.html
その「うがい」は間違っているかも!? 看護士が教える感染症予防の正しい「うがい」方法(政府情報にうがいの方法がなかったので追加)
https://sumaiweb.jp/articles/38372
新型コロナウイルス感染症の対応について@内閣官房
に一通り記載がありますので、共有です。
https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

一旦、以上です。参考になれば幸いです。追加・修正あるときには、適宜アップデートします。

#プロジェクトマネジメント #リスクマネジメント #新型コロナウイルス #リスク評価 #リスク対策 #感染対策


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?