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プロフェッショナルな個が集まり、チームでビジョンを追求する組織へ

変化の激しい昨今では、権限委譲や心理的安全性を推進し、誰かの正解ではなく皆で正解を見つける組織づくりを進める傾向にあります。

Progateもビジョン達成のため、権限委譲・心理的安全性を意識しながら組織づくりに取り組んでいます。その中で具体的にどのような想い・考えを持っているか、達成に向けた課題・アプローチはなにか、COOとして組織づくりを牽引する宮林にインタビューしました。

COO 宮林 卓也(ミヤバヤシ タクヤ)
大学卒業後、不動産企業で営業を担当。その後人材系企業で経営管理や人事責任者を歴任し、経理業務や評価制度の策定などに従事。FinTechベンチャーではIPOを達成。2019年1月に株式会社Progateに入社。財務責任者として国内外の会計、決算業務他、バックオフィス業務全般にも携わり、海外進出や事業拡大において会社の成長を支える。

プロダクト開発と組織設計の根本思想は近い。「誰のために、何のために」へのこだわり

ーー Progateはなぜ組織作りに強いこだわりを持って取り組まれているのでしょうか?

個人では目指しているビジョンを達成することが困難であると言う前提に基づきます。変化の激しい時代を超えていくには組織としての強さが必要だと信念を持っています。また、組織作りはロールバックがきかない点も多く、一回の意思決定による影響範囲も大きいため、取り返しがつかない方向に進んでしまうケースもよく見かけます。それだけに、どれだけアジャイルに進めても取り返しのつかないエラーを起こすこともあります。プロダクトやシステムの設計に近しい考えかもしれませんが、誰のために、何のために、といった部分に強いこだわりを持っていないと、僕たちの理想である「遠くに早く進む組織」を作るのが困難だと考え、強いこだわりを持って取り組んでいます。

ーー プロダクトやシステム設計に近いと言うのは面白いですね。Progateはプロダクトを通してユーザーへ価値を届けることを重視していますが、組織作りにも共通してる考えや思想はありますか?

僕たちはやっぱり最高のプロダクトを届けるために存在しているチームだと言う意識は共通していると思います。先ほどの「何のために?」の部分ですね。組織構造上、チームとしての機能や権限などは定義していますが、誰もがProgateとしてプロダクトを良くするための発言を歓迎しています。ユーザーに価値があるかどうかを全員がしっかりと考えることができる。プロダクトとしても組織としてもユーザーを起点にした会話ができるのはProgateの良い所だと思います。

ちなみに、プロダクトとの共通思想とは別に、これは僕たち経営者としての思いとして、単純にProgateの仲間として一緒に戦ってくれる人たちにも幸せになって欲しいと思っています。ユーザーへの提供価値を高めることで会社としての価値が上がり、会社としての価値が上がるから更に仲間が増え、仲間も増え提供価値が高くなるから貰える報酬も多くなるという、価値創造と価値獲得、そして分配の好循環が回るような仕組みを作りたいと考えています。


ビジョン達成へ向けた手段に正解はない

ーー具体的にどんなプロダクトと組織になっていればビジョンが達成できるとお考えでしょうか?
敢えて誤解を恐れずに言うと「ビジョン達成へ向けた手段に正解なんてない」と、思います。
もちろん経営者はビジョンを指し示し、こんな世界を作りたいと理想を掲げています。ビジョンが達成されたという状況を定量的に測ろうと目標も設定します。ですが、例えば世界で活躍するサービスは経営者が1人で作ったものばかりでしょうか?答えは「No」です。

少なくとも僕が感じているのは、強くビジョンを描く人は必要だけど、より質の高い実現手段は個人ではなくチームから生まれることが多いということです。個人を否定するものではなく、圧倒的な良いアイディアを出してくれる人も大勢います。しかし、この厳しい競争社会を勝ち抜いていくにはやはり一つの正解だけを持って戦うのは難しいのではないかと思います。

ーー事業やプロダクトのフェーズが変わる中でも、組織づくりにおいて大事にしてるポイントはありますか?

大事にしているのは「変化することが前提」というポイントです。
この変化に対する敏捷性の高さが大きな組織に対して僕たちが有利な部分です。
「1人で決めるvs1万人で決める」「これから決めるvs決まったことを変える」
いずれも前者の方が意思決定コストや既得権などへの配慮コストが小さく弱者の生存戦略として必要な部分だと思います。創業した会社の9割が5年でなくなるような社会の中で、今を守るだけだと淘汰されてしまうリスクが高まってしまうので、攻めと守りのバランスが大事だと考えています。

また現状のProgateで言えば、プログラミング初学者向けのサービスとして、日本だけではなくグローバルに見ても成功した部類に入ると自信を持っています。他方で、これでビジョンが達成されたかと言うとまだまだで、僕たちは僕たち自身を進化させていかなければならず、常に「今描かれているビジョンと達成手段を超える」みたいな部分が大事なんじゃないかなと思っているので、組織作りにおいて誰か1人に権限が集中し過ぎる状況や多様性に欠ける組織作りにならないような意識も大事にしています。最近ではこの辺りを「権限委譲」や「心理的安全性」として組織の土台が必要と言うメッセージを発信しています。

ーー確かに。特にプログラミングや技術の変化は激しいですし、その領域でサービスを生み出していく側として、自分たちが変化するのはもう大前提ですね。

そうですね、特にWeb業界ではそれが顕著だと思います。変化の速度のわかりやすい例だと思うんですが、ポケモンGOはリリースからたった数日でTwitterの利用者に迫る勢いだったんですよね。

「Pokemon GO」、DAUがTwitterに迫る勢い──SimilarWeb調べ

そう考えるとインパクトの大きいサービスが出てきたら、たった数日で世界が変わる可能性だってあるんです。でも、そんな大きな可能性は自分たちも持っているはずです。誰か1人が全部決めるのではなく、誰もが良いアイディアを生み出せるような組織の方が、健全だしシンプルに良いサービスが創れるんじゃないかなと思うんですよね。

権限委譲と心理的安全性を担保した「ビジョン追求型組織」を目指す

ーー権限委譲や心理的安全性がキーワードになると思うのですが、もう少し具体的に聞いても良いでしょうか。

まず権限委譲ですが、日本企業のダメな例としてよく見かける、上層部に伝え、更にその上層部が知り、そこから判断が降りてくるような高度な伝言ゲームみたいな情報共有だと、今の僕たちの組織規模に対して意思決定が遅く精度も悪いと思っています。
何より、先行する素晴らしい企業群にアドバンテージを持てるのがこの部分だと思っていて、高い敏捷性と質の高い意思決定を実行するためにも権限は適切に委譲していきたいと考えています。

そのためにも、チームを出来るだけ裁量にあった規模に切り分けていくことで意思決定のしやすい組織構造にする必要があるんですよね。その辺りが最近の課題にもなっています。任せることができると思える人にはどんどん渡していきたいので、力を発揮してもらえる環境作りや大事にすべき価値観を揃えるためのカルチャー作りにも力を入れています。

次に心理的安全性についてですが、僕はこれが「進化」や「変化」の土台として必要だと思います。これはビジネスでもプロダクトでも組織でも必要な事だと思っています。必ず報告をしなければならないような問題があった時でも、すぐに共有することができる人は意外と多くありません。放置すれば問題が大きくなるとわかっていても、人はなかなか報告ができない。そう、怖いからです。同様に良いアイディアが浮かんだ時にも、意外と自分の考えを率直に言葉にできる人は多くありません。必然性もなく、自分が言って良いのかも分からず、否定されるかもしれないと止めてしまうからです。

それらを回避するため、理想的には「ポジティブ、ネガティブ問わず言い合える」状態にしたいと思っています。そのためには前提として相手との信頼関係があり、敬意や思いやりを持つことが重要だと考えているので、価値観の多様性を認識してもらったり、お互いを理解し合えるような場の提供を会社としては積極的に進めています。コミュニケーションが全てとも思っていませんが、コミュニケーションが不要だという方はProgateは向かないかもしれません。ビジョン達成のためにチームパフォーマンスの最大化をしたいのが目的なので、言いたい事を言うだけではなく「高い心理的安全性を持ち、難易度の高い課題に挑戦し続けるチーム」を目指しています。

ーーネガティブも含めて何でも言い合えるのはハードルが高そうですが、どんなシチュエーションを想定しているのでしょうか?

ここまでずっとビジョンの達成のためにどうするか?と言う視点で回答してきたと思うんですが、僕は世界を変えるチームを生み出すには仲の良さや居心地の良さだけではなく、高いプロ意識も必要だと思っています。

もちろん優しさも必要だと思うし、相手を攻撃するような意図のコミュニケーションを取る人は組織全体のパフォーマンスを落としてしまうので論外ですが、改善フィードバックが回らず成長が止まってしまう、あるいは質の低いサービスが生まれてもそれで良しとされてしまうような甘さは世界で戦っていくのは難しいとも思います。

例えば僕がユーザーの体験を大きく損なってでも収益を優先した意思決定をしようとした時に「それはおかしい。収益だけを優先するのではなく、〇〇という解決策がある。」みたいな発言をメンバーもできる方が良いと思うんですよね。これが出来ないとプロダクトの提供価値が大きく落ちることもあるし、そんなカルチャーが嫌で退職してしまう人だって出てくるかもしれない。僕たちにとってネガティブな指摘というのは、ビジョン達成に向けて建設的な議論を進めるために必要だと思います。

ーー権限委譲をしてうまくいった事例を教えてください。

結構あるのですが、直近だとProgate Pathのロゴですかね。一般的な企業だと「ロゴを作りましょう」となった際に、まず現場の人がロゴに関して企画書を作って、外注を利用するのか、費用はどれくらいかみたいなプレゼン資料を作って、それをマネージャーに渡して、マネージャーが経営会議で承認をもらうなんて流れがあると思うんですよね。

それがProgateでは、「僕たちが責任持ってやりたいです」「わかった、任せた」「出来上がったので、これで良いですか?」「良い仕上がりですね!」で終わります。

Progate Pathのロゴが生まれるまで

もちろんサービスのブランドにも関わってくるので、任せてから仕上がりまでの苦労はあったと思いますし、大変なことも多かったと思うので簡単なイメージにしてはいけないんですが、それぐらい思い切って任せようと渡していますし、こうやって打席に立つ機会を持ってもらうことで一気に思考の幅が広くなったり、僕では絶対に出せないなって良い成果が出たりします。
Progate Pathのロゴは、それらを体現した良い事例です。

Progate Pathの正式ロゴ

ーーそれは良い事例ですね。では、逆に権限委譲で難しい事はありましたか?

僕自身が一番悩んでいる部分なんですが、自分の居場所を作らないというのが一番難しいんじゃないかなと思っています。最近、事業責任者を採用してきて、それまで宮林が持っていた領域をメインでお任せしてるんですよ。結果として、その人に渡したことで事業全体が結構加速したんですよね。僕はここまでの話の通り変化した方がいいって思ってる側の人間なんですけど、それでもやっぱり渡すのって難しいなと。

何が難しいかというと、よく採用の世界だと「自分より優秀な人材を採用する」のがセオリーとされますよね。僕もそう思ってますし、僕の役割としてもビジョンを達成する組織を作るのが責務にありますので、自分より優秀な人を採用できたらそれは最高のことなんですよ。

でも、それなのに自分が権限を渡したことで自分より良い成果が出るのは苦しかったりもしますよね。やっぱり人間なので自分には出せなかった成果を出してる人を見ると苦しくなってしまう。それは嫉妬なのか、劣等感なのか、居場所がなくなったと感じるのか、人によっても違うかもしれないけど、正直複雑な気持ちになることはある。でも僕はそれは人間の感情として認めつつ、組織としてのパフォーマンスが上がることを喜んだ方が良いと思うんです。チームとしてビジョン達成をしにいくんだから、チームとして強くなるなら喜べた方が幸せだよなと。

僕がそうやって渡したことに対して「宮林さんじゃ持ちきれなかったんですね」のような責める言い方をする人は社内にはいないのですが、「理屈ではわかってるけど受け止めきれない」といった難しさは今後も出てしまうんじゃないかなと思っています。この感情の受け止め方ができる人じゃないと、逆に手放したくないと頑なになり、組織が硬直してしまうようなケースも見てきたので、頑張ってねと言う根性論ではなく仕組みでどうにか解決できないのかなって悩んでいる所です。

ーー組織の硬直みたいな部分はテーマになりそうですね。他に何か権限委譲で気になっている点はありますか?

やっぱりもっと社内からリーダーがどんどん育ってくるような組織風土を作っていきたいです。成長するスタートアップにおいて、どうしても人の成長よりも、企業や組織としての成長の方が要求されるレベルが早く高くなってしまうケースがあって、自分も含めて社内のメンバーで持てない領域は外部から連れてくるしかないのはどうしても避けられない。

だからこそ成長機会を提供し続ける体制を作るのが必要だと考えているので、プロジェクトスコープの切り方をもう少し小さくしたり、チームの構造や業務範囲の工夫をして、とにかく打席に立つ回数を増やしてもらうなどの取り組みも進めています。

ーーありがとうございます。成長機会を得るにあたって必要な心構えなどはどうでしょうか?

僕たちはビジョン達成のために「Deliver the best.」「One team, one goal.」「Take your action.」というValueを設けて大事にしていますが、これが結構重要だと思っています。

特にOne team, one goalについては「チームとして事を成す」意識を持ってもらい、挑戦する人たちを支援する体制を作りながら、時に競い合い、時に助け合い、前に進む人とフォローをする人が一丸となってビジョン達成に向けて動けるような組織にしたいなと思っています。挑戦はどうしても失敗がついて回るので、独りで挑戦させられるような状態ではなく、挑戦する人を周囲が支えていける環境にならないと、まずやってみようと一歩踏み出すのが苦しくなってしまうんじゃないかなと思うので、自分が挑戦者の時はリーダーとして周りに助けてもらえるように、自分がサポーターの時には能動的に挑戦する人を支えてあげてもらえると嬉しいなと思います。

後は「失敗しても良いから挑戦する」って気持ちは大事かなと思います。気軽に失敗できないケースもありますが、失敗から学べることも多いと思うので、致命傷にならない失敗を重ねることができるマインドセットも必要かもしれません。

ーー最後に何かメッセージはありますか?

これは僕だけではなく、社長のマサも同じような意見だと思っているんですが、仲間の可能性を信じる、可能性を広げるみたいなところは、Progateのミッション・ビジョンである「Empowering everyone to open new doors」と繋がってくるというか、メンバーに対してもあるんですよね。

やっぱりこの会社に入って良かったって言って欲しいじゃないですか。そのためにもProgateに入って、Progateで少しでも面白い経験が積めたのであれば、それは素晴らしいことだと思うので勇気を出して一歩踏み出して、ビジョン達成に向けてグイグイ引っ張って欲しいなと思っています。

Progateはまだまだこれからの組織です。今後も適切に権限を委譲して、全てのメンバーに活躍してもらいたいですね!

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