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先物手口からみるマーケットのトレンド

先物手口建玉は日々JPXから更新されているが、これらをみれば今後マーケットがどのように動くのかそのトレンドをつかむことができることがある。先物手口はその日の取引の主体と取引量で表形式で「野村證券が日経先物を10000枚買った」「クレディスイスがトピックス先物を5000枚売った」などの情報である。先物建玉はOI(オープンインタレスト)ともいい、各社のポジション状況である。ではこのような手口と建玉から(主に手口)からどのようにマーケット動向を推察できるのだろうか。本記事では日本の株式市場において6-7割を占める海外投資家についてその種別をおおまかに以下の3つに区分して、1-CTA 2 - リスクパリティ 3 - ロングオンリー 、それら顧客をメインで背後に抱えている証券会社とその手口の特徴について簡単に説明する。

1. CTA(商品投資顧問)

いわゆるトレンドフォローのヘッジファンド。日経新聞で「先物が海外の短期筋によって先行して売られ、指数がさがった」などの表現をよくみかけるがこの「短期筋(fast money)」とは特にCTAのことを指していることが多い。代表的にはクレディスイス、バークレイズ、ドイツ銀行等の欧州系証券の裏方に大きなCTAがいるとされている。彼らの買い/ 売りは数日に渡って続くことが多いので、たとえばマーケットが下がった日に上にあげた証券会社が大きく売り越していたらその売りが数日続くかもしれない。下値には警戒しなければならないだろう。彼らの売越し/買い越し額を常にフォローしておけば直近のマーケットの動きに対してどれほどCTAが影響を与えていたかなどの考察もできるようになる。

2. リスクパリティ

ポートフォリオ全体のリスクを一定に抑えるためにアセットごとにその構成比をあらかじめ決めて、そのルールに則って運用しているファンド。保守的な運用方法である。たとえば株のボラティリティや資産比率があがったら株を売りその構成比率を下げて、同時に債券の構成比率をあげるなどリスクが一定になるように機動的に売買する。JPモルガンやゴールドマンサックス、あるいは日本の信託銀行の裏方にそういったクライアントがいるとされている。

3. ロングオンリー

ロングとショートを組み合わせてアルファ(インデックス等のベンチマークに対する勝ち越し分)をとりにいくのではなく、ただ株をロングしているファンド。ファストマネーの機動的なファンドというよりは中長期目線のバリュエーションベースで売買を行うファンドである場合が多い。これもモルガン・スタンレーやゴールドマンサックス、JPモルガンといった大手の米系から野村証券、みずほ証券などの日系証券の裏方にこういったファンドがいるとされる。彼らの手口も数日にわたって続くことが多く、また一度の売り買いの金額が大きい為、市場に非常に大きな影響を与える。

さてここまでで三つのタイプのファンドとその相手方となる代表的な証券会社をあげたが、もちろんすべてがこの限りではない。クレディスイスが売り越していてもそれがリスクパリティのファンドである可能性もあるし、日系証券が買い越していてもそれがCTAのフローである可能性もある。もちろん証券会社の裏方の客も日々変わっている。しかし、かならずしも証券会社とその裏方のクライアントまで特定できなくても、どのようなタイプのファンドがあって、彼らの手口はどのように現れるかを知っておくことは重要であろう。

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