Profit Takers(とナカイさん)

東京大学経済学部→同大学院修士課程(ファイナンス専攻)→大手セルサイドでトレーディング業務に従事→日本株L/Sヘッジファンド、海外拠点のボラティリティファンドを経て、現在は日本のファイナンスリテラシー向上を志し奮闘中

Profit Takers(とナカイさん)

東京大学経済学部→同大学院修士課程(ファイナンス専攻)→大手セルサイドでトレーディング業務に従事→日本株L/Sヘッジファンド、海外拠点のボラティリティファンドを経て、現在は日本のファイナンスリテラシー向上を志し奮闘中

最近の記事

  • 固定された記事

ETF入門② - ETFで本当にインデックス投資できていますか?

ETF入門①ではETFの諸性質とともになぜそれが個人投資家にとって扱いやすいものなのか、またETF投資が拡大することによって生まれてくるマーケットインパクトについて説明した。 本稿入門②ではETFについてさらに掘り下げて、ETFを保有することによる配当リスクやそもそもの指数連動リスク、さらには個人投資家が市場効率的に(=ぼったくられることがないように)ETFを取引するための制度、最後に機関投資家のETFの取引について説明しようと思う。これを読み終えた頃には読者はETFの基本

    • オプション取引入門 知識編②の補足ーボラティリティの計算

      オリジナルの記事はこちら。 これまでオプションの基本を説明するにあたって、何度も「ボラティリティ」という言葉が出てきました。ボラティリティは「原資産の値動きの大きさ」であるとざっくりした意味合いで使われておりましたが、そもそもそれは統計学において、どのように正確に定義されているものなのでしょうか。そして金融の世界でボラティリティといった場合、原資産の変動の大きさという他にどのような解釈が可能なのでしょうか。本稿ではそれらの点について補足します。 まずは原資産の変動の大きさ

      • オプション取引入門 知識編② ー オプションとボラティリティ

        前回はオプションとは何かについて記したが、今回はオプションをトレードするというのはどういうことか。またオプションはどのような性質をもっているかについて考えていこう。 前回の記事はこちら。 オプションの売買 = ボラティリティの売買前回の記事で簡単にではあるが、オプションの価格は大まかにいって「現在のスポット価格」「ストライク」「満期」そして「ボラティリティ」によって決まるということは述べた。さらに「スポット」は所与であり、「ストライク」「満期」は自分で商品

        • オプション取引入門 知識編①の補足 - オプションのデルタヘッジとガンマ/セータ

          オリジナルの記事はこちら。 繰り返しになりますが、オプションというのは決まった期日(満期)に決まった価格(ストライク)で原資産を買う、もしくは売る権利です。 例えばコールオプション(原資産を買う権利)を買うと、権利としての値段であるプレミアムを最初に支払っておけば、満期において(原資産がどんなに上がっていたとしても)あらかじめ決められたストライクで原資産を買い取ることができます。 ただし、原資産の価格が下がってしまっていて、ストライクで買うよりも普通に市場で

        • 固定された記事

        ETF入門② - ETFで本当にインデックス投資できていますか?

          仕組債由来のマーケットの歪みとトレードアイデア

          今回は仕組債関連の話題だ。とは言っても仕組債に投資をする話をするわけではない。仕組債が存在することによって発生するマーケットの歪みを利用して、おいしく儲けようという話だ。今回の話はオプション取引の話が関わってくる。仕組みサイトは簡単に言えばオプションを内包した債券だからだ。オプションについてはオプション入門シリーズも連載しており、定期的に更新する予定なのでぜひチェックしてほしい。 今回の記事では主に仕組債とは何なのか、その商品性と実際にはどのようにして組成されるのかといった

          仕組債由来のマーケットの歪みとトレードアイデア

          オプション取引入門 知識編① ー オプションとは何か

          ついにオプション取引入門の最初の記事である。本記事では「オプションとは何か」について超入門を記す。「超」入門ではオプションについて全く知らない人に、入門「以前」のレベルから、入門のレベルを「超えて」理解してもらうことを目標にする。ではさっそくオプション取引入門をはじめていこう。なおこの入門シリーズで具体的な例を出す場合、すべて個人投資家でも容易に取引可能な日経225オプションを例にとることにする。 1. オプションとは -何が売買されているのか-まずオプションとは一言で言え

          オプション取引入門 知識編① ー オプションとは何か

          オプション取引入門 - はじめに

          今回の入門シリーズのテーマはオプション取引である。オプション取引というと短期的なヘッジや投機に利用するものであり、長期投資勢には向かないものだと思われている方も多いかもしれない。しかし、長期投資をするにしても、どのタイミングでエントリーするかはそのパフォーマンスに大きく影響する。そしてオプション市場で起こっていることを理解することにより、よりよいエントリーのタイミングを見つけたり、またポジションを閉じるタイミングを決めたりすることができるかもしれない。また、オプションマーケッ

          オプション取引入門 - はじめに

          株式市場の季節性 -積み立て投資のパフォーマンスもあがるかも?

          株式市場には一年のうち、毎年あるいは毎月同じ時期に、特定の需給を理由として同じような値動きをするという現象が存在する。もちろんニュースやマクロの影響が大きければ、そういった季節性から想定される方向に市場が動かないことはあるが、少なくともその方向へ動く圧力が働くことは確かである。 積み立て投資をしている人のうちには一定額ずつ毎月1日にただ同じものを同じ金額分だけ買い付け続けていくことがよくある。だがもし、一年のうち、この月とこの月は買い付けるべきでない、もしくは一か月のうちこの

          株式市場の季節性 -積み立て投資のパフォーマンスもあがるかも?

          なぜ日本の株価指数は揉み合った後、急に動き出すのか

          今回はなぜ日本の株価指数がキリの良い数値の付近でもみ合った後、ひとたびキリの良い数値に達した後には急に大きく値動きを始めるのかについて考察していこう。揉み合う理由にはもちろんいくつか理由があり、利確やテクニカル勢のトレード等が挙げられる。その中でも日本に特有で、もみ合い後の値動きに関係しているものに、仕組債の存在がある。今回はまず株価指数連動商品としての仕組債とそのオプション部分のヘッジについて概説した後、スポットがノックイン付近にある場合のディーラーサイドのデルタヘッジにつ

          なぜ日本の株価指数は揉み合った後、急に動き出すのか

          ETF入門③ - レバレッジ型ETF /上がっては買い、下がっては売る

          さてETF入門①②ではETFとは何かというところから、ファンド側のそのテクニカルな運用またその運用が内包しているリスクなどについても言及してきた。 今回はETF入門の最終章として一般にベア/ブルと呼ばれるようなレバレッジ型ETFの基本、特徴またその有効的な活用法について述べていきたい。巷では「レバナス」と言われるナスダック指数のレバレッジ型ETFが有名であり、その積み立てまで推奨しているような記事もよく見かけるが、実は一般にレバレッジ型ETFはその運用規則上長期保有には適し

          ETF入門③ - レバレッジ型ETF /上がっては買い、下がっては売る

          先物手口からみるマーケットのトレンド

          先物手口と建玉は日々JPXから更新されているが、これらをみれば今後マーケットがどのように動くのかそのトレンドをつかむことができることがある。先物手口はその日の取引の主体と取引量で表形式で「野村證券が日経先物を10000枚買った」「クレディスイスがトピックス先物を5000枚売った」などの情報である。先物建玉はOI(オープンインタレスト)ともいい、各社のポジション状況である。ではこのような手口と建玉から(主に手口)からどのようにマーケット動向を推察できるのだろうか。本記事では日本

          先物手口からみるマーケットのトレンド

          ETF入門① - ETFとは何か / なぜ7月月初にETFを買ってはいけないのか

          1 インデックス投資の方法としてのETF世界中で貯蓄から投資へという流れが拡大していくなかで、個人投資家にとって現在もっとも主流であるのはパッシブファンドへの投資/インデックス投資であるといっても過言ではないだろう。さて、個人投資家がたとえば日本の株式市場の重要指数である日経平均、TOPIX、東証リートといった複数の銘柄により構成された指数に投資したい場合、その手段としては投資信託、ETF、先物などがあげられる。本シリーズではそのうちでもETFに焦点をあてて、その扱いやすさや

          ETF入門① - ETFとは何か / なぜ7月月初にETFを買ってはいけないのか

          金融市場を理解するということ - Profit Takersのミッション

          私たちProfit Takersは株式や債券、コモディティなどの金融商品についての知識やマーケットの見方、さらにはそれらに投資して利益を出すために必要な知識/経験をシェアしたいと考えています。 さて、我々に与えられる情報の量と質に関して、金融業界でしかもその最先端でマーケット業務に従事しているプロフェッショナルと一般の個人投資家では事実、大差はありません。もちろん証券会社を中心としたセルサイドでは自社のアナリストやセールスの書いたレポートなどに、またヘッジファンドなどのバイ

          金融市場を理解するということ - Profit Takersのミッション