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介護小説《アリセプト〜失われる記憶》⑬

 初任者研修もいつの間にか最終日を迎えた。
 現場で働きながら通えたおかげで、とても為になった。最初は知らない人ばかりだったが、良い先生のおかげもあり有意義な時間を過ごせた。

 何気なく人と付き合ってきたデジタル化した僕の生活だったが、アナログ的な生活は産まれ変わったみたいに新鮮だった。

 最終日にはテストがあった。難しいかなと思い解いてみたが授業とレポートをこなしていたので合格する事ができた。

 受講していた生徒も合格できた。
 無事に全員合格する事ができたのだった。

 初任者研修では、教科書を使って勉強した事は勿論役に立つが、実技で習った事の方が仕事ではさらに役に立った。
 会社で通わせて頂いた事に感謝している。井上さんや社長に比べれば足元にも及ばないが、基礎的な事を学べた事と一緒に受けて来た受講生とも仲良くなれて事に感謝している。

 学生時代は、自分からあまり話す事が上手ではなかったので、ずっと聴く事が多く。皆がどうでも良い話も「うんうん」と頷く事は苦ではないし、その会話に対して、自分の感情は揺れ動く事は少なかった。


積極的に何かする訳でもないので友達が多い方でもなかった。
 当たり障りのない存在。癖が弱い存在だった。介護では傾聴が大事なので、認知症の人は何かしら伝えたい事はあるのだが、僕には理解する事が困難だったが、何を伝えたいのかを考えた。

 そういった僕の性格からも人のお世話等をする事は、性に合っているのかもしれない。
 コンビニみたいなルーティンワークをこなすのも苦ではないが、介護の深さは今迄にない刺激だった。

 初任者研修を受けていた人では、夜勤専従者といって夜から朝まで働く専門の介護士で時間で言えば、夜の7時〜朝9時くらいまでと言っていた。その他の日は小説や脚本を書いて作家等の賞を目指しながら、彼女と過ごしているそうだ。

 他には不動産の営業をしていて、自分で福祉施設を立てて、経営をしたいという28歳の僕とは真逆の性格の男性。授業中も他の人が質問しない難しい質問をし、講師が困るほど独学で勉強していた。
 宅建やFPなどの資格を沢山もっていて、普段も仕事終わりや休みは勉強に費やす時間が多いと言っていた。

 他には、介護の派遣会社で働いている人。親の介護の為に学ぶ人がいた。
 最終日には、不動産の営業をしていた平田さんのマンションで打ち上げをした。







介護を本気で変えたいので、色々な人や施設にインタビューをしていきたいので宜しくお願いします。