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もう立ち直れなくなるくらいボッコボコに負ける

この記事の続き。

朝、高校の先輩でもある職場の先輩から、私の同級生の話を聞いた。

その同級生とは、高校時代に甲子園に出場した野球部のメンバーだった。

話は遡るが、
私が高校生の頃、野球部が甲子園に出場した。
あのときの一連のドラマは、私の高校生活に彩りと強烈なスパイスを与えてくれて、おかげで胸躍る体験をたくさんした。あんな経験をさせてくれた野球部のみんなも、野球部を応援していたみんなも、応援していなかったみんなも、同じ学年にいてくれてありがとう。と心から思っている。

なのに、その部員は、甲子園出場をきっかけに野球を嫌いになってしまい、その後20年近くも野球から離れた人生を送っていると。

初めて聞いた話だった。

当時、外から応援していた私は、甲子園出場を果たせてもう十分だから、どうせ負けるなら、超有名強豪校の将来プロ野球選手になるような人たちと対戦して、もう立ち直れなくなるくらいボッコボコに負けるのも良い記念になるし、受験勉強に気持ちも早く切り替えられるから良いなんて思っていた。

現実にそうなった。

くじ引きで超有名強豪校に当たり、一回戦で敗退した。それでも、ヒットを打って0点で抑えた回もたくさんあって、普段高校の教室で横にいた男の子たちが堂々とテレビの中で輝き競い合っていた。私にとっては十分すぎる素敵な体験だった。ただ、その部員はもう立ち直れなくなるくらい心がボッコボコになったらしい。

外から応援していた私にとっては、試合開始前からそもそも勝率0%だった。
でも、その部員は超有名強豪校に勝つつもりだった、ようだ。彼は甲子園で勝つつもりで練習してチームをまとめたから、甲子園出場が叶ったと、私は20年以上たった後で気づいた。

ある意味、勘違いにも程があるレベルまで、自分がその気になることが、全ての始まりだと。自分の力がプラトーになったなんて、考えた時点ですべてが終わると。

私はハッとさせられた。

そして彼は大きな挫折を経験し、乗り越えるのに長い時間を要したらしい。

つづく

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