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魅力的な人になるにはどうすればよいか?

 「魅力的な人になるにはどうすればよいか?」

 大学に勤めて20年以上になるが、このような質問は、たまに受ける。大学生にとって切実な悩みなのだろう。この質問は、承認欲求の問題である。承認欲求と言うと、SNSを媒介とした心理的な問題として理解されている。自分をレベルアップすればよいのか。それとも、「好感度上昇サプリ」を飲めばよいのか。(https://note.com/shukatu_otoko/n/n341dbdd313f2

 「魅力的な人間になりたい」というのは、誰かに承認されたいという意味である。では、承認されるにはどうすればよいのか? 

 私は決まって、「自分で自分のことが面白いですか? 自分で今の生活を楽しんでいますか。もしつまらない生活をしていたら、他者はあなたに関心を持たないでしょう。つまらない人にどうして関心を持ちますか。あなたは、自分がつまらないと思っている人に関心を持ちますか。おもしろいと思ってもらえるような自分を形成しているか、そのようになるには何をすれば良いか、を考えてください。」と答えている。文章にするとこのような大意であるが、実際には口頭で言う。口頭の場合、おだやかに言う必要があると認識している。これは私がこの問題を考え続けて、30歳くらいの時にたどりついた答えである。

 さて、私は、小学生の時に、フィールズ賞を受賞した広中平祐教授の「学問の発見」という本を読んだ。有名な数学者である。数学の世界で知らない人はいないだろう。

 今日、広中教授の1982年の講演記録を読んでみた。驚くべきことに、1982年の時点で、セルフアクチュラリゼーションという言葉を使って、これから承認欲求が問題になると述べている。何という先見の明、洞察力か、と思う。そして、広中教授は、自分を創造することが必要だと言っている。自分の創造!ーこれも驚きの指摘である。自分を創造することを心がけて実行している人は稀であろう。よく創造と言うと、何かを作ることを指すが、自分を創造しなければならない! 自分を創造し、レベルアップすれば充分魅力的な人間になるのではないか。

 もちろん、自分を創造するのはある部分でいいと思う。例えば、他者への貢献や、他者の痛みをわかることは充分創造的であろう。熱中できるものがあることも大事な契機であろう。そのことが、他律的、従属的な飼い慣らされたウエルビーイングでは無く、主体的なウエルビーイングにつながっていくと確信する。

参考 広中平祐教授講演記録 1982年応用物理学会 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/51/12/51_12_1323/_pdf


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