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理学療法士に創造を求める時代が到来


はじめに

 2019年から2023年の間に、我々は当たり前に繰り返してきた仕事のやり方を変更しました。この経験は、我々を成長させたと同時に、これまでの仕事のやり方を反省する機会になりました。その反省から、「現状がいつまでも継続する保証が無い」、「変化は唐突に要求され、変化することで仕事が継続する」、「自分らしい働き方を守りたければ先行投資(行動)あるのみ」等の教訓を得ました。
 さて、直近5年間であなたが気づいていない理学療法士の変化について私見を述べます。

2019年度

 令和元年度終盤に我々の行動を制限しなければならない事態が生じました。対面でできなくなった事を補うために、慌てて遠隔コミュニケーションテクノロジーを取り入れ始めました。私自身も、様々な遠隔コミュニケーションテクノロジーを操作しながら学ぶことを継続してきました。それと同時に、臨床家、教育者、研究者がインターネットを使用して、最新の研究に適切な管理の方針を求めました。研究成果が無いことによって、多くのことに影響を与えることを経験し、研究の必要性を再確認しました。

2020年度

 普段の生活から働き方そして教育のやり方を変えた1年でした。1年間のほとんどの活動を遠隔コミュニケーションテクノロジーを取り入れて実施しました。ただし、対面で行う理学療法は、遠隔診療を取り入れることが出来ず、制度上の課題に気づいた時期でもありました。ここで、理学療法の独自性と専門性とは何かについて、再考させられる機会になりました。理学療法士の移動が制限され、遠隔開催の学会や研修会に参加することも、家族と過ごす時間の大切さに気づくことも、家の中でライフ・ワークバランスに気づくこと、そして働き方などを考えた方も多いのでは無いでしょうか。

2021年度

 伝統的な仕事のやり方と新しい仕事のやり方の強みと弱みに気づき始めました。新しい仕事のやり方を繰り返す年度で我々は主観的な気づきを得ることができました。それと同時に、この状況はこのまま継続し続けるのかもしれないと想像することさえありました。対面で行われる理学療法の現場では、伝統的な仕事のやり方にもあった感染予防策、感染管理を再考して、すべての医療従事者が徹底した管理を実行しました。ただし、テレワーク等のテクノロジーを導入して働く業種との伝統的な対面の理学療法の働き方とで差が広がりました。

2022年度

 伝統的な仕事のやり方と新しい仕事のやり方を組み合わせたハイブリット型が選択されるようになりました。民間人が飛行機で他国を訪問することが再開され、対面での交流が国内・国外問わずに部分再開することが可能になりました。おおよそ2年間で渡航で必要であった紙媒体の書類が電子媒体になり、スマートフォンとアプリケーションを使用して行うように大きな変化がありました。普段は、モバイルバッテリーを使用してこなかった私でさえも、海外渡航する際にはモバイルバッテリーと充電用のUSBケーブルを手荷物の中に入れるようになりました。また、今までは海外渡航前に電子メールで情報共有を行うことが主でしたが、遠隔コミュニケーションテクノロジーを使ってオンライン会議を繰り返して、移動中はSNSを使用して情報を共有するなど、対面の前・後でテクノロジーを活用するようになりました。この時期に私は、他国の医療機関見学を繰り返しました。その経験から異文化を理解することについて、私の能力が不足していると感じました。つまり、一般教養科目が乏しいことによって、他国での遠隔医療や感染対策等について瞬時に的確な理解を得ることが出来ませんでした。国際化が加速する世界において、異文化理解力を向上させることにより将来の国際化された日本の理学療法現場で活躍できるようにしたいと思った次第です。

2023年度

 人の移動が増加し、新しい仕事のやり方の弱みを伝統的な仕事のやり方で補うことができるようになり、効果的・効率的なハイブリット型のやり方が実施できる時期に突入しました。今までの、日本で生活していれば日本で働くという概念が撤廃されました。言葉を置き換えると、どこで生活しているのか、どの言語を使用できるのかということよりも、「あなたの実力が世界的に通用するのであれば、喜んであなたを歓迎します」という時代が到来しつつあるということです。日本で活躍する理学療法士には吉報とも言える出来事です。 今までは、年功序列で進む組織の中で自分らしく個性を発揮しても報酬や職位に反映されませんでしたが、世界水準を視野に研鑽して世界水準の実力を身につけることができれば視野が開けるということです。

まとめ

 世界の理学療法士と比較しながら学び、満足できるキャリアを開拓するための要点を以下にリスト化してみます。

  • 情報収集①:世界の理学療法士がどの水準にあるかを知るために世界理学療法学術大会に参加する(2年に1回開催されます)

  • 情報収集②:海外のWEBセミナーに参加して海外の理学療法士が何を勉強しているのかを情報収集する

  • 情報収集③:海外で実施されている臨床研究論文を読み、トレンドを把握する

  • 情報収集④:異文化を学ぶために、海外旅行に行く

  • 行動①:社会人大学院を活用して臨床研究の方法を学ぶ

  • 行動②:国際学会で臨床研究の成果を発表する

  • 行動③:博士号を取得して、海外と同水準を目指す

  • 行動④:海外で実施される実技講習会に参加する

  • 行動⑤:海外の理学療法士協会で講演・講習会の講師を務める


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