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1年目の弁護士の悩み~悩みを抱えたときにどうすればいいのか~

1.はじめに

12月17日に73期の修習生の皆様が弁護士になりました。Twitter 上ではそんな新人弁護士の皆様に当てて先輩弁護士から様々なアドバイスがご提供されていました。そこで、AmiのメンバーであるAmi弁が1年目に経験した仕事上の悩みについて、どんな悩みを抱えて、どのように克服したのかを記事にしました。

克服方法はあくまでAmi弁個人の方法によるものなので、その方法が正しいものなのか、良いものかは、わかりません。あくまで一つの事例として参考にしていただければ幸いです。また、事務所等に思うところがないというと嘘になりますが、決して誹謗中傷の意図はないので、記載に不明瞭な部分はありますことはご了承ください。

2.どんな悩みを抱えたのか

当時、全く知らない分野で作業量が非常に多く、スケジュールもかなり厳しい案件を二つ同時に行っていました。一つはリサーチ業務であり、もう一つが届出関連業務でした。

案件が二つあるので、読みやすさを重視して、ここからは個別に状況を説明した上で、二つの案件が重なったことによる悩みを説明したいと思います。

(1)リサーチについて

この案件は、依頼人から来た英語での質問リストに回答するという案件でした。この案件は、まずAmi弁が回答案を作ってから、アソシエイトと相談して回答方針を決め、回答案の改善を行うという流れで進みました。そして、アソシエイトに確認をしてもらったところ、若干の修正でOKが出たので、パートナーに回答を送り確認のお願いをしました。すると、担当パートナーから、作成した回答案に大量のコメントが入った回答案が返ってきました。そこで、アソシエイトに相談し、回答案を修正して、再びパートナーに回答案を送りました。しかし、また担当パートナーから回答に大量のコメントが入って帰ってきました。この後、同じような流れが5回ほど続き、流石に何かがおかしいと思い、アソシエイトに何が問題なのか分からないと聞いたところ、担当パートナーに直接話を聞いてほしいと言われました。

そこで、パートナーと直接話をしたところ、そもそも回答の方針が違うと言われました。私としては、アソシエイトの確認・担当パートナーのコメントがあったので、方針は間違っていない前提であり、衝撃でした。そこで、パートナーが一度アソシエイトと相談して方針を確認するとなったのですが、数日動きがないまま、突然大量のコメントがついた回答案が来ました。相談をしたはずでは?と思い、非常に困惑しました。その後、実はパートナーとアソシエイト間で相談しておらず、パートナーがとりあえずコメントを入れて返したことがわかり、再度パートナーと直接相談をして、ようやく正しい方針で作業を進めることができました。

この案件は、依頼人が早めの回答が欲しいと希望されていたので、時間をあまりかけることができないのですが、パートナーとアソシエイトに相談をしても、進む気配がなく、途方に暮れていました。 さらに、回答案の作成は、全て英語で行うため、日本語で回答を作成するよりも倍以上の時間がかかり、大量のコメントがあったことからも他にも仕事がある中で、対応に非常に多くの時間を割かなければならず、業務量の負担においても、非常に厳しいものがありました。

(2)届出書の作成業務について

この案件は、最初は順調に進んでいたのですが、労働法関連のリサーチに非常に時間がかかっており、当初の締め切りに間に合うのか不安を覚えました。そこで、締め切りの2週間ぐらい前に、進捗が思ったよりも悪いことについて、念のための対応方針をアソシエイトに相談しに行きました。すると、そのアソシエイトから、業務の進め方の悪さについて1時間ほど説教を受け、結局対応方針についてのアドバイスなどはもらえませんでした。

2週間前であれば対応可能なはずなのに、なぜ進捗管理で1時間もの説教を受けたのか理解できなかった上に相談しても問題が解決できず、色々と自分の理解を超える出来事が起き、かなりショックを受けたことを覚えています。

(3)2つの案件が重なったことについて

以上の2つの案件は、いずれも、初めて触れる業務分野であり、また全く一緒に仕事をしたことがないパートナーやアソシエイトと仕事をすることになっており、更には作業の大半を英語で行う必要のある業務でした。このような状況でしたので、業務自体非常に不安を抱えたまま、同時期に作業量の多い仕事をすることになりました。

実際に業務を開始するにあたって、一緒に担当するパートナーや先輩アソシエイトからは、パートナーや先輩アソシエイトの指示・指導の下、業務を行うという話でしたが、実際にはそのようなことはなく、自分で色々な方法を模索しながら進めることになりました。

このようにキツイ状況が一気にやってきた上、この状況が2カ月程度続いていました。土日も満足に休めないこともしばしばあり、体調にも色々と影響が出て、当時はかなりきつかった覚えがあります。

3.克服方法

(1)きっかけ

このように厳しい状況が続いたある日、事務所の先生から、大丈夫かと心配する声をかけてもらいました。その時に、立ち話ではありましたが、キツイ状況であることを説明すると、すぐに事務所の代表弁護士と話をする機会を作ってもらえ、そこで、悩みを相談することができました。ちなみに、声をかけてもらって先生から、その時のAmi弁の表情や顔色は相当悪かったと聞きました。

悩みを相談した後、気持ちが少し落ち着き、何とか2つの案件を終えることができました。

(2)克服方法のポイント

①事前に相談していた

声をかけてもらった事務所の先生には、問題の案件開始当初から、1カ月に一度ほど、これらの案件の進め方が一般的であるのか等を相談していました。その際に、一般的な案件の進め方やパートナーとアソシエイトの性格や仕事の進め方の特徴を聞いていました。そのため、問題を抱えていることについて、事前に知ってもらえることができており、声をかけることができたのかもしれません。声をかけることができる条件が偶然にも整っていたことから、事なきを得たのかもしれません。

②自分だけが悪いわけではないことに気付いた

事務所の代表弁護士と、悩みの相談前に、相談内容を整理してから話そうと思い、案件で起きている問題を紙に書いて整理していました。そこで、問題が必ずしも自分の失敗だけではないことに気付くことができました。そして、実際に事務所の代表弁護士や声をかけてもらった先生と話をして、自分の失敗もそれなりにあったが、どうにも今回に限っては、自分の失敗がメインの理由ではないということに気付くことができました。そうすると、これまで異常に焦っていた気持ちや、自責の意識が和らぎ、気持ちを落ち着かせることができました。

4.振り返り

以上がAmi弁が1年目に経験した仕事上の悩みについて、どんな悩みを抱えて、どのように克服したのかについてでした。

今振り返ってみると、最初に自分から方針の相談を強く要望したり、他の先生に相談すべきだったり、当時取れる対応や改善すべき点も多いですね(笑)しかし、当時の自分に色々と対応を考えるような余裕がなかったのも事実です。

今回の悩みの克服における一番の重要ポイントは、事務所の先生に声をかけてもらったことだと思います。声をかけてもらった後に、案件について直接手助けしてもらったわけではないのですが、声をかけてもらって、休んだ方が良いとか少し話を聞いてもらえたことが、一番効果がありました。正直、非常に運が良かったとしか思えないです。もし、あの時に声をかけてもらえていなかったら、どうなっていたのかはわからないように思います。

5.終わりに

本記事は、新人弁護士の皆さん向けの記事ではありますが、これはAmiで提供したいサービスについての原体験でもあります。弁護士は皆さん全員が忙しいので、体力・精神の面で、他の人に手を差し伸べる余裕がない場合も少なくなく、更に、他の先生方の異常に気付くということはもっと少ないように思います。そこで、事務所で相談体制を整えることができないのであれば、外部サービスとして相談体制を提供できないかと考えたのが、今開発中のサービスです。現在、モニターも残り一人を残して、ほとんど終わりを迎えており、インタビュー結果を踏まえて、サービス提供に向けて、鋭意改善中です。

また、12月27日のイベントでは、現在開発中のサービスやモニター結果の説明だけでなく、弁護士と心理士の協働について話し合うトークイベントを開催予定です!現在、Amiのメンバーを含めて、18名の参加が予定されています。当日直前のお昼12時まで申し込みを受け付けておりますので、奮ってご参加ください!

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