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最も重要な仕事(致知2023年1月号)

勝ち続けるチームの作り方~帝京大学ラグビー部V10への軌跡~より

圧倒的な強さで史上初となる大学選手権9連覇の偉業を達成した帝京大学ラグビー部。しかし連覇が途切れ、2021年度に再び王座を奪還するまでの4年間、日本一から遠ざかる試練の時を経験した。帝京大学ラグビー部を育て上げてきた岩出雅之氏に、4年間の苦闘の歩みを振り返っていただきながら、常勝集団をつくる秘訣、指導者の条件をお話しいただいた。

https://www.chichi.co.jp/info/chichi/pickup_article/2022/202301_iwade/

勝ち続ける難しさ

「勝ち続けるチーム」それは「常に最大限の成長を続けるチーム」である。

毎度のことながら、言葉にすることは簡単だが実現するのは困難を極める。
何故ならば、それは個人ではなく集団としての成長を指しているからだ。

特に社会人にとっては絶望的を通り越し、もはや暗黒宇宙と言っても良い。
同じ職場、同じ仕事をしている人間同士であっても、働く理由から理念、成長や挑戦に対する姿勢、モチベーションの保ち方に至るまで千差万別である。

そんなバラバラな考えを持つ集団を「一塊の岩盤」の如く団結させ、「軍隊アリ」のように一糸乱れぬ存在とするのは、有り体に言って無理である。

スタンドプレーから生じるチームワーク

ならばどうすれば良いのか?
そう考えた私の脳裏に浮かんだのは、次の言葉だ。

『我々の間では、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。あるとすればスタンドプレーから生じるチームワークだけだ』

荒巻課長(原作:士郎正宗 攻殻機動隊SAC/2002年)

組織として成功するためには、必ずしも皆が足並みを揃える必要はない。

個々人が、その持ち得る能力の全てを思い思いに成長させ、発揮することによって、結果的、大局的に俯瞰してみると、そこには確かにチームワークと言うべきものが現れてくるのだ。

であれば、その大きな力を意図的に用いるために必要なのは何だろうか?

それは『共通のゴールを作る』ことである。

注意しなければならないのは、それが究極的に具体的なものであることだ。

ほんの少しでも抽象的な部分があれば、それが組織の綻びや停滞の原因となるだろう。

仲間全員がそれぞれの頭の中のキャンバスに、まったく同一の完成形を描くことができていれば、もはやその時点でプロジェクトの成功は約束されていると言っても過言ではない。

リーダーの仕事

故に、組織のリーダーに求められるべき最も重要な仕事は、目指すべきものの最終形を明確にし、それを余すことなく伝達する「フィード・フォワード」であり、全てのプロジェクトの成否の根幹はそこにある。

最後に総括するのではない、最初に100%の力を出すのがリーダーという役割なのである。

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