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経済

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2022年8月の記事一覧

1人当たりGDPの順位低下

購買力平価換算の1人当たりGDPの順位の推移を示す。 1998~2001年の急落:金融危機(→信用収縮)とバランスシート不況 2017年からの低下:失業率が2%台に低下して労働力の追加投入が困難に アベノミクスの経済成長は、効率の増大(労働生産性の向上)というよりは、労働投入量(特に女とシニア)の異常な増大によって牽引されていたため、余剰労働力が底を尽くと行き詰ってしまった。

未完成のアベノミクスと為替レート

詳しくは後日に回すとして、今回は一点を取り上げる。 グラフのカラーの期間は2008年9月~2012年11月だが、円の水準は「過大評価もいいところ」ではなく、適正水準付近であった。 現状認識が適切ではなかったことがアベノミクスが完成しなかった主因の一つと言える。

お勧め本『日本経済《悪い均衡》の正体』

日本経済の停滞・衰退に関心がある人に勧める本を一冊選ぶとすればこれ👇になる。その主因が金融緩和・財政拡張の不足ではなく、企業の方向を誤った効率化・頑張りにあることが指摘されている。そこに至る過程(バブル→バブル崩壊→不良債権問題→金融危機→企業リストラと不良債権処理)にも十分に言及されている。 賃金増加については、内部留保の切り崩し(クルーグマン)や最低賃金引上げ(アトキンソン)よりも、こちら👇の方が良さそうに思える。 今ならこの指摘👇に同意する人も多いだろう。

クルーグマンの日本経済分析の限界

アベノミクス第一の矢のリフレ政策(managed inflation)の言い出しっぺだったクルーグマンの限界が見える。 デフレマインドも賃金が上がらないのも民間部門が人口減少とグローバリゼーション(日本企業のジャパンパッシング+グローバル資本の論理の浸透)という巨大な構造変化に対応した結果であり、金融緩和や財政拡張を強力にしても根本的な解決は難しい。それを見抜けずにまずは金融緩和、その後は財政拡張を日本にアドバイスするクルーグマンの話は有難がって聞くようなものではない。