マガジンのカバー画像

経済

467
運営しているクリエイター

2020年6月の記事一覧

都債発行と地域間格差

東京都独自の経済対策の財源として都債を15兆円発行するというアイデアがあるが、それに現実味がないことはないのは、返済の主な原資となる地方税収が突出して多いためである。 私は公約として、全都民に10万円の給付、学校に通う高校生や大学生の授業料を1年間免除するなど、総額15兆円の緊急対策を掲げています。財源として都債を15 兆円発行して、日銀に買い取ってもらう必要もある。 2016年度に東京都が全国都道府県に占める割合は、総人口は11%だが、県内総生産は19%、地方税収入は2

海女漁で日本再興

政府与党との関係が深いDavid Atkinsonが6月19日の第37回観光戦略実行推進会議に「コロナ後の観光戦略」という資料を提出しているので関心がある人は見てもらいたい。 「日本は次の挑戦が富裕層」ということで、富裕層向けの観光コンテンツの一例が「海女漁エクスペリエンス(アマネム)」だそうである。 • 海女さんと一緒に海に潜り、海女漁を見学 • 海女小屋で炭火焼きのランチ • 価格:2名で100,000円~ 安倍首相の「日本再興」とは、技術大国の復活ではなく、世界の

日本経済に「新・ワニの口」は存在しない

朱に交われば赤くなるで、反緊縮派の安藤裕議員が反知性主義の素人レベルに劣化してきたように見える。 名目GDP=1人当たり実質GDP×GDPデフレータ×人口 なので、各項目のアメリカ/日本比率を比較すると、「新・ワニの口」に最も寄与しているのはGDPデフレータすなわち物価である。 1人当たり実質GDPには「鰐の口」は生じていない。 上のグラフではReaganomicsが始まった1981年を基準にしているが、 1980年代後半:バブル経済の日本がリード 1990年代  

低い国債金利と高い企業のROE

新型インフルエンザ等対策有識者会議「基本的対処方針等諮問委員会」の構成員に起用された財政再建論者の小林が、約1年前の記事で頓珍漢なことを言っていた。 意図してやっているわけではないだろうが、結果としては低金利のもとで政府債務が膨らみ続けている。私は、何らかのバブルによって、謎の状態が起きているのだと思う。 日銀が国債を買い続けたとしても、それを上回って民間の投資家が売れば金利は上がる(債券価格は下がる)はずだ。日銀が全部買って市場から国債がなくなったとすれば、今度は貨幣の価

コロナ大不況と1937年のアメリカの景気後退~我流MMTと本家MMT

また中野剛志が我流MMTを宣伝するために牽強付会な文章を書いている。 ルーズヴェルト政権は、景気回復の道半ばにもかかわらず、政府債務の累積に恐れをなし、1936年から1938年にかけて、財政支出を削減してしまった。その結果、1937年から1938年にかけて、史上最も急速な景気後退を引き起こし、失業率は再び跳ね上がってしまった。 「史上最も急速な景気後退」は印象操作で、1920年と1929年よりは軽度だった。「最も急速」は"worst"の意味ではないと言い逃れするつもりなの