都債発行と地域間格差

東京都独自の経済対策の財源として都債を15兆円発行するというアイデアがあるが、それに現実味がないことはないのは、返済の主な原資となる地方税収が突出して多いためである。

私は公約として、全都民に10万円の給付、学校に通う高校生や大学生の授業料を1年間免除するなど、総額15兆円の緊急対策を掲げています。財源として都債を15 兆円発行して、日銀に買い取ってもらう必要もある。

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2016年度に東京都が全国都道府県に占める割合は、総人口は11%だが、県内総生産は19%、地方税収入は26%だった。東京都の借入余力の大きさは、本社機能を通じて全国からカネを吸い上げる構造に支えられており、都債発行による都独自の経済対策は、その構造を最大限に活用(悪用?)して地域間格差を拡大させるものとも言える。

「日銀に買い取ってもらう必要」もない。

都債発行に理解を示して味方のように思わせて、資産売却に誘導する世論工作にも注意が必要である。そのような論者は、ソ連崩壊後の混乱に乗じて国有資産を私物化したオリガルヒの日本版やその取り巻きだと思えばよい。

筆者が財政状況についてバランスシートを使って考えるのは、ファイナンス理論が適用でき、見通しがよくなるからだが、政策論としては「資産状況を精査し、場合によっては売却する」という政策論にも使える。
つまり、負債を増やす代わりに、資産を売却するというのも政策論としてありえるのだ。しかも、資産の一部は天下りの温床になっていることもあり、その場合には、負債の増加より資産売却のほうが望ましい。

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