日本経済に「新・ワニの口」は存在しない

朱に交われば赤くなるで、反緊縮派の安藤裕議員が反知性主義の素人レベルに劣化してきたように見える。

名目GDP=1人当たり実質GDP×GDPデフレータ×人口

なので、各項目のアメリカ/日本比率を比較すると、「新・ワニの口」に最も寄与しているのはGDPデフレータすなわち物価である。

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1人当たり実質GDPには「鰐の口」は生じていない。

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上のグラフではReaganomicsが始まった1981年を基準にしているが、

1980年代後半:バブル経済の日本がリード
1990年代  :バブル崩壊で日本が失速、アメリカが追い付く
2000年代以降:ほぼ同ペースだがアベノミクスから日本がやや遅れる

という展開で、2000年代以降の日本の1人当たり実質GDP成長率は特に低いわけではないことがわかる。「1997年4月の消費税率引き上げによって日本経済の成長が止まり、先進国グループから脱落した(→鰐の口)」というのは誤った認識である。

どうしても「新・ワニの口」のグラフを作るのであれば、こちら(⇩)の方がふさわしい。

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これ(⇩)も反知性主義の素人レベルの妄言である。

Paper moneyの発明によって、税金を財源にしない「造幣→支出」の財政運営が可能になったものの、それでは放漫財政→悪性インフレが必至であることが歴史の教訓として得られたため、現在では通貨発行権の濫用を防ぐ制度的装置として、「政府は支出のために通貨を発行せず、民間からの徴税または借入を財源とする」仕組みが世界標準となっている。安藤議員はcanとdoの違いを理解していない。

国会議員なのだから、信者とecho chamberで盛り上がるのではなく、もっと勉強してもらいたい。

付録

反緊縮派が1995年と2015年のドル建てGDPの比較にこだわる理由が見て取れる。

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