マガジンのカバー画像

ファクトチェック

115
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

京都市東山区の合計出生率が低いのは大学生が多いから?

京都市東山区の合計出生率が全国最低なのは「産まない属性」の大学生の人口割合が大きいから、という説が多く唱えられている。 しかし、合計出生率は各年齢の女の出生率(=出生数÷人口)を合計したものなので、各年齢のウェイトは等しく、年齢構成の偏りには影響されない。従って、この説は正しくない。 これに対して、この👇ような修正説が唱えられている。 だが、東山区と全国の有配偶率の差が大きいのは、大学生が多い20~24歳ではなく、それより上の年齢階層である(←20代前半は全国的に有配偶

東京の出生率は低くない?

東京の出生率は実はそれほど低くないという説が唱えられている。 👇の図表2が同じもの。 👇は図表2を降順に並び替えたもの(橙―東京都、緑―特別区部、黄―都心三区)。東京都は47都道府県の42位、特別区部は全国平均よりわずかに低く、都心三区は1位の沖縄県と2位の鹿児島県の間に位置する。 しかし、都道府県によって異なる15~49歳の年齢構成の違いを調整する(全国の年齢構成に合わせる)標準化を行うと、東京都は最下位になり、都心三区は東京タワーではなくなる。 標準化の基準年が2

有配偶出生率の変な記事

少子化関連記事には不正確なものが多いが、これ👇もその一つ。 合計有配偶出生率の数値が正しくない(計算間違いしている) 各年齢の有配偶出生率を合計して比較することに意味がない 意味がないことは下のグラフを見れば分かる。 若い年齢層の有配偶出生率が高いのはデキ婚が多いためである。分母を各年齢の女の総数にすると出生率は低いが、有配偶になった女だけにすると出生率は高くなる。1980年に比べて2015年が高くなっているのは、「未婚の母」からデキ婚へのシフトが進んだためと見られる

「東京の出生率が高い」の欺瞞

少子化関連記事には不正確なものが多いがこれ👇もその一つで、無理やり理屈を捻り出しているだけである。 以下、記事がフェアでもナイスでもないことを見ていく。 全く役に立たないわけではない。市町村レベルではあまり意味が無いが、奥沖縄県や北海道といった十分な人口とまとまりがある地域の比較であれば参考になる。 当たり前で「ポイント」にはならない。 有益性は何を論じるかによって違ってくる。夫婦の出生率を論じるのであれば有配偶出生率が有用なのは当然だが、日本の少子化の主因は晩婚化・