マガジンのカバー画像

マネー・MMT

235
MMTのルーツは新左翼思想
運営しているクリエイター

2019年9月の記事一覧

MMTがおかしいと一発で分かる方法

同じような内容の連投で恐縮だが、中野剛志が相変わらずおかしな説明で世間を惑わしているので誤りを指摘する。 MMTが言っていることのポイントは、何も難しくはありません。敢えて単純化して言えば、「自国通貨を発行している政府が、財政破綻することはあり得ない」ということです。 自国通貨を発行できる日本政府は、財政赤字を拡大しても、破綻することはあり得ません。これは、MMT批判者ですら、認めざるを得ない「事実」です。 MMTがおかしいと一発で分かるのは、中野が「事実」と強調するこ

MMTカルトから脱会するべき四つの理由

現代貨幣理論(Modern Monetary Theory)を捨て去るべき理由を四つ示す。 1. 通貨システムの理解が根本的に誤っているMMTでは国家(政府)が発行した通貨が財政支出の財源だとされている。 主権通貨を発行する政府に財政制約がない(「キーストローク」で支出を増やすことができる)ということを「事実」として指摘してはいますが、いくらでも支出「すべき」とは言っていません。 銀行が「キーストローク」によって信用創造した預金を貸し出すように(ⅰ)、中央政府と中央銀行

日本の積極財政派は「極右認定」を機会に西洋MMTと縁切りするべき

7月にMMTの教祖の一人ステファニー・ケルトンを招聘して舞い上がっていた藤井聡、三橋貴明、西田昌司、安藤裕が教祖たちにファシスト・極右認定→絶縁宣言されるという珍事が発生した。 MMTの核心は新左翼思想破門されたメンバーの失敗は、MMTを「財政赤字拡大を正当化してくれる価値中立的な経済理論」だと思い込み、1968年の「五月革命」に象徴される新左翼思想との深いつながりを見逃していたことにある。 今回の出来事は"anti-fascism"の"leftists"を自称する学生団

中野剛志著『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』:相変わらずのMMT推しが残念

中野剛志の『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』は、デフレとMMTへのこだわりが残念な内容である。 さて、日本は、1998年からずっとデフレです。 デフレこそが、平成の日本が成長しなくなった最大の原因であることは明らかです。 この記事では、中野が相変わらず間違え続ける「国債発行→財政支出」を取り上げる。 民間の資金の流れまず、民間の「Z社が社債を発行して資金調達→Y社に支払う」のプロセスを見る。Z社はA銀行に口座があるが、入金された預金は即座に引き出し

MMTは「常識」ではなく「異端」

松尾匡がMMTについて感想を書いているが、これらの特徴は攻撃的なカルトに通じるものである。 そもそもMMT論者は、自分たちの主張をわざと「異端」と位置づけているかのような言い方をする。既存の経済学がことごとく根本的に間違った前提の上に立っていて、自分たちの見方をとることで初めて真理が見えるというような。そこで批判された側もマスコミも、その自称を真に受けてMMTを異端の経済学と扱うわけである。 さらに言えば、基本用語の使い方に一般の経済学とは違う独特なこだわりがある。とくに

MMTを誤用する「京都学派」の二人

最近MMTに傾倒している自由民主党の安藤裕議員が、公的年金について、支給額が「足りかったら政府が金出せばいい」「MMTの考え方を使えば年金の問題なんて全く問題ない」などとおかしなことを言い出している。 新株発行が一株当たりの価値を低下(希薄化)させるように、財・サービスの供給力増を伴わない通貨の新規供給は、インフレによって通貨価値(購買力)を低下させてしまう。 公的年金は後続世代から先行世代に資金移転するだけなので市中の通貨量は不変で購買力は保たれるが、安藤議員が言うよう

政府万能感に酔いしれるMMTerたち

中野剛志は真剣に国を憂いているのだろうが、MMTへの傾倒ぶりはほとんど宗教的情熱のようであり、マスコミを通じて誤った情報を拡散することで社会にも害をなしていると思われる。 この東洋経済のコラムでは「革命」と浮かれているが、中野自身が イングランド銀行や国際決済銀行も、商品貨幣論を否定している。 と書いているように、現代のマネーが銀行の信用供与、つまりはバランスシートの資産(貸出等)と負債(預金)の両建ての拡大によって創造されることは銀行関係者にとっては19世紀以前からの