何度も救われる、あいつの話
8/13の午前0時、私はタオルを握りしめ号泣していた。
昔から音楽が大好きだ。
聴くことが好きだし、歌うことも好き。なんなら好きが高じてギターやベース、キーボードやドラムなどひとしきり触ってみたりもした。
中学から高校まで吹奏楽、大学時代は軽音とバンド活動に明け暮れていた。文字通りの音楽バカである。ちなみに、今でもバンドで歌っている。
そんな私が通い詰めていたのが、北海道を代表する音楽フェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL」。学生の頃から今のいまに至るまで、夏は石狩で暴れ回っていた。そりゃもう三国志の呂布の如く。
音楽フェスである以上、特定のアーティストを特筆するのは個人的なポリシーに反する。どのバンドも、どのアーティストも、比べるまでもなく美しい。が、今回ばかりはどうか許してほしい。
だって、救われたから。
この数ヶ月、人生のターニングポイントがふんだんに詰め込まれた。かなりしんどい場面もあったし、柄にもなくプライベートの内容で人の前で号泣したりもした。その度に、幾度となく、彼らの真っ直ぐな音楽に救われてきたのだ。
そんな中で、幼馴染から急遽RSRに行かないかという誘いがあった。
正直、怖かった。
思い出が多すぎる。
環境も状況も、なんなら名前すら変わってしまった今。
今までの思い出が溢れかえっているRSRに足を運ぶことが、正直に言うと怖すぎたのだ。まだタワー・オブ・テラーに乗るほうがマシかもしれない。ちなみにお察しの通り絶叫系は全く乗れない。
悩みに悩んだ末、幼馴染とそれぞれの友人を引き連れて参加することにした。
久しぶりに足を踏み入れた夏の石狩は、なんだか懐かしくて。
それと同時にやっぱりいろんな思い出も襲ってくるし、数年ぶりの音楽の波は容赦がないし、なんだかずっと足元がふわついている感覚だった。
あの瞬間までは。
たまたま、そのバンドのボーカルが喉の不調のため数日間の活動休止になっていた。「ああ、見ることは叶わないかな」なんて諦めていた矢先、このRSRから復帰するというリリースがあった。
これまたふわついた足元で、メインステージへと向かう。
あと10分。あと6分。2分。30秒。
一気に落ちた照明と、ステージの眩い光。
何度も携帯を通して聴いてきた音楽が、鼓膜に刺さる。
そのバンドのボーカルはこう語っていた。
「今までずっとこの世界にいて。いつかは無くなってしまう、いつかは終わるものだと思っていたけれど、今回初めて身に染みて感じた。やっぱりいつかは必ず終わってしまうものだって。
だから、俺たちはここからまた始まれる気がしている。ここからだって思う。だから今日という日を最高の1日にするんだ、あなたと(意訳)」
そうだ。そうだよな。ここから始まるんだ。
ありがとう。やっぱり私は音楽が大好きだ。何度も音楽に救われて、何度も音楽に生かされている。
4年ぶりの石狩は、思ったよりも優しかった。
ここからだ。
追記
アマチュアとはいえ、ステージに上がってマイクを持つことがある自分。その瞬間だけは、あの瞬間だけは素のままの自分でありたいと思う。それを見てくれた、聴いてくれた人が「かっこいい」なんて思ってくれたら大成功だ。想いが強すぎて、したためるのに1週間かかってしまった。
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