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【会社でのコミュニケーションに悩んでいる方必見】 ハイコンテクストな日本人と日本の会社 【知ってるだけでちょっと楽になる】

日本企業でなかなかテレワークが進まないのはなぜでしょうか。テレワークが進まない理由の1つは、「ハイコンテクスト」なコミュニケーションを求める日本の会社文化だと思っています。

「オンライン会議だと相手の反応がつかみづらい」、「説明資料として、パワポを会議のたびに作らされる」、「就活でやたらコミュニケーション能力が求められる」

こんなこと、思ったことないですか。

なぜか?それは、日本の会社文化に染まった日本人(私たち)自身が、ハイコンテクストなコミュニケーションを求める傾向にあるからだと思っています。

日本企業と米系企業、ドイツ系企業に勤めた経験から感じたことを書いてみます。

ハイコンテクストとは

ハイコンテクストとは、対話をする人の間で、前提となる文脈(価値観や考え方など)が近い状態のことです。

■ポイント
ローコンテクスト文化が言葉で伝えあう文化だとすると、
ハイコンテクスト文化は言葉以外の情報(しぐさ、表情など)を総動員させる文化です。

なぜ日本の会社はハイコンテクストなのか

日本の会社がハイコンテクスト文化なのは、日本が日本語を巧みに扱う日本人が圧倒的マジョリティの国として、長らく続いてきたからだと思います。その結果として、良くも悪くも、言語以外の情報も使い、理解する余裕ができたんだと思います。

日本企業には、新卒一括採用と終身雇用という、ハイコンテクストなコミュニケーションができる集団を養成する“システム”がありました。そのシステムに加えて、完璧主義やチーム分業制、権限委譲ができないといった日本企業ならではの仕事の進め方・仕組みがハイコンテクストなコミュニケーションに拍車をかけたのだと思います。

外資系企業で働いていた時、英語を第1言語としない国の人同士で話すことがよくありました。中国人と日本人といった組み合わせです。その場合、第2言語としての英語でお互いが発言し理解するために、シンプルに誤解のないように伝えようとします。

そもそも、発言を理解することに集中して、言葉以外の情報に気を回しにくいということもあります。さらに、言葉以外の情報、例えばアメリカ人の同僚の身振り手振りが大きい場合、それがどのくらいの意味を持っているのかを正確に判断する情報を持っていないので、発言以外のしぐさや表情から情報を読み取って、判断することは簡単でなかったりします。

外資系企業と比べて、日本人社員が圧倒的に多い日本企業は、良くも悪くも(最近は“悪くも”のほうが目立ってきていますが・・・)、言語以外の情報を使える余裕があるのだと思います。

「空気を読む」、「以心伝心」、「阿吽の呼吸」、「同調圧力」といった言葉に表れているように、言語以外の情報を受け取って、それを理解している状況に出くわしたことが皆さんも日々の会社生活の中でありますよね。テレパシー的なものとは違うけれど(笑)、言葉以外のコミュニケーションの要素があるというのは少なからず感じていると思います。それをハイコンテクストという一言で表せるのは、便利だなと思います。


変化の兆し

変化の兆しも起きています。一つ目の変化の兆しは、新卒一括採用と終身雇用が崩れ、中途社員、非正規社員、外国人社員の増加によって、社員が多様化していることです。これまで当たり前としてきた社員間の共通理解というのは当たり前ではなくなってきています。

コロナによるオンラインコミュニケーションの増加も、変化を生み出す一因になっています。同じ会議室で向き合って話をする会議の形式から、オンライン会議に代わっています。オンライン会議は言葉による情報の占める割合が圧倒的に多いコミュニケーションだと思います。


とは言え、激変はしないことを前提に

とは言え、です。少なくともあと10年~15年はゆっくりとハイコンテクストな日本の会社文化は維持されていくと思います。

新卒一括採用で新卒から同じ会社で働いている人もまだ一定数いて、会議を支配しやすい管理職にはハイコンテクストな文化が染みついています。意識のレベルまで疎通ができることが上司にとって安心することに変わりはありません。

コロナである程度普及したテレワークも、ワクチン接種で感染者数が減っていくと、徐々に出勤スタイルへの揺り戻しが起きると思います。そうすると慣れ親しんだ対面の会議が増えていきます。

文化を変えることは簡単ではないのです。それは、私たちがハイコンクストな文化に窮屈さを感じつつも、どこか安心感も感じているからだと思います。

共通言語の日本語を話し、見た目も似ていて、そんなに自己主張もせず、割と穏やかな自分たちの集まりに居心地の良さを感じているのです。多様性が大事と言いつつ、マジョリティとしてあり続けられる限り、ウチとソトのウチを守れるハイコンテクストな文化に安心感を感じているのです。

だから、日本の会社がローコンテクストな文化に急速に変わるとは思いません。

だとすると、ハイコンテクストな会社文化の中で、自分の仕事を進めるためにいかにコミュニケーションをすればよいかを常に意識することが大事だと思います。そうすれば、コミュニケーションの負荷が多いことへの幾分かの納得ができ、ストレスが軽減できるはずです。

「オンライン会議だと相手の反応がつかみづらい」という悩みを持っていたとして、その悩みの源はハイコンテクストなコミュニケーションを自分自身も求めるからなので、ローコンテクストでもいいと思えば、少しは気が楽になると思います。

会社でのコミュニケーションにストレスを感じている方、伝え方に苦労している方のヒントになれば幸いです。

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