「何してるの?」
「んー、考えて、文章書いてる」
「ふーん」
「何のために?わかんない」
「何も聞いてないよ」
「なんか池田晶子先生がさ、」
「うん」
「目的をもってみんなやってるんだから、みたいなことを言ってなかったかもしれないけど言っててさ」
「ん?目的を持ってみんなやってないんだから?」
「やってるって」
「やってるんだから?何ごとも?」
「うん」
「目的をもって…」
「目的があるのかなー…」
「目的…」
「私、寝るために寝たい、みたいなこと、いつか言ってたでしょ?」
「うんうん」
「それが違うのかなーってちょっと思っちゃった」
「寝るために寝たい、が違う…目的?」
「休みたいから寝てるのかな…。起きるために寝るのはいやなんだよ」
「うん、それは分かるよ」
「だから目的なく寝たいのかなって思ってたけど…んー目的はあるのかな…」
「眠いから寝るはだめなの?」
「眠いから寝るはさ、今じゃん」
「ちょっと分かんないな」
「なんか理由と目的は違う気がするんだよ」
「なるほど、目的は未来ってことね。それは分かった。」
「だからねー…んー。歩く もそうなんだよ」
「うん」
「どこかに行くために歩くのではなくて、歩くために歩くんじゃダメなのかな、それって目的がないってことなんじゃないのかなって思ってたんだけど。違う目的があるのかな、歩くために…。んー歩くためにって言っているのは歩きたいからなのか?」
「そういうこと?」