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時代が変わっても、向き合うべくは”人”。メディアリレーションをアップデートする広報LT大会#21 @ユニオンテック

こんにちは。PRLTのブースター担当、さえきちです!

8月27日(火)、第21回目となるPRLTが開催されたのでその模様をお届けしていきます。

今回のテーマは、『メディアリレーションのアップデート』。広報の仕事の中でも重要な役割として長年挙げられ続けている「メディアリレーション」。ですが、そんなメディアリレーションも、SNSの普及やインターネットで発信される情報の変化に伴って従来の「あり方」とは変わってきています。

報道機関や企業が模索する、今の時代におけるメディアリレーションとは…?メディアリレーションをアップデートさせた事例について、8名の方にLTしていただきました。今回も非常に熱いLTばかりでしたので、どうぞお読み逃しなく!

今回の会場は、ユニオンテック株式会社さん。

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職人とITの融合で建設業界に革命を起こすをコンセプトに、内装デザイン、や内装工事をワンストップで提供されています。ユニオンテックさんのオフィス自体も、クリエイティブな企業の雰囲気が表現されていて開放的な空間でした。(写真はオフィシャルより)

スタイリッシュで居心地のいい空間で、おいしいお酒と食事を用意してPRLTスタート!

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冒頭には、「GOOD ACTION」さまから「第6回グッド・アクションアワード」のご案内がありました。職場を盛り上げる取り組みに光を当ててくれる、本アワード。応募まであと少しなので皆さんどうぞお忘れなく…!

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「第6回グッド・アクションアワード」

趣旨:働くあなたが想いを持って始めた取り組みがきっかけとなり、イキイキと働ける職場の共創へと繋がった事例に光をあてること
募集締切:2019年9月25日(水) 23:59まで

▼詳しくはこちら

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そして、いよいよLT本番。今回登壇してくださった8名の皆さまそれぞれのメディアリレーションをお届けしていきます。
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株式会社ジンジブ 佐藤純子さん
『広報先輩・記者のアドバイスを実行したらメディア露出が倍になった「よっ」という話』

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「高卒採用」の市場認知や社会課題提起を目的に、この1年でメディアリレーションを強化したというジンジブ・佐藤さん。施策を実行した結果、直近3か月(5~7月)のメディア露出を前年と比較すると、4本(2018年)からなんと19本(2019年)に激増

「重要なのは、量を増やすだけでなく、正しく伝えたいことが伝わるための準備過程」と話す佐藤さん。他社の先輩広報さんにアドバイスをいただいて実践してきたという3つのポイントを教えてくれました。

① 演者と舞台を用意する。
取材対象者と画をきちんと事前に準備。周辺情報も整理してきちんと渡す。

②そのリリース、出したその時点で死んでいる。
プレスリリースを出すだけでは意味がない。リリースを書く前の段階で、可能な範囲でメディアの方に情報を伝えて、相手の反応を反映しながらプレスリリース自体もアップデート。ほかPRシートの作成も実践。

③ 仲間集めをしよう。
得意分野を持った他社や人を巻き込んで、一緒に広報活動。1社よりも取り上げられやすくなるほか、取り上げられ方も大きくなりやすいし、情報の精度が上がり信ぴょう性が増す。

まとめでお話されていた「自社サービスのPRではなく、大きな文脈の中の一つのファクトになる」というお話、非常に重要だと感じました。「高卒採用」というテーマをリードしているジンジブさん。今後のPRも楽しみです!

質問などがあれば、さらに詳しいお話をしてくださるそうです。佐藤純子さんのツイッターはこちら▼

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株式会社Shiftall 甲斐祐樹さん
『記者からジョブチェンジした広報が教える記者攻略法』

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IoTハードウェアベンチャーのShiftallで、広報を始めとする国内事務系業務全般を担われている甲斐さん。もともとはテック系メディアの記者をされており、記者→広報というキャリア転身の経験者です。

今回は、そんなご自身の経験も踏まえ「記者 VS 広報 1人2役マイクパフォーマンス 3番勝負」をテーマに、記者と広報のすれ違いあるある(悲しいですね…)をお話くださいました。その一部をご紹介。

広報「発表会の案内状参加なら返事出してほしい!※でもアポなしでもいいので来てね」

記者「発表会案内は直前1週間で立て続けに来る・バリューによってどれに出るかは変わる
・ゆえに直前まで出欠が決まらない(結果として出欠を出しそびれる……)」

すれ違い対策として、発表会前日に案内メールをリマインド・同じ日に発表会がかぶっていないか記者に相談する方法を提案。記者の気持ちを理解したうえで行動しないと、すれ違い続けてしまうことに。広報は、記者の状況を理解したうえで的確な対応をするのが重要ですね。

こちらでも、記者と広報のすれ違いについて甲斐さんが書かれたコラムが掲載されているのでぜひ!

『メディアへの露出はどうやるの? 元記者の広報担当者が語る「記者目線の広報活動」』

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株式会社翔泳社MarkeZine編集部 市川明徳さん
『広報さんからこうしてもらえると嬉しい3つのコト』

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マーケター向け専門メディア『MarkeZine』の編集部・市川さんは、普段広報とやり取りしている中で感じていることをお話くださいました。

マーケティング用語で、最近潮流になっている「ワントゥワンマーケティング」。「顧客一人ひとりの嗜好にあわせて展開するマーケティング活動」を指しますが、広報と記者の関係性もこうなっていくのが本来望ましい。やりとりしているのは「人と人」ということを念頭に、お互いのことを考えたコミュニケーションを取ることが双方の成果につながるとのことです。

それを実現するために挙げられた、メディア目線で広報に意識してもらえると嬉しい3点はこちら。

①メディアや担当者の特性を理解した情報提供
署名記事を調べて担当記者の傾向を理解したうえで適切な情報を提供。メディアの切り口に合わないものは載りません。

②適切なタイミングで
メディアによっては、「編集者」がライティングや撮影を外注して記事を作っている場合も。その場合、記事の構成検討や人員調整のために時間を要する。そのため、できれば直前ではなく1週間以上前には情報提供してもらえるとありがたい。

③しっかり届く方法で
電話、メール、Messenger(チャット)など、連絡を取る手段が多様化している現代。IT系メディアでは電話は嫌がられる傾向にあると思う。何なら相手が見過ごさず、反応があるのか把握して連絡するのが、遠回りのようで結局は近道になる。

また、提案の方法についても印象的なものが。たとえば『MarkeZine』編集部では基本Slackでやり取りをしており、編集部内ので企画検討に必要な情報のフォーマットも決まっているそうです。

広報としてはそのフォーマットに合わせた形で提案できると、記者の方の負担も減りますよね。そういった記者や編集部での体制もしっかり理解できていると、いいタイミングでいい企画を提案できる広報にアップデートできるのではないでしょうか。

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ユニオンテック株式会社 水間 藍子さん
『メディアと読者を考えてる!と思ってもらえるPRになるためのメディアリレーション 〜情報が溢れる時代のPRだから気をつけていること〜』

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今回会場もお貸しくださったユニオンテックの広報・水間さんによるLT。インターネットやSNSの発展で、毎日情報が氾濫している現代。そんな時代の流れを踏まえて、「伝えたい人にきちんと伝わる」ことを目指し、「記者」と「メディア」のメリットを意識したメディアリレーションを実践されています。

たとえば、有料購読もしくはいつも見ているメディアを一通り見る時代から、SNSが発展した現在は流れてきた情報から興味があるものをなんとなく見るという情報収集に変わってきている。その結果、いろんなメディアで似たような内容が出た場合、「同じような内容だ」と思われ、読者に読まれない記事が生まれてしまうことに…。

そこで、同じネタをいろんな媒体に載せるのではなく、読者と記者を意識して、メディアごとに独自情報を提供してネタの「面」を変えるのを大切にしているそうです。実際に直近の自社事例もあげながら、詳しくお話してくださり非常にイメージが湧きやすいLTでした!

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株式会社ノヴィータ 中根範子さん
『社内広報歴の長い私が気づいた、メディアリレーションで大事なこと』

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前職含め、社内広報を6年間務めてきたノヴィータ・中根さん。そのためメディアリレーションには苦手意識を持っていた…ということでしたが、今年に入ってからメディア取材が激増。その経験から得た知見を共有してくださいました!

特に会場でも盛り上がっていたのが、「人間の理解は、最初に聞いた内容をもとに固めていくはず」という仮説のもとに、初動で出す情報に留意していたというお話。

「地方での働き方特集」でとある地方での働き方に関して取材を提案されたときには情報が偏らないように、①その地方以外でも働く社員がいること ②地方勤務実現の背景やストーリー を初回メールで送付。別途③求められているアンケートのほかに20ページの資料を提出して、結果より丁寧な内容で露出されたそう。

求められていることだけに対応するのではなく、自社でもっている提案できる情報を背景含め全容を伝えれば、メディア側もより深く取り組みを理解でき、結果的に報道ボリュームの増大へ繋がるのかもしれません。社内広報から社外広報に挑戦している人にも勇気がでるLTでした。

noteにも登壇レポを掲載されています▼

社内広報視点のメディアリレーションについて発表した話 #PRLT

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LAPRAS株式会社 伊藤哲弥さん
『事業戦略から逆算するメディアリレーションズの優先順位』

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@Pressなどを運営するソーシャルワイヤーで@Pressの事業統括をしていた伊藤さん。現在は4人目の社員として参画したスタートアップ企業・LAPRASでビジネスサイドの幅広い分野に加え広報業務も担当されています。

伊藤さんが感じている広報課題の一つに、メディアの研究はされる一方で、自社の事業課題への認識が浅いケースが多いことを挙げられていました。重要なのは、事業課題から逆算して、どのメディアにどの切り口でアプローチすべきかを考えること。

そこで、伊藤さんが提案されたのが事業成長にコミットする「PRBP」という考え方。事業責任者や経営者などの「ビジネス」を主導する人の「パートナー」になり、「コミュニケーション」の専門家として事業成長を担う役割です。短期・長期のPR視点で事業課題の解決を提案し実践していく考え方について、具体的な自社事例を交えながらお話してくださいました。

ありもので取り上げられる、ではなく事業課題を解決するようなアウトプットを目指す。そんなPRパーソンを目指していきたいですね。

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株式会社ism 鈴木 碩子さん

『そろそろメディアに「お願い(依頼)」するの、辞めませんか?という話』

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株式会社ismを経営する起業家であり、『THE BRIDGE』でブロガーもされている鈴木さん。一時は、年間100本の取材記事を担当されていたそう!

様々なスタートアップ企業の広報をメディア側からも広報支援側からも見ている立場として、普段感じている”違和感”についてお話してくださいました。その”違和感”とは、広報がメディアに「お願い」する事例。メッセンジャーで突撃されても、残念ながら掲載に至らなかった事例も数多く見てきたそう。

そんな鈴木さんから伝えたいのは、メディアが気にしているのは「読者」であるということ。読者に有益な情報であることが大切であり、一度掲載実績がある企業で繋がりがあったとしても、「お願い」されたからといって掲載されるわけではありません。広報の仕事は、取材をお願いすることではなく、一緒に面白い企画をつくること。

「いいものを伝えるべく人に届けることが大事。広報さんがいいネタを届ければいい世の中になる。玉砕しないで!」
「メディアリレーションをがんばりたいなら、メディアリレーション以外の仕事もがんばろう!」

という本音のメッセージが胸に響きました…!

ちなみに、実際の企業をモデルケースにして広報としての企画力を鍛える「勝手に広報塾」も開催されているので、企画力にまだ不安がある…という方はぜひご参加ください。

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メディアジーン(ビジネスインサイダージャパン)西山里緒さん
『元ダメ広報の記者が教える記者の“トリセツ”』

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チームラボで広報を経験したのち、現在は「Business Insider Japan」で記者をされている西山さん。日々広報と接していて感じている、記者視点からのアドバイスを3点に絞ってとてもお話してくださいました。

①記者も人間だと認識しよう
プレスリリースありきではなく、記者と腹を割って話そう!情報をただ単に伝えるのではなく、情報を伝えるのがどんな経路でもその先に「記者」という一人の人間がいることを忘れずに。

②記者と"恋愛"せよ
記者との関係性は恋愛と似ている。特に大きいニュースの時(=モテモテの時期)こそ、メディアとのコミュニケーションは要注意。メディアは基本的に”独占”や”オフレコ”が好きなこと、そして真摯な対応を忘れずに。

③30文字で話せ
記者は、広報からのメールタイトルを見て、「ヤフトピ」「スマニュー」への掲載イメージを連想しているそう。そのため、パッと見られたときに「いけそう!」と思ってもらえるような言葉選びと文字数感も重要!

"Better every day, better capitalism"(記者の生態をよく理解して、一緒に社会をよくしていきましょう)というメッセージを最後に締めくくられた、本大会の最終LT。西山さんからのメッセージは、広報への熱いエールのようにも感じられました!

広報とメディアの完成性についてもTwitterで発信されているので、ぜひこちらも要チェック。

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「メディアリレーションのアップデート」という非常に難しいテーマでしたが、それぞれの発表に発見がありました。記者の方、記者から広報に転身した方、広報から記者に転身した方、PR支援から事業広報に転身した方…今回もさまざまな視点からお話しいただきました!ありがとうございました。

次回は、「コミュニティづくりからPRを学ぶ広報LT大会」をテーマに10月29日開催を予定しております。これからも様々なLT登壇者を募集。皆さまの登壇をお待ちしています!(※9月中旬connpass公開予定)

▼次回のPRLT情報のほか、PR関連の話題を紹介していくPRLT公式Twitterアカウントはこちら


#Special Thanks

◆大泉さん(@beajourneyman)がTogetterで #PRLT ツイートをまとめてくれました!

◆河原塚さん(@passionhack)、最速noteレポートありがとうございました!

◆運営ヘルプをしてくださった、GOOD ACTIONのさま

◆ツイートしてくださった皆さま

◆片付けなどお手伝いくださった皆さま

◆参加くださった皆さま

いつもありがとうございます!

そして、今回、このイベントレポを読んで&PRLTに参加して、「ちょっとLTしてみたいかも…?」と思ってくださった皆さん!前に立つことや、考えをシェアすることは、勇気がいることがもしれません。

しかし、PRLTの行動指針は『「ボケ」をかます』こと。

誰もが当たり前のことを当たり前のようにいうだけでは何も生まれない。登壇して発表するのは、批判がないか、不安があるかもしれません。しかし「ボケ」がなければ、ツッコミもない。皆さま、一緒に全力でボケて、新しい気づきをみんなで共有していきましょう!(「よっ」)


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