フェラーリがブロックチェーン/NFTに投資する意味

ブランド企業のNFT投資について、ここ最近はもはや、アート作品のコンペ状態になっていて、もはや退屈なものがとても多いのだが、自動車の中でフェラーリの動きはちょっと違うと思う。

まず、そもそもブランド企業のNFTやアートコンテンツにおいては、コラボレーションやパートナーシップという手法がよく見られる。

パートナーシップの基本的な狙いは、お互いのブランドにおける共通点(悪く言うと妥協点)を見つけ出し、それぞれが抱えているファンにリーチすること。普段はリーチしにくいターゲットオーディエンスに対して、ブランドイメージを棄損することなく、自身のブランドメッセージや価値観を伝えることが可能で、シンプルにとても便利な手法だと思う。(実際は、ブランド棄損しているパートナーシップも結構見るが。。。)

現状においては、ブランドにおけるメタ空間でのコミュニケーションはPhase-1であり、ブランド企業がメタ空間にコンテンツを掲出しているだけではあるが、ブランドと新しいプラットフォームにおける新しい表現、という意味で、パートナーシップの一種と考えてもよいのかと思う。(例として、RobloxでのGucciの表現は、一般的にはメディアタイアップと見るのかもしれないが、両者法人のパートナーシップという見方のほうがわかりやすいと解釈している)

パートナーシップの定義はどうでもよいので、話を戻そう。

フェラーリの取り組みについて僕が興味深いと思ったのは、フェラーリが、スイスのブロックチェーン企業「VelasNetwork」との契約をする等、わりと本質的にビジネスの根っこを攻めてきていると感じるところにある。

フェラーリはまさにプロダクトドリブン、ブランドドリブンの自動車会社なので、冒頭で言及したた、NFTアート作品コンペにおいて余裕でプレゼンスを発揮できる一流ブランドである。プロダクトネタやアートネタでうまくコラボをして、NFTアートとして販売すれば、多くのアテンションを稼げるし、きっと素晴らしくかっこいい作品を世の中に残せるポテンシャルはどこよりも保有している企業である。

しかしあえてそのマーケティングPR大喜利に参加せず、ブロックチェーンのビジネスで、しかもブランドの源泉であるモータースポーツ領域に張っていく、というのはとてもロジカルで戦略的な動きだと思う。

多くの自動車ブランドは、NFTやメタバースを新しいメディアが登場したときのように、一つのマーケティングキャンペーンとして取り組んでいる感が否めないのだが(例:LINEが出てきたときに、とりあえずLINEスタンプを作り始めるような。←ちなみにこれはこれで素晴らしいことで否定はしてません)、
フェラーリはそこにビジネスとして着実に取り組もうとしていることがわかる。というのはこのスピード感。どのブランドよりも早くこれに取り組もうとしているからだ。(つまり、大変失礼ながら、フェラーリが世の中のとあるトレンドに対してこんなに早く動き始めたことってあまり記憶にない。。。)

なぜ、彼らがこれをやるのか?
それは、フェラーリが彼らのビジネスにおいて、NFTやブロックチェーンが明確にこれからの主戦場になるとわかっているからである。

クルマは、A地点からB地点に移動する単なるモビリティである。そのモビリティという点においては数百万円の価値しかない。でも、それに対して、フェラーリは単なる移動手段というもの以外の価値に数千万の付加価値をつけている。つまり、誤解を恐れずに言うと、フェラーリは車の価格よりも、ブランド価値の価格のほうが断然高いのである。

クルマがEV化し、自動運転化し、所有されなくなる世の中で、フェラーリはその価値をどうやって保持し、再解釈し、新しい世代や既存のファンに対してさらなる付加価値を提供していくのか。

おそらく、フェラーリはこの価値観についてはものすごく考えているのだと思う。

ブランド付加価値ビジネスの最高峰のフェラーリの、WEB3における今後の事業戦略から目が離せない、と思う。

参考:
フェラーリがNFT発行に関心、ブロックチェーン企業と複数年契約
https://coinpost.jp/amp/?p=305578

1ドルからフェラーリに投資可能、海外証券取引所が高級車をトークン化 
https://coinpost.jp/?p=129861


「NFTのデジタル会員権でフェラーリ利用可能に」マーケットプレイスBuynet(β版)でオークションへ
https://coinpost.jp/?p=250116

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