組織でデジタルをどう機能させるか?(自動車業界で「2年前」のネタがようやく古くなった気がする。)

過去の資料を洗っていたら、2020年に、大手通信グループ系の社員および、その投資会社のマーケティング担当者向けに、僕が講演した資料が見つかった。それについて今見ると思うところがあったので、振り返ってみたいと思う。

約2年の前の話だが、とあることから先方の担当部署の責任者の方に、DXについて語ってほしいと言われ、講演の機会をいただいたことがある。

まったく他業種にはなるが、世の中のデジタルマーケティングの潮流と、自分が直面している組織課題は抽象化できると思い、人見知りの自分でも、少しでも参考になれば、とお話をさせてもらった。

一般的には、デジタルによる社会の変化は、
「ローマ法王の就任式の写真で、2005年と2013年のものを比べて、iphone(+SNS)によって時代が一気に変わりました」とやるのが鉄板。

その一方で自動車業界での鉄板ネタは、ニューヨーク5番街の写真を、1900年と1913年で比較するもの。「1900年は馬車しか走ってなかったのが、1913年には自動車に変わっている。で、100年に一度の変革が今、訪れようとしている」というもの。

講演の内容は先方の要望にそって、デジタル人材とか、DMPとか、機械もカスタマーも変化しているのに、企業だけが変化から取り残されている。さぁ、どうやって組織にチャレンジしていくか、というストーリーで、ディスカッション含め、話していたように思う。

これはこれで懐かしくてよかったのだが、2年前の自分の講演内容を見て、当時、自動車業界で変革をもたらすものは、いわゆるCASE戦略※だけにフォーカスしていた自分がいたと気付いた。。
※CASE=(onnected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)」という、メルセデスベンツが策定した、自動車業界鉄板のコンセプト。

今も当然このCASEのコンセプトは自動車業界において重要な考え方の一つだと僕も思っているが、でもやはりちょっと古くなってきている気がする。あくまでモビリティとモビリティの販売という観点に絞ってあり、ブロックチェーン技術やそれを背景にした新たなビジネスモデルやカスタマーエクスペリエンスには触れていない。(だから最近あまり誰もCASEの話はしない。)

ということで、そろそろこのCASE戦略もアップデートされる時期にきていると思った。CASEが当たり前に実装されつつある社会で、我々自動車会社は次に何を売るのか?そのあたりのディスカッションが進んでくると思うとワクワクする。

自動車会社が次に売るものについては以前このNOTEにもちらっと書いたが、とにかく今日は、2年前の講演資料を見て、ずっと停滞していたデジタルマーケティングの社会がこの2年間で古びたんだなぁ、となんとなく感慨深く思ってしまった。というのも10年近くDMPとかDDMとか言い続けてきたけど、今年は全く言わなくなったので。本当に冒頭の鉄板ネタ(100年に一度の大変革というやつ)は、10年くらいやってると思う。

ということで、そろそろ大変革ネタ時代は終了し、本当のあらたなフェーズに入ろうとしているので、この自動車業界はとても楽しみな時代になったと思う。

ちなみに、当時の講演資料も備忘録として下記に保存しておきます。気になる方はどうぞご覧ください。


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