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凹む時ってラッキーチャンス

「あー、またやっちゃったよ」

とある約束の時間に完全に遅れてしまった、ということがあった方がいました。ある時は忘れ物をして取りに行ったのをきっかけに電車が遅延して約束の時間を大幅に超えてしまったという体験だったり、寝坊をしてしまって約束の時間に眠っていたということを時々起こしていました。

当然ですが、その後に平謝りすることになるのだそうです。

このようなことを何度も同じように繰り返すという時には、なんらかの意味があると思って間違いないでしょう。

「どうして私はこうなんでしょう?」
「そうしたくてそうしているわけじゃ無いんですけど」

そういう言い方をする場合があると相談の彼女は言うのですが、それは自分で解決できないことだと思っているからこそ、そういう発言の仕方になっていると思われます。自分の意思ではどうしようもない、一体どうしたらいいんだ…という捉え方なので、聞いているとどこかしら人ごとな感じがする喋り方になっていたりするのです。

出来事に飲み込まれている時ほど、自分の位置の一点から外を見ていて、物事を見ています。その位置からの体験や感情の動きや感想になっているのです。これは他の視点は一切持っていないという状態なのですが、他の視点という意味自体がわからなくなってしまっていることもあります。

例えばドローンを飛ばして高い位置から360度様々なところからとある一つの物を撮影することが出来るという風景を思い浮かべましょう。鳥が大空を飛んでいて下の方に街が広がっているという風景をイメージしてもいいでしょう。街の中に自分が立っていますが、自由に飛ぶ鳥の視点は高いところからや低いところ、あらゆる角度からその自分を見ることが可能です。

先ほどの「どうして自分はそうしたくも無いのにそんなことを起こしてしまうのだろう」と考えていた自分は、上空からの視点を持っていない状態です。自分の居るこの場所から、目の前にいるの人のことを気にして、
「どう思われてるだろう?」
「ダメなヤツだと思われる…」
「あぁ、でもそうしたくてそうしてるんじゃ無いから私は悪くないもん」
というようなことが心の中に浮かんでいます。

これは、目の前にしている人からジャッジされることや否定されることに怯えている状態です。相手から否定されることが前提になってしまっているという場合もあります。

この彼女の場合はまさしくその通りのようでした。当たり前にそれは起きる、起きなければ自分じゃ無い、と言わんばかりにです。
ご本人はマズいことが起きているという自体を味わっているのですが、何かにどこかに満足のいく体験が現れないので繰り返しこの現実を作っているようでした。

「ダメなヤツだと言ってください」
そのように反応することを求められているのだな、と思います。相手からそればかりを引き出そうとしているかのようです。そうすると彼女が信じたい世界観が維持できる、あるいは体験することで信じていたい世界観を壊さないように努力しているということなのでしょう。

だからこそ彼女はガッカリした表情をしています。
「どうしてそんなこと言うんですか!」
まるでそう言っているみたいに。まるで怒っているかのように。

こういう出来事があった時は実際はチャンスです。チャンス到来!
おめでとう! という状態です。

それは自分の持っている特徴との出会いの瞬間です。
他の人とはちょっと違う自分の特徴です。
だいたいがその出会いは凹むときにやって来ています。それはもしかしたら腹立たしい瞬間かもしれません。
ですが、ひとつずつを受け入れていくことが出来た先にあるものは「自分の個性」との出会いです。それは弱点や嫌っていた部分でさえあったのに、やがてはひっくり返って他者から見た時に羨ましがられるものになることさえある大切な自分のとある側面です。

自分の特徴は「過去の傷」とか「過去の出来事からのとらわれ」に表現されているということはとても多いので、それが出てきた時には「マズい現実」「傷つく現実」という体験かもしれませんが、本当は自分でもわかっていない自分の特徴と出会うきっかけでもあります。

「ちゃんとしないと!」
「こんなダメな自分なんてよくない! 変わらなくっちゃ!」

そのように思えば思うほど自分を追い詰めていくことになったりしやすいのですが、多くの場合はこの社会の中で覚えた基準をものさしにして良いとか悪いという判断をしていることが多いでしょう。それはひとまず横に置いて、本当はどういうことなのだろう? と考え始めることで新しい立ち位置から出来事を見ることが可能になっていくことが始まります。心の世界には社会のものさしではかることが出来ないものがたくさん存在しています。
無理に収めてなんとかその社会的なものさしで何とかしようとし続けることで、自分の心にそして身体に大きな負担が重なってしまいます。
それを知るということでの効果も確かにあります。
更にそのための考え方や様々なワークも専門家の方々は用意していますので、ひとりで考え込まずに尋ねてみてください。

「自らが繰り返し起こしていること、実はこれらは過去の自分が現在の自分に何かに気が付いてほしくてサインを送っているという状態かもしれない。だったとしたらそれは何かな?」

大地に立っている自分を上方から見て捉えてみようとする、という練習がやがて生きてくることになるでしょう。

彼女は憮然とした顔をして席を立ち玄関に向い、うつむきながら小さくニヤリと笑って帰って行ったのでした。


写真と文 sanae mizuno
https://twitter.com/SanaeMizuno


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