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「初恋」らしきもの

あんまり思い出したくないのだけど、私には一目惚れっぽい経験が一回だけある。

私は「初恋」らしきものの経験がピンとこない。「恋」とか「恋愛」とかいうものが自分に定義されていないから、何がそれだったのか気づけないでいるんだと思う。

それでも今思い返して、それらしきものだと言える経験が小学校低学年から小3くらいの間にあった。

相手は、私の親戚の恋人だった女性。結局その女性と親戚は結婚した。当時は会う機会がまあまああったのだけど、しばらくすると会う機会がなくなっていったから、今はどうしているのか分からない。


「一目惚れ」っぽくなった理由はあまりにも単純で、間近では見たことのないようなタイプの若い美人だったから。それだけ。

その人の前では息が苦しくて、うまく喋れなかった。世に言う「恋」だったのか。

話すこともなく、他の人と話しているところもあまり見ていないから、結局私はその人の人となりをほとんど覚えていない。

それにも関わらず、好意を持てるものなのか。今思うと、あの頃の自分とその後の自分の違いに愕然とする。確か、小学校中学年で自分に大きな変化が起こる前の出会いだった。


その後も、なんとなく「恋」とか「恋愛」っぽいものを何度か経験した。それでも自分がそれを「恋」だ「恋愛」だと言いきれないのは、「恋」とか「恋愛」がもう少し良いものだと思っているからだと思う。

「初恋」相手の女性に対してあまりにもしゃべれなかったのは、自分の異変という意味でも実際としても苦しかった。その後の「恋」とか「恋愛」も、良い思い出にはならなかった。

それも含めて「恋」「恋愛」だって言われるのかもしれないけど、もう少し甘いものが食べたい。


もう二度と、あの時のような「恋」はできないだろう。する必要もない。

そして、次にすることになったときには、おそらく自分の予想もつかないような「恋愛」をするのだと思う。

そのブラックボックス感が、今の自分が「恋愛」を諦められない理由なのだと思う。

箱の中身が、綺麗だったらいいなと思い続ける。



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